米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「パーサビアランス」がとらえた画像を通して、科学者たちは数十億年前の火星の姿を明らかにしようとしています。
サイエンス誌に7日掲載された画像の分析結果によると、パーサビアランスが探索しているジェゼロ・クレーターは37億年前、静かな湖でした。湖に流れ込む小さな川は時に激しい鉄砲水を引き起こし、その威力ははるか上流にある大きな岩を湖まで運んでくるほど強かったそうです。
クレーター内にある岩層の露出部分の画像からこうした科学的分析が行われるのは初めてです。この露出部分は軌道上を周回する探査機からも撮影されており、地球でみられる扇形の河川デルタに似た地形であることが確認できていましたが、今回のパーサビアランスの画像はデルタ地形の存在を示す決定的な証拠となっています。
画像に写る堆積(たいせき)物の層が傾斜して見えるのは、それらが流水によって形成されたためである公算が大きいです。層が水平であれば、風など他の要因で作られたものだと考えられます。