これまで何度も苦しめられてきた中東での戦いを盤石の試合運びで制してアジア最終予選では3大会ぶりとなる初戦からの2連勝。チームとしての自信を深める一戦でした。
W杯アジア最終予選 日本は2連勝で勝ち点「6」
アジア最終予選は各グループの6チームが総当たりで戦い、上位2チームに入れば北中米の3か国で共催するワールドカップの出場権を獲得します。
日本は5日にホームで行われた初戦で中国に大勝し、10日は強豪のオーストラリアに勝って勢いにのるバーレーンとアウェーで対戦しました。
この試合、日本は中国戦から先発メンバー1人を変えたのみで同じくスリーバックの攻撃的な布陣で臨みました。
日本は前半、球際で激しくボールを奪いに来るバーレーンの守りに対し、主導権を握りながら得点できない時間が続きますが、前半37分に相手のハンドで獲得したペナルティーキックを上田綺世選手が冷静に決めて先制しました。
後半は開始早々から運動量の落ちたバーレーンを攻めたて、後半から投入された伊東純也選手の折り返しを受けた上田選手が2点目を決めてリードを広げました。
さらに16、19分と守田英正選手が立て続けにゴールをあげて勝利を決定づけると、途中出場の小川航基選手も追加点を決めました。
日本は5対0と初戦に続く大勝で2連勝とし、勝ち点を「6」に伸ばしました。
次の第3戦は来月10日、アウェーでグループ2位につけるサウジアラビアと対戦します。
《日本代表 監督・選手談話》
森保一監督「選手たちが粘り強く戦い ペースを握れた」
森保一監督は、初戦に続く大勝について、「アウェーの難しい環境の中、選手たちが粘り強く戦ってくれて、ペースを握ることができた。相手は前半、我々の攻撃に対処してきたが、その攻撃を後半も続けたことで、体力も集中力も切れてきたと思う」と振り返りました。
また、日本のサポーターに向けて、「勝利を届けることができて良かった。これから厳しい戦いがまだまだ続くと思うので、一緒に戦ってもらいたい」と呼びかけました。
2得点 守田英正「味方に感謝したい」
代表戦で自身初となる1試合2得点をあげた守田英正選手は「僕個人で取ったゴールではないので、味方に感謝したい。暑くてしんどかったが、試合のペースなどいろんなことを考えながらうまくいった試合だった」と一定の手応えを口にしました。
その一方で、「前半はテンポが悪く、簡単なミスからカウンターを受けるなど難しかった。ハーフタイムにいい声が掛かって、後半は修正してよりダイナミックに攻撃できたが、前半のうちに課題をピッチで解決するというところは改善の余地があると思う」とペナルティーキックによる1点にとどまった前半の戦いを反省していました。
2得点 上田綺世「チームとして狙ったことがいくつかできた」
2得点をあげたフォワードの上田綺世選手は「結果的には大差での勝利となったが、前半の入りなど難しい試合だった。前回の試合でなかなか自分がシュートを打てなかったので、自分がチャンスを作ることは意識したし、チームとして狙っていたことがいくつかできた」と振り返っていました。
鎌田大地「僕たちは本当にいい選手がそろっている」
フル出場した鎌田大地選手は、気温37度という条件の中、勝利を収めたことについて、「アウェーでこの暑さの中、前半は相手がモチベーションを高くプレーしてくるのは分かっていたが、自分たちがやるべきことをやって耐えて1点を取れたことで、後半の相手の間延びにつながったと思う」と振り返りました。
また、多くの選手が持ち味を発揮して2連勝したことについては「この2試合を見ていただければ分かるように僕たちは本当にいい選手がそろっている。ポジション争いが厳しくなっていることで一人ひとりがすごくいいモチベーションでやれている。しっかり所属チームでポジションを確立してまた代表に戻ってくることが大切だと思う」と述べました。
バーレーン戦の先発メンバー
▽ゴールキーパー
鈴木彩艶選手(イタリア1部、パルマ)
▽ディフェンダー
谷口彰悟選手(ベルギー1部、シントトロイデン)
板倉滉選手(ドイツ1部、メンヘングラートバッハ)
町田浩樹選手(ベルギー1部、サンジロワーズ)
▽ミッドフィルダー
守田英正選手(ポルトガル1部、スポルティング)
遠藤航選手(イングランドプレミアリーグ、リバプール)
三笘薫選手(イングランドプレミアリーグ、ブライトン)
南野拓実選手(フランス1部、モナコ)
堂安律選手(ドイツ1部、フライブルク)
鎌田大地選手(イングランドプレミアリーグ、クリスタルパレス)
▽フォワード
上田綺世選手(オランダ1部、フェイエノールト)
【解説】チームとしての自信を深める一戦
「」
バーレーン戦にフル出場した鎌田選手は試合直後のインタビューに胸を張った。
5日にホームで行われた中国との初戦に7対0と大勝した日本だが、過去の最終予選の歴史を考えればアジアの戦いを勝ち抜くのは、そう甘くない。
第2戦の相手、バーレーンは初戦で強豪・オーストラリアに競り勝ち、勢いに乗っていた。
さらに中東のスタジアムは午後7時のキックオフにも関わらず、気温37度の酷暑だった。
そのアウェーでの戦いで日本は序盤から、バーレーンの守備に苦しむ。
ボールをキープして再三、前線に攻め込むものの激しく体を寄せられ、なかなかフィニッシュの形を作らせてもらえない。
「デュエル」と呼ばれる1対1の球際の攻防は前半は7割近くバーレーンが制した。
それでも前半37分、ゴール前に向かって仕掛け続けたことでチャンスが舞い込む。
鎌田選手のクロスがハンドを誘い、ペナルティーキックを獲得。
上田選手が落ち着いて決めて1点をもぎ取り、均衡を破る。
そして後半の冒頭から日本は圧倒的なスピードが持ち味の伊東選手を投入。
起用は当たり、後半2分、右サイドを抜け出した伊東選手の折り返しを上田選手が再び決めて、リードを広げた。
酷暑の中、バーレーンの選手たちは守備に走り続けたことで体力を消耗していた。
ここからは森保監督が「」と語った。
相手にどれだけ勢いがあり、対策を立てられようとも最後は自分の形に持ち込む、まさに横綱相撲だった。
これまで何度も苦しめられてきた中東での戦いを盤石の試合運びで制してアジア最終予選では3大会ぶりとなる初戦からの2連勝。
この2試合の12得点は9選手があげた。
こうした状況を鎌田選手は「」と歓迎した。 次の第3戦は再び中東でサウジアラビアと相まみえる。 それぞれが結果を残す中、誰をピッチに立たせるべきか。 森保監督のうれしい悲鳴が聞こえてきそうな、チームとしての自信を深める一戦だった。