“金利のある世界”に？どうなる住宅ローン金利 - Easy News

大手おおて銀行ぎんこうは9月つき1日にちから住宅じゅうたくローンの固定こてい金利きんりを一斉いっせいに引き上ひきあげました。背景はいけいには長期ちょうき金利きんりの上昇じょうしょうがありますが、その長期ちょうき金利きんり、9月つきに入はいってもじりじりと上昇じょうしょうを続つづけています。

住宅じゅうたくローンの固定こてい金利きんりはさらに上あがるのか、そして利用りよう者しゃが多おおい変動へんどう金利きんりへの影響えいきょうは？（経済けいざい部ぶ記者きしゃ西園にしぞの興起こうき）

なぜ長期ちょうき金利きんりが上昇じょうしょう？

住宅じゅうたくローン金利きんりの行方ゆくえについて考かんがえる前まえに、そもそも金利きんりとは何なにか、そしていまなぜ長期ちょうき金利きんりが上あがっているのかを押おさえておきます。

「経済けいざいの体温計たいおんけい」とも呼よばれる金利きんり。景気けいきがよくなると金利きんりの上昇じょうしょうにつながり、逆ぎゃくに景気けいきが悪わるくなると、金利きんりは下さがる要因よういんとなります。

それではいまなぜ日本にっぽんの長期ちょうき金利きんりが上昇じょうしょう傾向けいこうにあるのか。

コロナ禍かからの経済けいざい活動かつどうの正常せいじょう化か、そして円えん安やすも追い風おいかぜとなって日本にっぽん企業きぎょうの間までは利益りえきを増ふやす企業きぎょうが相次あいついでいます。株価かぶかも上昇じょうしょう傾向けいこうにあり、日本にっぽんの景気けいき回復かいふくへの期待きたい感かんが高たかまっていることも1つの要因よういんです。

ただ、長期ちょうき金利きんり上昇じょうしょうの最大さいだいの要因よういんは日銀にちぎんが金融きんゆう政策せいさくの運用うんようを見直みなおしたことです。

日銀にちぎんはことし7月つき28日にちに金融きんゆう政策せいさくの運用うんようを柔軟じゅうなん化かし、長期ちょうき金利きんりの一段いちだんの上昇じょうしょうを容認ようにんしました。それまでは、長期ちょうき金利きんりが0.5％以下いかとなるよう抑おさえていましたが、事実じじつ上じょう、1％までの上昇じょうしょうであれば認みとめることにしたのです。円えん安やすが進すすむ中なか、為替かわせの大おおきな変動へんどうを防ふせぐという目的もくてきもあったと見みられています。

この結果けっか、長期ちょうき金利きんりはじりじりと上昇じょうしょうを続つづけましたが、さらにその動うごきを後押あとおししたのが9月つき20日にちに行おこなわれたアメリカ・FRB（連邦れんぽう準備じゅんび制度せいど理事りじ会かい金きん）の金融きんゆう政策せいさくを決きめる会合かいごうとその後そのごのパウエル議長ぎちょうの記者きしゃ会見かいけんでの発言はつげんです。

ここで示しめされた今後こんごの金融きんゆう政策せいさくの見通みとおしを踏ふまえ、市場しじょうでは金融きんゆう引き締ひきしめが長期ちょうき化かするとの観測かんそくが強つよまりました。

この結果けっか、アメリカの長期ちょうき金利きんりは4.4％を超こえ、およそ15年ねん10か月かげつぶりの水準すいじゅんまで上昇じょうしょうしました。

これを受うけて日本にっぽんの債券さいけん市場しじょうでは、長期ちょうき金利きんりがさらに上昇じょうしょうしても日銀にちぎんがこれを抑おさえる対応たいおうをとりにくくなるとの見方みかたから、長期ちょうき金利きんりがさらに上昇じょうしょう。

9月つき21日にちには、0.745％と、10年ねんぶりの水準すいじゅんとなったのです。

長期ちょうき金利きんりが上昇じょうしょうを続つづけていることから、銀行ぎんこうがこれを参考さんこうに、さらに住宅じゅうたくローンの固定こてい金利きんりを引き上ひきあげる可能かのう性せいはあります。

ただ、これについて日銀にちぎんが長期ちょうき金利きんりの上限じょうげんの目安めやすを1％としている以上いじょう、この先さきの固定こてい金利きんりの上昇じょうしょうも限定げんてい的てきだという見方みかたが大勢たいせいです。

変動へんどう型がたはどうなる？

それでは多おおくの利用りよう者しゃがいる変動へんどう型がたの住宅じゅうたくローンはどうなるのか。

住宅じゅうたくローンの変動へんどう金利きんりは、短期たんき金利きんりに連動れんどうする形かたちとなっています。

これについては日銀にちぎんがマイナス金利きんり政策せいさくを変かえていないため、大手おおて銀行ぎんこう各行かくこうは金利きんりを据え置すえおいています。

それでは日銀にちぎんがマイナス金利きんり政策せいさくを転換てんかんし、変動へんどう金利きんりにも影響えいきょうが及およぶのはいつなのか。

市場しじょうには、マイナス金利きんり政策せいさくの解除かいじょを判断はんだんする時期じきが近ちかづいているのではないかという観測かんそくも出でていましたが、日銀にちぎんの植田うえだ総裁そうさいは、9月つき22日にちの記者きしゃ会見かいけんで「マイナス金利きんり解除かいじょへの距離きょり感かんがすごく動うごいたわけではない」と述のべて市場しじょうの早期そうき正常せいじょう化か観測かんそくをけん制けんせいしました。

その上うえで、植田うえだ総裁そうさいは「物価ぶっか目標もくひょうの実現じつげんが見通みとおせる状況じょうきょうになった場合ばあいには　マイナス金利きんりの解除かいじょも視野しやに入はいるが、それがどういう変数へんすうとどうひも付つき、短期たんき金利きんりがどれくらい動うごくのかということについては、まだ決きめ打うちできる段階だんかいではない」と述のべました。

この発言はつげんをどう読み解よみとけばよいのか。日銀にちぎんの金融きんゆう政策せいさくに詳くわしい東ひがし短たんリサーチの加藤かとう出いずるチーフエコノミストは以下いかのように話はなしています。

「日銀にちぎんの2％の物価ぶっか安定あんてい目標もくひょうの実現じつげんには、持続じぞく的てきな賃金ちんぎんの上昇じょうしょうが不可欠ふかけつで、これについては来年らいねんの春闘しゅんとうで賃上ちんあげの動うごきがしっかりしたものになるか確認かくにんする必要ひつようがある。この基本きほん方針ほうしんを確認かくにんした上うえで、植田うえだ総裁そうさいは、マイナス金利きんり政策せいさくの解除かいじょに対にたいして、決けっして前まえのめりになっているわけではないと言いいたかったのだと思おもう」

ただ、仮かりに日銀にちぎんがマイナス金利きんり政策せいさくを見直みなおし、短期たんき金利きんりが上昇じょうしょうする局面きょくめんになっても、銀行ぎんこうが住宅じゅうたくローンの変動へんどう金利きんりを一気いっきに引き上ひきあげるかどうかは不透明ふとうめいです。

あるネット銀行ぎんこうの経営けいえいトップは、「金利きんりが正常せいじょう化かされれば、当然とうぜん、変動へんどう金利きんりも連動れんどうして上あがることになるが、他社たしゃとの競争きょうそう環境かんきょうに加くわえて、預金よきん金利きんりが上あがるかどうかを見みた上うえで変動へんどう金利きんりの水準すいじゅんを決きめることになる」と述のべています。