「
日本旅行業協会」の
会長が
代表取締役を
務める東京の
旅行会社が、
新型コロナウイルスの
影響で
社員を
休ませているように
装い、
国の「
雇用調整助成金」
少なくともおよそ7000
万円を
不正に
受給していた
疑いが
あることが
関係者への
取材で
分かりました。
労働局も助成金の支給を停止したうえで調査を進めています。
会社は「事実関係を確認中でコメントできない」としています。
関係者によりますと、東京 千代田区に本社がある旅行会社「ワールド航空サービス」は、新型コロナウイルスの感染が拡大した去年3月以降、国の「雇用調整助成金」の制度を利用しています。
売り上げが減少しても従業員を休ませるなどして雇用を維持した場合に国が休業手当などの一部を助成するものですが、会社がこの制度を悪用し、助成金を不正に受給していた疑いがあることが関係者への取材で分かりました。
去年7月ごろからは多くの社員が出勤するようになったのに、会社はそのまま休ませているように装う、うその書類を国に提出していたということです。
NHKが会社の内部資料を入手して調べた結果、勤務表では休みになっているのに、社員が出社したことを示す記録が去年7月以降、少なくとも106人分、延べ4700日余り確認されました。
受給した助成金の額に換算すると、合わせておよそ7000万円に上っています。
関係者は「会社側から『助成金をもらうノルマを達成しなければならないので休業扱いにしてほしい』と頼まれた」と証言しています。
また、東京労働局もこうした情報を把握し、ことし6月分以降の支給を停止したうえで調査を進めているということです。
「ワールド航空サービス」は、主に中高年向けの海外旅行を扱う会社で、代表取締役会長の菊間潤吾氏(69)は全国の1000を超える旅行会社が加盟する「日本旅行業協会」の会長を務めています。
会社はNHKの取材に対し「調査委員会を設置し事実関係を確認中で、コメントできない」としています。
また、菊間会長も「しっかり調べたいと考えており、コメントはできない」としています。
“休み”に出勤 延べ4700日余り
NHKは、
会社が
助成金を
申請する
際に
国に
提出した
勤務表と、
社内で
感染対策として
導入されている
社員の
検温記録の
コピーを
入手しました。
関係者によりますと、検温は去年7月ごろから行われていて、会社の入り口に体温計と検温表が置かれ、社員は毎日、出社した際に体温を測って表に記録しているということです。
この2つの資料を照合したところ、62人の社員について、勤務表では休みになっているのに、検温記録がある日が確認されました。
こうした日は、去年7月からことし5月までに少なくとも延べおよそ3800日に上っています。
このほかの資料も含めると、休みになっているのに社員が出勤したことを示す記録がある日は去年7月以降、少なくとも合わせて106人分、延べ4700日余りに上っていました。
NHKが入手した資料によりますと、会社はこれまで、社員1人につき1日あたり1万5000円の助成金を受給しているため、不正受給とみられる額は確認できただけで合わせておよそ7000万円となります。
関係者「上層部の指示が絶対」
「ワールド
航空サービス」の
関係者がNHKの
取材に
応じ、
国に
提出された
勤務表で
休業扱いになっている
多くの
社員が
会社の
指示で
出勤していた
実態を
証言しました。
この関係者によりますと、会社では新型コロナウイルスの感染が拡大した去年3月、役員などを除くほとんどの社員が自宅待機を指示され、実際に休んでいたということです。
国に提出された勤務表では、その後もことし5月にかけて毎月6割から9割の社員が休業扱いになっていますが、実際には会社の指示で去年7月ごろから多くの社員が出勤していたといいます。
会社が雇用調整助成金を受給していることは去年の夏ごろ、一部の社員に周知されましたが、具体的な内容に関する説明はなかったということです。
このため、当初は事情を知らずに出勤している社員もいたということですが、次第に多くの社員が休業扱いのままになっていることや、助成金を不正に受給している疑いがあるという情報が社員の間で共有されるようになったということです。
この関係者は「休みになっているのにどうして私たちは働いているのか、業務の指示が出るのはおかしいのではないかと思っていたし、『もし告発したら大問題になるのではないか』と社員の間で話をすることもあった。しかし、当時は感染拡大に伴う異常事態という認識だった上、給料も振り込まれていたので、出された指示に対してそのまま従っていた。会社では上層部の指示が絶対で、声を上げる社員はいなかった」と話していました。
会社は調査委員会を設置
NHKの
取材や
東京労働局の
調査を
受けて、「ワールド
航空サービス」は10
月、
外部の
弁護士などで
作る調査委員会を
設置し、
不正受給の
疑いについて
調査を
始めたということです。
取材に対し「指摘を受け、客観的な調査を行ったうえで結果をまとめたいと考えている。現時点では事実関係を確認中のため、答えられることはない」としています。
「ワールド航空サービス」とは
ホームページ
などによりますと、「ワールド
航空サービス」は、
東京 千代田区有楽町に
本社が
ある1971
年創業の
旅行会社です。
社員は2019年3月時点で160人で、東京のほか、大阪や愛知、福岡など全国に支店や営業所があります。
主に中高年を対象にした海外旅行の企画を行っていて、去年3月期の売上高は77億円となっています。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、海外のツアーはすべて見合わせ、現在は国内ツアーのみを取り扱っているということです。
この影響で、民間の調査会社によりますと、ことし3月期の売上高は10億円余りと、前年の7分の1以下にまで落ち込んでいます。
NHKが入手した資料によりますと、会社がこれまでに受給した雇用調整助成金の総額は、去年3月分からことし5月分までで4億5000万円余りに上っています。
会長の菊間氏「旅行各社は存亡の危機」と政府に訴え
「ワールド
航空サービス」の
代表取締役会長、
菊間潤吾氏(69)は、
全国の1100
余りの
旅行会社が
加盟する「
日本旅行業協会」の
副会長を
経てことし7
月、
会長に
就任し、
業界を
代表する
立場として
活動してきました。
8月に都内で行われた協会の記者会見では、夏の旅行シーズンに緊急事態宣言が出されたことで「旅行各社は存亡の危機にある」として、感染拡大に伴う雇用調整助成金の特例措置の延長や、キャンセル料の補償を政府に求めていく考えを示しました。
また、「ワクチン接種が終わった人の行動制限を段階的に解除することはどの国もやっており、ワクチンパスポートの活用による移動規制の緩和などもセットで考えるべきではないか」と述べたうえで、政府にGo Toトラベルや海外旅行の再開に向けたロードマップを示すよう求めていました。
雇用調整助成金めぐる現状は
「
雇用調整助成金」は、
売り上げが
減少した
企業が
従業員を
休ませる
などして
雇用を
維持した
場合に、
国が
休業手当などの
一部を
助成する
制度です。
現在は新型コロナウイルスの影響を受けた企業を対象に特例措置が設けられていて、
▼1日あたりの助成金の上限額が従業員1人につき最大で1万5000円に、
▼助成率が最大で100%にそれぞれ引き上げられています。
厚生労働省によりますと、感染拡大の影響の長期化によって、支給額は去年2月以降、合わせておよそ4兆8000億円に上っているということで、財源の確保が課題となっています。
一方、不正受給も増え続けていて、去年2月からことし9月までに確認できただけで162件、金額にして合わせておよそ14億5000万円に上っているということです。
従業員が出勤していたにもかかわらず書類上は休ませたことにしたり、実在しない従業員について申請したりするケースがあるということで、厚生労働省は悪質な場合は企業名を公表するとともに、刑事告発も検討するとしています。
ヨルダン国王“ガザの子ども受け入れる”トランプ氏との会談で
アメリカのトランプ大統領は11日、ヨルダンのアブドラ国王と会談しました。トランプ大統領が、ガザ地区の住民のヨルダンへの移住を求めていたのに対しアブドラ国王は病気の子ども2000人を受け入れる考えを明らかにしました。
Source: NHK
Feb 12, 2025 07:02
アメリカ輸入の鉄鋼とアルミに25%関税 各国の間で反発や懸念
アメリカのトランプ大統領が、アメリカに輸入される鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課すと表明したことに対し、各国の間で反発や懸念が広がっています。トランプ大統領はすべての国が対象だと強調していますが、各国は直接交渉によって適用の除外を求めていくものとみられます。
Source: NHK
Feb 12, 2025 05:02
日米首脳会談 やりとり詳細判明 経済、安全保障など
石破総理大臣とアメリカのトランプ大統領による首脳会談の詳しい内容が明らかになりました。日本製鉄によるUSスチールの買収計画をめぐり、石破総理大臣が、USスチールは、経営者や労働者などを維持しアメリカの企業として存続すると説明したのに対し、トランプ大統領は前向きな反応を示したということです。
Source: NHK
Feb 10, 2025 17:02
トランプ大統領 輸入の鉄鋼とアルミに25%の追加関税を表明へ
アメリカのトランプ大統領は9日、アメリカに輸入される鉄鋼製品やアルミニウムに25%の追加関税を課すことを10日に表明すると明らかにしました。また、トランプ大統領は貿易の相手国が特定の製品に高い関税を課している場合、相手国から輸入されるその製品に対する関税を同率に引き上げる措置についても11日か12日に表明するとしています。
Source: NHK
Feb 10, 2025 11:02
【詳しく】日米首脳会談 石破首相「対米投資額1兆ドル規模に」
アメリカを訪れた石破総理大臣は、トランプ大統領と初めて会談し、日米同盟をインド太平洋地域の平和と安全の礎だと位置づけ、同盟の抑止力と対処力を強化することで一致しました。また共同記者会見で、アメリカへの投資額を1兆ドルの規模まで引き上げたいとしたほか、日本製鉄によるUSスチールの買収計画は投資としての意味合いがあり一方的な利益にはならないという認識を共有したと明らかにしました。
Source: NHK
Feb 8, 2025 07:02
石破首相 アメリカに到着 あす日米首脳会談へ
石破総理大臣は先ほどアメリカ・ワシントンに到着し、日本時間の8日未明、トランプ大統領との初めての日米首脳会談に臨みます。トランプ大統領が自国第一主義の政策を掲げる中、日米両国の幅広い分野での協力が世界の平和と発展につながるという認識を共有し、関係構築を図りたい考えです。
Source: NHK
Feb 7, 2025 07:02
トランプ大統領 “カナダのもの必要ない”関税報復措置めぐり
アメリカがカナダからの輸入品に対して25%の関税を課すと発表したことに対し、カナダが報復措置に乗り出す構えを示すなか、トランプ大統領はSNSで「アメリカはカナダの持っているものなど何も必要ない」と投稿し、アメリカ経済は打撃を受けることはないという考えを強調しました。トランプ大統領の一手が早速、金融市場を揺さぶっています。世界経済の先行きに対する警戒感が強まり、取り引き開始直後から売り注文が膨らんで日経平均株価は一時、1100円以上、値下がりしています。
Source: NHK
Feb 3, 2025 12:02
トランプ大統領 カナダ メキシコ 中国に関税で署名 米メディア
アメリカ・ホワイトハウスはトランプ大統領が1日、カナダからの輸入品に2月4日から25%の関税を課す大統領令に署名したことを明らかにしました。国家安全保障や経済の面などで「異例かつ重大な脅威」がある場合、大統領が緊急事態を宣言すれば、輸入や輸出などに規制をかけることができる「IEEPA=国際緊急経済権限法」にもとづく措置だとしています。
Source: NHK
Feb 2, 2025 08:02
日米首脳会談 安全保障分野の協力強化 論点に
石破総理大臣とアメリカのトランプ大統領との初めての日米首脳会談は、来週、ワシントンで行われ、安全保障分野の協力強化が論点の1つとなる見込みです。石破総理大臣としては、沖縄県の尖閣諸島への日米安全保障条約の適用をはじめ、東アジア地域へのアメリカの関与を確保したい考えです。
Source: NHK
Feb 1, 2025 06:02
This feature is only available for registered users!
Login
or
Register
Premium feature
You need to upgrade to a premium account to using this feature
Are you sure you want to test again?
You have reached the limit for today
Please upgrade your account to read unlimited newspapers