人種問題
民主党はトランプ大統領への批判が根強い人種差別問題や社会の分断の解消も選挙戦の重要な争点の1つに位置づけ、国民の結束を訴えています。
人種差別への抗議デモの対応では、トランプ大統領が「法と秩序」を強調し黒人に対する構造的な差別に対しては「昔に比べればかなり少なくなっている」として、対応に消極的な姿勢を見せたのに対し、民主党は「人種、民族、ジェンダー、障害の有無などによる差別を終わらせる」して、問題の解決に取り組む方針を強調しています。
また抗議デモで高まった警察改革の要求については、トランプ大統領が警察の弱体化につながる予算の削減に反対しているのに対し、民主党は徹底的な見直しを通じて改革を進める方針を掲げています。
さらに民主党は経済格差を是正するため白人以外の人たちが経営する企業への支援などの政策も打ち出しています。
新型コロナウイルスへの対応
民主党は新型コロナウイルスの感染拡大でトランプ大統領の対応を批判しその責任を追及するとともに、政権との違いを明確にすることで、不安や不満を抱く人たちの支持を幅広く取り付けたいねらいがあるとみられます。
民主党は「パンデミックから回復し、アメリカ国民を守る」と訴えて新型コロナウイルス対策を最優先課題に位置づけ、ワクチンを無料で接種できる態勢の整備や医療保険制度の拡充などを掲げています。
そしてトランプ大統領が専門家の科学的な助言を軽視して感染の拡大を招いたと批判し、経済活動の再開は慎重に進める姿勢を示すとともに感染拡大の防止に重点を置いて、選挙運動や党大会もいち早くオンラインに切り替えるなどトランプ大統領との違いを全面に打ち出しています。
またトランプ大統領がWHO=世界保健機関への資金提供を停止し脱退を通知したことに対しては、パンデミックを抑えるための世界的な取り組みを妨害したと指摘したうえで「アメリカの指導力を復活させ、保健医療や経済の面で国際的な協調を図りトランプ大統領とは反対の方針をとる」と主張しています。
挙党体制を目指す
党の有力者が相次いで演説した中で、党の候補者選びで中道派のバイデン前副大統領と激しく争った左派のサンダース上院議員も登場しました。
「今回の選挙ではまとまってトランプ氏を打倒しなければならない。失敗の代償は想像を絶するほど大きい」と演説し、党内の結束を呼びかけました。
民主党では中道派と左派の間の溝が前回4年前の選挙の敗因の一つとされ、今回も社会保障や環境政策での違いを乗り越えることができるかが課題となっています。
「反トランプ勢力」の結集
与党・共和党に所属しながらも反トランプ大統領の立場を取る政治家らもメッセージを寄せました。
このうち前回選挙の際、共和党の候補者選びで最後まで争ったケーシック前オハイオ州知事は「私は生涯共和党員だが、党への義理はアメリカに果たすべき責任と比べれば二の次だ。バイデン氏は時代が求めている男だ。自分たちのため、そして子どもたちのために党派を超えて行動しよう」と呼びかけました。
共和党の有力者が民主党の全国党大会に出席するのは異例で、民主党としてはトランプ大統領に反発する人たちの結集を訴えて幅広い支持を取り付けたいねらいがあると見られます。