翻訳: Leta Emter 校正: Riaki Poništ
翻訳: Leta Emter 校正: Riaki Poništ
今日はジャパニーズスタイルで やって参りました
でも こういう着物を着て
こういうマイクをつけるっていうのは ちょっと違和感があって
似合うのかな というふうに心配してます
今 後ろに映ってるのは私の作品です いくつか作っているその一つです
私は蒔絵という 日本の古来の
伝統的な技術を使って 作品を作ってますが
この蒔絵という技術は
もう千年以上前から完成して 日本独自に発達して
各時代各時代の デザインを生み出しながら
もう本当に途絶えることなく
日本では現代まで伝わっているという 特殊な技術です
で 単純に蒔絵という一つの 技術を紹介したいと思ってますが
この蒔絵というのは 漆で模様を書いて
その漆が固まらないうちに、 金粉 いわゆる金や銀の粉を
蒔き付けて模様にしていくと こういう技法です かなり特殊な絵画表現です
画像でちょっと 分かりにくいかと思って
今日は 現物のその粉を蒔くという 道具をちょっと持参しまして
これをこう指で持ちまして こうはじきながら
必要な分量を落として で濃淡をつけて 模様していくという技法なんですね
これをこうはじくと 聞こえますかね (コンコン)
こういう 千年前もこういう音が してたと思います
実はこういう 蒔絵を使って 私が仕事していますが
今日は この蒔絵を使うための
「漆」という天然素材のお話をさして いただきたいなというふうに思ってます
その前に 日本の 「漢字」というのをイメージしてみてください
こういうものです
日本の漢字というのは 特に木材を表現するときには
必ず 木へんが付きます
もう「梅」だろうと 「桜」だろうと 「松」だろうと
すべて木へんが付くのが 日本の漢字です
ところが この 「漆」だけは 木へんが付かないんです
これは もう多分 数多くの漢字がある中で
木偏の付かない木は 漆だけだと思います
まず なんと さんずいが付くわけですね
更にこの右側の つくりの部分というのが
ちょっと漫画にしましたけど
木に傷をつけて 水が出るという意味です
なかなか漆という漢字 難しいと思うんですけども
これは要するに漢字ができた時代から 樹木として役に立てるんじゃなくて
実は これを樹液を役に立てるという
こういう歴史がある これが 漆です
多分 漆の漢字は書けないという方も
これで書けるようになったと思います (笑)
さんずいに 木に傷をつけたら水が出る もう大丈夫ですよね
家に帰ってもう一回書いてください (笑)
この漢字 漆の液 要するに液がどう役立つか
こういうものが 一番重要になってきますけども
やはり うるしの幹に傷をつけて 出すわけですけども
これは人間でいうと 血液と一緒です
私たちのこの 皮膚に傷をつけると 血が出て かさぶたを作って
そして 身を守る
うるしも やはり傷がつくと そこに樹液が集まって
空気中の水分や あるいは 温度
こういった反応をして 固まって自分の身を守るんです
私たちはそれが固まる前に
一つずつあのように へらで掻き取って
一へら一へら集めて それを今使わしてもらってます
この漆は実は
もう固まると ものすごく接着力があって
金属や陶器もみんな くっつけてしまうぐらい強いです
更に これが一旦固まると
なかなか強い被膜を持ってます
まあ 水や熱はもちろんのこと
この 漆が塗られたうえに
器の中に例えば
濃塩酸や濃硫酸を入れても
びくともしないぐらい強いんです
みなさん 「漆は弱い」っていう イメージがあるんですけど
美しくてこんな強いものというのは たぶん
地球上になかなか自然の塗料でもまずないし
人工の塗料を加えても なかなかない素材だと思ってます
で こういう漆という塗料と 私たちの先人の付き合いっていうのは
驚くことなかれ もう一万年ぐらいは付き合ってます
残念ながら この50年ぐらいの間に
石油製品いわゆるプラスティックの器が 私たちの生活の中に氾濫して
漆というものから 大分遠ざかってしまいました
漆は高いというイメージ
プラスティックは安い 当然安いですけれども
本当に先ほど言ったように 漆というのは
美しくて 本当に肌触りのいい 感触の素晴らしい
しかも 強い物だ
こういうところをもう一度 思い起こして いただければなというふうに思ってます
今年の始めぐらいですかね
実は 冒険家の三浦雄一郎さんと お会いする機会がありまして
彼は今80歳という年代で 三度目の エベレスト登頂にアタックしている最中です
で この 三浦さんと お話しているときに
6000メートル ベースキャンプを超えた 6000メートルの極寒の地では
漆なんていうの あ ごめんなさい プラスティックとか
金属の器だと すぐ冷めてしまって
とても使えないんだ」 っていうお話をされて
「それだったら
木の 漆ぬりのお椀を使ったら いつまでも冷めずに暖かく使えるんですよ」
というお話をしたら
「是非それをもって行きたい」 っていうお話をされまして
もう 早速作ることになりまして
それを今回 持って行っていただきました
今日 ここでお話しするということを言ったら
あの写真をつい三日ほど前に 送ってきてくださって
「ベースキャンプでこうやって使ってるよ」 って言ってくれました
来週から いよいよ本格的に 登頂に入るそうです
まあ 是非 登頂に成功したときは
私たちにもどうなったかっていう お話を期待したいと思ってます
漆は 実は ヨーロッパ アメリカにも すごく人気がありまして
これは実際遡ると 16世紀ぐらいまで遡って
皆さんも 16世紀後半に
キリスト教文化が日本に来たことは よくご存じだと思います
そのときに 鉄砲が来たり
ワインやカステラが来たのも 皆さんよく知ってると思うんですけど
それと同時に
逆に日本から この蒔絵をした漆が 大量に注文して作られて
出てったということは ほとんどご存じないと思います
今でもヨーロッパの教会に行くと こういう器物が大事に保管されてます
実際 江戸時代に日本は 鎖国というのをするんですけど
その間も漆はどんどんどんどん作られて ヨーロッパに出まして
そのとき 18世紀 19世紀が
漆は「ジャパン」と呼ばれるようになったんです
でも 残念ながら 今 皆さんご存知のように
漆は英語では「ラッカー」と呼ばれて
ものすごく残念ですけど
でも 先ほど言ったようにこれだけの
素晴らしい素材と能力を持った 漆がラッカーという言葉では
絶対通じないというふうに 私は思ってます
これは いわゆる工芸という分野も
ちょっと枠が広がりますけど同じで
日本の工芸の文化っていうのは
毎日作るような いわゆるその クラフトという分野だけではなくて
もっともっと
本当に年に一回 一生に一回しか作らないような
そういったものもすべて 工芸のジャンルに入ります
まして 使うスタイルは持ってても 一度も使わない
あるいは美術として鑑賞するもの
こういったものも全部 日本では工芸です
それぐらい いわゆる 範囲が広いんです
極端にいうと
日本の絵画は 屏風ですとか 襖ですとか
日常の生活の中に絵を描くんですね
要するに 生活の中
日本が 日本人が使う そういうものに 美術を投入するっていうのが
日本の文化だったんです
これを やはりもう一度見直して
やはり工芸を単純に使うだけの 分野のクラフトというのを訳すのは難しい
私はそれに関しては 疑問をもっています
要するに この話を聞いていただいた皆さんには是非
漆はラッカーじゃなくて やっぱりそのまま漆
工芸はクラフトではなくて そのまま工芸というふうに
是非 海外の方も受け取ってもらえたらな というふうに願ってます
漆は 一つ自然のものを 大切にしながら
自然の素材を活かして
そして 自然を壊さずに もう一回再生してまで何回でも作れる素材です
でも それは 50年とか 100年とか
短いサイクルじゃなくて
400年 500年 あるいは1000年という 長〜いサイクルの循環型なんです
今日 ここに こういう小さい器を持ってきました
この器 実は400年前に 塗られたものです
もう 本当についこの間 塗ったような綺麗な肌をしてます
漆はこのぐらい長く使えるんです
一生のうち 本当に何か結果を 残さなければ意味がないとか
そういうことではなくて
自分たちが考えた価値観を 一生のうちにもし全うできなくても
その価値観は必ず 次世代がつなぐんだということが
漆がそれを教えてくれてます
事実 私も自分の父親が漆に対する そういった価値観を持って活動してたのに
共感をもって 私もこういう仕事を選びました
私の息子たちも今 その
私の漆に対する価値観に共鳴して 漆の分野で活動してくれてます
ゆっくり作って
ゆっくり使って
ゆっくりと次世代につなげると
こういうことが 漆の持つ文化だと思ってます
是非 この天然の素晴らしい塗料を
もう一度見直していただけたら というふうに思ってます
最後に我が家に こういう食卓の写真を撮って用意しました
白いご飯に味噌汁に 鮭の切り身です
こんな質素な食事でも
この漆塗りの器で食べれば 本当に心が豊かになります
実は白い温かいご飯は
お茶碗で食べるとすぐ冷めてしまいますけど
漆のお椀で食べると 最後の一粒まで温かく
本当に美味しく食べられるんです
是非試してみてください
漆は使えば使うほど きれいになります
肌が本当に美しくなります
作り手と使い手が 一緒に育てていくのが漆なんです
是非漆をもう一度愛して 使ってみてください
どうもありがとうございました
(拍手)
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