高校時代の同級生によりますと、当時は成績がよく、男女問わず誰とでも親しくなれるタイプだったということです。
大学に入学した後、当時の仲間で集まった際には「駅前で女性をナンパしている。そのうち何人かとは関係を持った」などと話していたということです。
この同級生は取材に対し「高校時代は至って普通の生徒だったので、事件のことを知って驚いている」と話していました。
その後、對馬容疑者は大学に5年間通ったのち2009年に中退し、派遣社員やアルバイトなどの非正規雇用で働くようになります。
捜査関係者によりますと、経験した職場はコンビニエンスストアやスーパー、宿泊施設、それに食品工場などあわせて20余りに上るということです。
仕事を転々とした理由については多くが「嫌になった」など自己都合によるものだということですが、ことし2月には契約を更新されない「雇い止め」にあったとみられています。
その後は仕事に就かず、生活保護を受けながら川崎市多摩区のアパートで1人で暮らしていました。
一方、警視庁の調べに対し「金を使うのがもったいないので万引きを繰り返して生活していた」と供述しているということで、事件の当日も都内の書店や食料品店などで少なくとも4件の万引きをしていた疑いがあるということです。
このうち、食料品店でベーコンなどを万引きしたところを女性店員に見つかり、警察署で事情を聴かれていますが、これまでの調べに対し、女性店員に注意されたことが事件の引き金になったという趣旨の供述もしているということです。
警視庁はこれまでの生活状況なども含め、事件の詳しいいきさつを調べています。
この女性は当時、新宿行きの快速急行の先頭から4両目の車両に乗っていましたが、警視庁によりますと、この車両で4人の乗客が切りつけられ、このうち20歳の女子大学生が背中など7か所を刺される大けがをしました。 事件の直前、女性は片耳にイヤホンをして音楽を聴いていましたが、突然、乗客の悲鳴や「逃げろ」という声が聞こえたほか、服に血がついた人の姿が見えたため、あわてて先頭車両の方向へ逃げたといいます。 この時の状況について、女性は「どれくらいのことが起きているのかは分かりませんでしたが、仕事帰りに死にたくないという思いだけで必死に逃げました。車両の連結部分に乗客が詰まっていましたが、そこに突っ込んでいくしかありませんでした」と話しています。 しかし、先頭から3両目の車両に移った際に転倒した上、2両目との連結部分にあるドアが閉まり、動揺して自分では開けられない状態になったということです。 女性は声を振り絞ってほかの乗客に助けを求め、気がつくと列車から線路に降りる人たちの姿が見えたため、みずからもはだしで線路に降り、無我夢中で駅まで逃げたということです。 女性は転倒した際に頭などを打つけがをして病院に搬送されました。 女性は仕事の都合で現在も小田急線を利用せざるを得ないということですが、事件からおよそ3週間がたった今も列車内を歩いている乗客がいたり、床に物が落ちたりすると緊張が走り、当時の恐怖を思い出してしまうといいます。 このため、何か起きた時にすぐに助けを求められるよう、乗務員の姿が見える先頭か最後尾の車両に乗るようになったということです。 さらに、報道で容疑者の供述や事件の経緯を知り、いつか自分が標的になるかもしれないと不安を抱えるようになったといいます。 女性は「容疑者がいつ社会に復帰するのか、私たちには分かりません。その分からないことに対しておびえ続けることになるし、事件をきっかけに模倣犯が出てくる可能性もあります。今後、自分にも危害が及ぶかもしれないと思うと怖いし、不安です」と話していました。
乗客「自分に危害及ぶかも」