能登半島豪雨から3か月
ことし9月21日の能登地方の豪雨災害では16人が死亡し、石川県によりますと住宅の浸水などの被害は今月17日の時点で合わせて1800棟に上っています。
また、豪雨による被害で避難生活が続いている人もいて、輪島市と珠洲市では今月17日の時点でほかの自治体への2次避難を含め合わせて316人となっています。
ことし1月の能登半島地震に続いて二重に被災した人も多く、各自治体では被災者の体調管理や寒さ対策を徹底したいとしています。
流れ込んだ土砂が残っている住宅もあり、道路などが狭く重機を使うことが難しい場所が多くありますが、県によりますと、被害が大きかった輪島市と珠洲市、能登町のうち被災者から要請があった箇所については、全国のボランティアの協力を得て今月27日に土砂の撤去を終える見通しがついたとしています。
石川県は、豪雨で被害を受けた道路や水道などのインフラや農地の復旧作業を続けるとともに被災者の生活再建などの支援に引き続き取り組む方針です。
姉のかばんとともに…
3か月前の豪雨災害で亡くなった中山美紀さん(当時31)の弟は喪失感をいだきながらも姉の形見のかばんを大切にして日々を過ごしています。
輪島市町野町の中山美紀さんは、勤務先から車で帰宅する途中で濁流に巻き込まれたとみられ、1か月余りたってから能登町の山あいの川で亡くなっているのが見つかりました。中山さんは能登半島地震で自宅が全壊したため、市内の仮設住宅で両親やきょうだいなどと6人で暮らしていました。
弟の真さんは、豪雨のあとなかなか前向きな気持ちになれず、大きな喪失感をいだきながら日々を過ごしています。
今月10日、仕事が休みだった真さんは、姉の墓参りに行くため仮設住宅の最寄りのスーパーにお供え物を選びに行きました。姉の大好物だったというピザパンを見つけると、さっそくかごに入れていました。そして全壊した自宅の近くにある墓を訪れ、パンなどを供えて静かに手を合わせていました。
最近、出かける時は、姉が乗っていた車から見つかった形見のかばんを大切に持ち歩いています。かばんにつけられていたキャラクターやぬいぐるみのキーホルダーは、そのままにしています。
真さんは「姉のかばんを持っていると一緒にいるような気がして、これからもずっと大切に使おうと思います。姉の分まで頑張って生きているから天国で見守ってねと伝えたい」と話していました。
能登地方では冷え込みが厳しくなり、本格的な雪の季節を迎えています。真さんは、雪による災害でまた人の命が失われることを心配しています。
真さんは「道路の状況が悪くなって見える範囲も狭くなるので、雪の時期は安全運転をこころがけていただきたいと思っています。大雪の時は出歩かないとか、私も事故に気をつけたいです」と話していました。