カード停止ていし後ごも不正ふせい利用りよう相次あいつぐ スマホのタッチ決済けっさい悪用あくようか

被害ひがいにあわないために、利用りよう者しゃはどう対応たいおうすればいいのでしょうか。

利用りよう停止ていししたはずなのに…

NHKの情報じょうほう提供ていきょう窓口まどぐち「ニュースポスト」に、ことし7月つき以降いこう、クレジットカードを停止ていししたあとも、不正ふせい利用りようが続つづいているという被害ひがいを訴うったえる情報じょうほうが複数ふくすう届とどきました。国民こくみん生活せいかつセンターにも同様どうようの相談そうだんが寄よせられています。

そのうちの1人にん、北海道ほっかいどうに住すむ60代だいの女性じょせいです。

ことし6月つき、カード会社かいしゃの利用りよう明細めいさいをかたるフィッシングメールを受け取うけとりました。メールはふだん届とどくものと変かわらない書式しょしきで、利用りようした金額きんがくが記憶きおくと違ちがったため、確認かくにんしようとメールのリンクを開ひらき、サイトにログイン情報じょうほうやカード番号ばんごうなどの決済けっさい情報じょうほうを入力にゅうりょくしてしまったといいます。

その後そのごすぐにiPhoneを使つかった電子でんし決済けっさいサービス「アップルペイ」に、入力にゅうりょくしたカード情報じょうほうが登録とうろくされたという身みに覚おぼえのない通知つうちが届とどき、偽にせサイトに情報じょうほうを入力にゅうりょくしていたことに気付きづいたといいます。

60代だい女性じょせい

「最初さいしょのメールも本当ほんとうに巧妙こうみょうで、本物ほんもののカード会社かいしゃのサイトにつながってるようで、引っ掛ひっかかってしまいました。決済けっさいサービスへの登録とうろく通知つうちをみて、『おかしい、やってしまった』と気付きづきましたが、遅おそかったです」

女性じょせいはすぐにカード会社かいしゃに連絡れんらくして利用りようを停止ていし。これで大丈夫だいじょうぶと思おもったその3日にち後ごのことでした。

首都しゅと圏けんの店舗てんぽなどで少額しょうがくの買い物かいものをしたという覚おぼえのない利用りよう明細めいさいが連日れんじつ、届とどくようになったのです。

先月せんげつまででその回数かいすうは30回かい以上いじょう。総額そうがくでおよそ24万まん円えんを不正ふせい利用りようされました。

60代だい女性じょせい

「カードの利用りようを止とめたのに使つかわれるのはどうしてという思おもいで、毎日まいにち毎日まいにち、身みに覚おぼえのない利用りよう明細めいさいが届とどくので、本当ほんとうに精神せいしん的てきにつらかったです。カード会社かいしゃからは、『そのうち止とまります』と言いわれていますが、そのうちって、いつですかという気持きもちになりました」

フィッシング詐欺さぎがきっかけで続つづく不正ふせい利用りよう

埼玉さいたま県けんの50代だいの女性じょせいも、先月せんげつフィッシングメールで誘導ゆうどうされてカード情報じょうほうを入力にゅうりょくしてしまいました。

カード会社かいしゃに連絡れんらくしてすぐに利用りようを停止ていししましたが、同おなじようにスマホの決済けっさいサービスに登録とうろくされ、これまでにおよそ16万まん円えんを不正ふせい利用りようされたということです。

今月こんげつに入はいってからも、ドラッグストアなどでの買い物かいものに使つかわれ続つづけているということです。

埼玉さいたま県けんの50代だい女性じょせい

「不正ふせい利用りようが続つづいているだけでなく、個人こじん情報じょうほうが流出りゅうしゅつした可能かのう性せいもあって不安ふあんです。不正ふせい利用りようがいったん止とまったとしても、またいつか再開さいかいするのではというおそれも感かんじています」

北海道ほっかいどうの50代だいの女性じょせいも身みに覚おぼえのない請求せいきゅうに気付きづき、カードの停止ていしと再さい発行はっこうの手続てつづきをしました。

ところが、先月せんげつまで2か月かげつにわたって、少額しょうがくの不正ふせい利用りようが続つづき、あわせておよそ30万まん円えんが使つかわれたということです。

北海道ほっかいどうの50代だい女性じょせい

「不正ふせい利用りようの金額きんがくがだんだん膨ふくらんできて、驚おどろきと今後こんごどうなるんだろうという思おもいで、ずっと不安ふあんとストレスのある状態じょうたいが続つづいていました。SNSなどを見みていると、ほかにも被害ひがい者しゃがいるようなので、カード会社かいしゃにももっと対策たいさくをしてほしいのが正直しょうじきな気持きもちです」

なぜ停止ていし後ごも不正ふせい利用りよう？

3人にんの女性じょせいはカード会社かいしゃに問い合といあわせて、いずれも被害ひがいは補償ほしょうされています。

このうち1人にんはカード会社かいしゃからは「オフラインでの決済けっさいを悪用あくようされている可能かのう性せいがあり、不正ふせいな利用りようをすぐに止とめられない」と説明せつめいされたということです。

いったいどういうことなのか。

複数ふくすうのカード会社かいしゃによると、店頭てんとうの端末たんまつにスマホをかざすタッチ決済けっさいの取り引とりひきの一部いちぶでは、カードの有効ゆうこう性せいを確認かくにんする通信つうしんがすぐに行おこなわれずに、いったんオフラインで支払しはらいが行おこなわれるケースがあり、この仕組しくみを悪用あくようしているとみられるということです。

カード会社かいしゃでは「被害ひがいの状況じょうきょうを把握はあくし、関係かんけい機関きかんと連携れんけいして対応たいおうしている」として、不正ふせい利用りようを抑おさえる対策たいさくを進すすめています。

また、タッチ決済けっさいのサービスを提供ていきょうしているNTTドコモは「ことしに入はいってから同様どうようの被害ひがいを把握はあくしており、関連かんれん企業きぎょうと連携れんけいして対策たいさくを進すすめている」とコメントしています

専門せんもん家か「こまめに利用りよう明細めいさいの確認かくにんを」

被害ひがいをなくすにはどうすればいいのか。

決済けっさいシステムに詳くわしいコンサルタントの山本やまもと正行まさゆきさんは、オフライン決済けっさいで支払しはらえる限度げんど額がくを引き下ひきさげたり、不正ふせい検知けんちの仕組しくみを強化きょうかしたりするなどの対策たいさくが必要ひつようだと指摘してきしています。

山本やまもと正行まさゆきさん

「通常つうじょうのカード決済けっさいは、カード会社かいしゃ側がわと通信つうしんして確認かくにんした上うえで決済けっさいされますが、オフライン決済けっさいは通信つうしんのためのコストや時間じかんがかからず便利べんりに使つかえる一方いっぽう、利用りようした瞬間しゅんかんはカード会社かいしゃ側がわへの承認しょうにんの手続てつづきが行おこなわれず、そのまま使つかえてしまうのが特徴とくちょうです。さらにオフラインで不正ふせい利用りようされたとしても利用りよう者しゃ側がわに請求せいきゅうするかどうかをカード会社かいしゃ側がわが判断はんだんするプロセスがありますが、今回こんかいはなぜかそこでも止とめられていない状況じょうきょうです。新あたらしい手口てぐちが分わかった時ときにすぐに止とめられるように、カード会社かいしゃ側がわは不正ふせい検知けんちシステムをアップグレードするなどの対策たいさくにより注力ちゅうりょくしていく必要ひつようがあると思おもいます」

一方いっぽう、利用りよう者しゃ側がわに対にたいしては長期間ちょうきかん、被害ひがいにきづかないと補償ほしょうされないケースもあるとして、カードの利用りよう明細めいさいはこまめに確認かくにんすることや、身みに覚おぼえのない請求せいきゅうがあった場合ばあいにはすぐにカード会社かいしゃに連絡れんらくすることが大切たいせつだと指摘してきしています。

その上うえで、カード情報じょうほうがフィッシング詐欺さぎで漏ろうえいしたケースもあることから、メールをクリックして情報じょうほうを入力にゅうりょくしないように呼よびかけています。

山本やまもと正行まさゆきさん

「悪質あくしつな偽にせサイトに誘導ゆうどうされるリスクは利用りよう者しゃ自身じしんでも回避かいひすることができます。メールやショートメッセージで送おくられてきたリンクは絶対ぜったいにクリックせず、カード情報じょうほうを入力にゅうりょくする場合ばあいは、カード会社かいしゃが提供ていきょうしているアプリや公式こうしきのホームページから必かならずログインすることが大切たいせつです」