新型しんがたコロナ影響えいきょうで倒産とうさん 来週らいしゅうにも500社しゃ超ちょうの可能かのう性せい 信用しんよう調査ちょうさ会社かいしゃ

業種ぎょうしゅ別べつでは「飲食いんしょく店てん」が69社しゃと最もっとも多おおく、次ついで「ホテル・旅館りょかん」が53社しゃ、「アパレル小売こうり店てん」が33社しゃなどとなっています。

倒産とうさん件数けんすうは1日にち数すう件けんのペースで増ふえていて、調査ちょうさ会社かいしゃは「早はやければ来週らいしゅうにも500社しゃを超こえる可能かのう性せいがある」としています。

一方いっぽう、別べつの信用しんよう調査ちょうさ会社かいしゃの「東京商工リサーチとうきょうしょうこうりさ-ち」は、倒産とうさんだけではなく、今後こんご、中小ちゅうしょう企業きぎょうの廃業はいぎょうが増ふえるおそれがあり、地域ちいき経済けいざいへの影響えいきょうが懸念けねんされると指摘してきしています。

ことし7月つきから先月せんげつにかけて、全国ぜんこくの中小ちゅうしょう企業きぎょうおよそ9600社しゃを対象たいしょうに行いったアンケート調査ちょうさによりますと、「コロナ禍かの収束しゅうそくが長引ながびいた場合ばあい、廃業はいぎょうを検討けんとうする可能かのう性せいがある」と答こたえた社しゃは8.5％でした。

全国ぜんこくには中小ちゅうしょう企業きぎょうが合あわせて358万まん社しゃあるとされ、この信用しんよう調査ちょうさ会社かいしゃでは単純たんじゅん計算けいさんで、30万まん社しゃを超こえる中小ちゅうしょう企業きぎょうが廃業はいぎょうの危機ききにひんしていることを示しめしていると分析ぶんせきしています。

調査ちょうさ会社かいしゃ「金融きんゆう機関きかんは『伴走ばんそう型がた』の支援しえんを」

今回こんかいの調査ちょうさについて、東京商工リサーチとうきょうしょうこうりさ-ちの原田はらだ三さん寛ひろし情報じょうほう部長ぶちょうは「衝撃しょうげき的てきな結果けっかだと受け止うけとめている。後継こうけい者しゃ不足ふそくなどの長年ながねんの課題かだいに新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうも加くわわり、先行さきゆきが見通みとおせない中なか、廃業はいぎょうを考かんがえる中小ちゅうしょう企業きぎょうの経営けいえい者しゃが増ふえているのではないか」と分析ぶんせきしています。

そのうえで「中小ちゅうしょう企業きぎょうの資金繰しきんぐり支援しえんなど、今いまの対策たいさくは効果こうかを上あげているが、例たとえるなら『輸血ゆけつ』であり、赤字あかじを垂たれ流ながす『傷口きずぐち』を塞ふさぐことが必要ひつようだ。新あたらしい生活せいかつ様式ようしきに合あった業態ぎょうたいへの転換てんかんも含ふくめ、中小ちゅうしょう企業きぎょうの経営けいえいを一緒いっしょになって考かんがえる『伴走ばんそう型がた』の支援しえんが、地域ちいきの金融きんゆう機関きかんなどに求もとめられている」と指摘してきしています。

廃業はいぎょうを考かんがえざるをえない三味線しゃみせんメーカーは

東京とうきょう 八王子はちおうじ市しにある三味線しゃみせんメーカー「東京とうきょう和楽わらく器き」です。

創業そうぎょうは明治めいじ18年ねん。

プロの演奏えんそう家かが使つかう三味線しゃみせんも数多かずおおく製造せいぞうし、歌舞伎かぶきや文楽ぶんらくなどの日本にっぽんの伝統でんとう芸能げいのうを支ささえてきました。

工場こうじょうでは17人にんの職人しょくにんらが135種類しゅるいの機械きかいを使い分つかいわけて、材料ざいりょうとなる木きの形かたちを整ととのえ、最後さいごは手て作業さぎょうで丁寧ていねいに仕上しあげて行いきます。

出来栄できばえを決きめる「棹さお（さお）」と呼よばれる部分ぶぶんを磨みがく作業さぎょうだけでも20もの工程こうていがあり、熟練じゅくれんの職人しょくにんでも仕上しあげるまで3日にちほどかかります。

1人前にんまえの職人しょくにんになるには、最低さいていでも10年ねんはかかると言いわれています。

しかし、いま廃業はいぎょうを考かんがえざるをえない状況じょうきょうに直面ちょくめんしています。

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで、演奏えんそう会かいが軒並のきなみ中止ちゅうしとなり、小売こうり店てんが休業きゅうぎょうするなどして注文ちゅうもんが激減げきげんしているからです。

ことし4月つきと5月つきは新規しんきの注文ちゅうもんや修理しゅうりの依頼いらいがほぼなくなりました。

もともと注文ちゅうもんは減少げんしょうする傾向けいこうにあり、かつては月つき1500万まん円えんあった売り上うりあげは半分はんぶん以下いかの600万まん円えんほどに減へっていました。

そこに、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうが追い打おいうちをかけ、経営けいえい者しゃの大瀧おおたき勝弘かつひろさん（80）は一時いちじ、廃業はいぎょうするしかないと考かんがえたといいます。

ただその後そのご、廃業はいぎょうするかもしれないと知しった取引とりひき先さきなどから相次あいついで注文ちゅうもんが入はいるようになり、小学生しょうがくせいの男の子おとこのこから「ちょっとでも力ちからになりたい」という手紙てがみが届とどくなど、支援しえんの声こえも寄よせられているということです。

大瀧おおたきさんは廃業はいぎょうの時期じきを先さき延のばしして、追加ついかの注文ちゅうもんの対応たいおうにあたることにしています。

それでも感染かんせんの収束しゅうそくが見みえない中なかで、いずれ廃業はいぎょうは避さけられないと考かんがえています。

大瀧おおたきさんは「応援おうえんの声こえもいただき、会社かいしゃを続つづけたいという気持きもちもありますが、注文ちゅうもんがなけなれば頑張がんばりようがありません。毎日まいにち本当ほんとうに悩なやんでいます」と話はなしています。

「信金しんきん中央ちゅうおう金庫きんこ」の新あらたな取り組とりくみ

東京とうきょう和楽わらく器きのように、中小ちゅうしょう企業きぎょうの中なかには優すぐれた技術ぎじゅつを持もっているところも多おおくあります。

それだけに廃業はいぎょうが相次あいつげば、日本にっぽんの成長せいちょうを支ささえてきた貴重きちょうな技術ぎじゅつ力りょくが失うしなわれるほか、地域ちいき経済けいざいにも打撃だげきとなります。

こうした状況じょうきょうに危機きき感かんを強つよめているのが、地域ちいき密着みっちゃく型がたの経営けいえいを続つづけてきた各地かくちの信用金庫しんようきんこです。

その全国ぜんこく組織そしき「信金しんきん中央ちゅうおう金庫きんこ」は、中小ちゅうしょう企業きぎょうの事業じぎょうを継続けいぞくを後押あとおしするための、新あらたな取り組とりくみを始はじめました。

インターネット上じょうで企業きぎょうの買収ばいしゅうや合併がっぺいなどの仲介ちゅうかいを手てがける企業きぎょうと提携ていけい。

廃業はいぎょうを検討けんとうしている中小ちゅうしょう企業きぎょうの経営けいえい者しゃと、事業じぎょうを引き継ひきつぎたいと考かんがえている経営けいえい者しゃを、インターネットのサイトを通をつうじて結び付むすびつけ、事業じぎょうを継続けいぞくさせようという仕組しくみで、ことし4月つきから始はじめました。

中小ちゅうしょう企業きぎょうの経営けいえい者しゃにかわって信用金庫しんようきんこの営業えいぎょう担当たんとう者しゃが、サイトに情報じょうほうを登録とうろくし引き受ひきうけ先さきとの交渉こうしょうも担にないます。

ただ、中小ちゅうしょう企業きぎょうの経営けいえい者しゃは高齢こうれい者しゃが多おおく、サイトに情報じょうほうを掲載けいさいすることに抵抗ていこう感かんのある人ひとも少すくなくないということです。

こうした企業きぎょうには信用金庫しんようきんこの営業えいぎょう担当たんとう者しゃが「ただ廃業はいぎょうするより、買い手かいてを探さがしてみないか」と、粘り強ねばりづよく情報じょうほうの掲載けいさいを促うながしていて、少すこしずつ掲載けいさいする企業きぎょうが増ふえているということです。

信金しんきん中金なかがねなどでは、サイトを運営うんえいする企業きぎょうでは、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうが長期ちょうき化かする中なか、今後こんご、廃業はいぎょうを考こうる経営けいえい者しゃが増ふえる可能かのう性せいがあることから、地方ちほうの中小ちゅうしょう企業きぎょうを対象たいしょうにしたオンライン相談そうだん会かいの開催かいさいなど、取り組とりくみを強化きょうかすることにしています。

信金しんきん中金なかがねの子会社こがいしゃ「信金しんきんキャピタル」の山口やまぐち和男かずお社長しゃちょうは「廃業はいぎょうは経営けいえい者しゃだけの問題もんだいではない。地元じもと経済けいざいにも影響えいきょうを与あたえ、その地域ちいきにとっては死活しかつ問題もんだいととらえている。全国ぜんこくの信金しんきんのネットワークをいかし、1社しゃでも廃業はいぎょうを食い止くいとめたい」と話はなしています。