対象になるのは、山手線や中央線、総武線など主に東京駅から半径100キロ圏内にある、首都圏のほぼすべての路線です。
来年春のダイヤ改正に合わせて最終電車の時間を30分程度早め、各方面の終着駅への到着時刻が午前1時ごろになるように、見直すということです。
来月、路線ごとに最終電車をどの程度早くするか公表することにしています。
新型コロナウイルスの影響で深夜の時間帯の乗客が減っている中、JR東日本としては最終電車を早めることで終電後に行う線路などの保守・点検の業務に充てる時間を確保したいとしています。
これによって不規則な勤務なため、人手の確保が難しくなっている職場の環境を改善したいとしています。
一部の路線では朝の始発時間を遅くすることも検討します。
JR東日本の深澤祐二社長は「感染拡大がおさまっても鉄道の利用水準はもとに戻らないと考えている。設備の維持に欠かせない人手不足も深刻で、利用者の皆さんにも理解してもらいたい」と話しています。
JR西日本も来年春から関西エリアの主な路線の最終電車の時間を、最大で30分程度早めることを決めています。
背景には深夜利用の減少
終電時間を見直す背景には、新型コロナウイルスの影響で、深夜の時間帯の乗客が減少していることがあります。
JR東日本によりますと、山手線の御徒町駅から上野駅の間の乗客を見ますと、先月のお盆の時期を除いた平日の午前0時台の利用は去年と比べ、66%減っているということです。
会社では「感染がおさまった後も、働き方や行動様式が元に戻ることはない」と見て終電時間を早めることにしたということです。
混雑を分散させる対策も
一方、JR東日本は感染防止につなげるため、朝の通勤や通学の混雑を分散させる対策も始めることにしています。
来年春までに通勤や通学のピークの時間帯を避けて定期券を利用した場合、駅ビルなどの買い物で使えるSuicaのポイントがたまるサービスを始めることにしています。
将来的には、通常の定期券とは別に、ピークの時間帯には利用できない分、値段が安い新しいタイプの定期券をだすことも検討しています。
JR東日本では「できるだけ早く導入できるよう実現の可能性を探りたい」としています。
このほか在宅勤務の導入で、通勤回数が減ったため定期券を買わずにSuicaに現金をチャージして、電車を利用する人が増えると見られるため、同じ料金区間を一定の回数以上利用すれば、もらえるポイントが増えるような仕組みも、導入するということです。
終電見直しの動きはほかにも
最終電車の運行を見直す動きはほかにも広がっています。
▽JR西日本は保守・点検に当たる作業員の働き方改革を進めるために来年春のダイヤ改正に合わせて関西エリアの主な路線の最終電車の時間を、10分から30分ほど早めることを決めています。
対象になるのは、大阪環状線や神戸線、それに京都線など、関西エリアの在来線のうち深夜0時以降に出発する電車がある主な路線です。
利用者への影響を最小限にするため新大阪駅に到着する東京発の最終の新幹線や私鉄各社などとの接続は可能なかぎり確保する方針で、詳しい対象路線や運行ダイヤを今月、公表することにしています。
▽JR九州も来年春のダイヤ改正で福岡県内の都市部を中心に運行本数を減らすことを検討しています。
新型コロナウイルスの影響による移動の自粛に加えてテレワークの広がりによって利用者数の落ち込みが長期化するおそれがあるためだとしています。
▽一方、首都圏の鉄道では、東京メトロは、終電を早めるなどの対応は、現時点で、検討はしていないとしています。
東急電鉄や小田急電鉄も現時点で具体的な方針は決めていませんが、この先、利用者の落ち込みがどの程度続くのか見極めながら、最終電車の運行を見直すかどうか検討するとしています。