川崎重工業が
架空の
取り引きで
作った
裏金で
海上自衛隊の
潜水艦の
乗組員に
物品の
提供などをしていた
問題で、
外部の
特別調査委員会は27
日、
中間報告書をまとめ、
およそ40
年前から
物品の
提供が
行われていたことを
明らかにしました。
そのうえで不正が行われた背景にはコンプライアンスの軽視や事なかれ主義といった組織風土があったと指摘しています。
これを受けて担当の常務執行役員が来年3月末で引責辞任するほか、橋本康彦社長をはじめ、合わせて7人の役員が報酬の一部を自主返上すると発表しました。
この問題を受けて橋本社長らが午後6時から記者会見を開きます。
防衛省 潜水艦の修理めぐる特別防衛監察で中間報告
防衛省は、海上自衛隊の潜水艦の修理をめぐる特別防衛監察の中間報告を27日公表しました。
受注した川崎重工業が取引業者との間で架空取引を行い、昨年度までの6年間でおよそ17億円を捻出して乗組員の物品を購入していたほか、飲食の提供を行っていた可能性もあるということです。
防衛省は川崎重工業を厳重注意し、関係した乗組員についても処分を検討することにしています。
潜水艦の修理をめぐっては、ことし4月、川崎重工業が取引業者との架空取引をもとにした資金を使って乗組員などに物品の提供などを行っていると大阪国税局から指摘を受け、防衛省が7月から特別防衛監察を行っています。
27日公表された中間報告によりますと、川崎重工業は遅くとも昭和60年ごろから、資材などを調達する取引業者との間で架空取引を頻繁に繰り返し裏金などを作っていたということで、昨年度までの6年間に取引業者3社との間でおよそ17億円を捻出していたということです。
これらの資金を使って、乗組員が要望したモニターや照明器具、冷蔵庫、炊飯器、ゲーム機の購入などに充てていたほか、乗組員と川崎重工業との懇親会の場で企業側が多く費用を負担したり、乗組員に頼まれてビール券を渡したりしたことがあると話す社員もいたということです。
また資金は、川崎重工業内で私的に使われていた事実も確認できたとしています。
川崎重工業が架空取引を繰り返した背景については、修理の際には乗組員の協力が必要で「要望にはできるだけ応えたいとの意識が大きな動機であったことは否定できない」としています。
一方、乗組員たちの多くは、潜水艦内で使用する物品や生活用品を企業側から提供を受けることについて、修理契約の範囲内だという誤った認識を持っていた可能性が高いとして、コンプライアンスや倫理教育を徹底する必要があるとしています。
防衛省は、川崎重工業が架空取引によって修理契約に伴う利益を不当に得た可能性があるなどとして、文書による厳重注意とし、すでに終了した契約について正しい金額を算定したうえで、不当な利益があれば返納させるとしています。
また、潜水艦の乗組員や修理契約を監督する隊員への聞き取りを引き続き行うなどして事実確認を進め、関係者の処分を検討することにしています。