国くにの残業ざんぎょうの上限じょうげん超こえる教員きょういん 中学校ちゅうがっこう77.1％ 小学校しょうがっこう64.5％ 現場げんばは

学校がっこうでの勤務きんむ時間じかんを調しらべたところ、

一いち日にち当あたりの平均へいきんは

平日へいじつで、

▽中学校ちゅうがっこうでは11時間じかん1分ふん、

▽小学校しょうがっこうでは10時間じかん45分ふんと

前回ぜんかいに比くらべていずれも30分ふん程度ていど減へりました。

土日どにちは、

▽中学校ちゅうがっこうは2時間じかん18分ふんと前回ぜんかいより1時間じかん余あまり減少げんしょうし、

▽小学校しょうがっこうでは36分ふんで、30分ふん余あまり減少げんしょうしました。

また、今回こんかい行おこなわれた調査ちょうさで「過労かろう死しライン」と言いわれる

月つき80時間じかんの残業ざんぎょうに相当そうとうする可能かのう性せいがある教員きょういんは、

▽中学校ちゅうがっこうで36.6％、

▽小学校しょうがっこうで14.2％でした。

6年ねん前まえの前回ぜんかいは

▽中学校ちゅうがっこうで57.7％、

▽小学校しょうがっこうで33.4％でした。

文部もんぶ科学かがく省しょうは、ICTを活用かつようした負担ふたん軽減けいげん策さくやコロナ禍かでの学校がっこう行事ぎょうじの縮小しゅくしょうなどで勤務きんむ時間じかんは減少げんしょうしたものの、依然いぜんとして長時間ちょうじかん勤務きんむが課題かだいだとしています。

このため、今回こんかいの調査ちょうさ結果けっかを分析ぶんせきし、教員きょういんの月給げっきゅうの4％を上乗うわのせする代かわりに、残業ざんぎょう代だいを出ださないことを定さだめた「給きゅう特とく法ほう」の見直みなおしや、働はたらき方かた改革かいかくなどについて検討けんとうを進すすめていくとしています。

文部もんぶ科学かがく省しょうの村尾むらお崇たかし財務ざいむ課長かちょうは、「働はたらき方かた改革かいかくの一定いっていの進捗しんちょく（しんちょく）は見みられたと思おもうが、依然いぜんとして長時間ちょうじかん勤務きんむの教職きょうしょく員いんが多おおいということも改あらためて浮き彫うきぼりになった。教員きょういん定数ていすうの改善かいぜんや支援しえんスタッフの充実じゅうじつなどについても議論ぎろんを進すすめたい」と話はなしていました。

一方いっぽう、土日どにちでは、前回ぜんかいは小中こなか学校がっこうともに1時間じかんを超こえていましたが、今回こんかいは中学校ちゅうがっこうが49分ふん、小学校しょうがっこうでは36分ふんとなり、いずれも減少げんしょうしました。

中学校ちゅうがっこうで顧問こもんを担当たんとうしている教諭きょうゆに

1週間しゅうかんに平均へいきんで何なん日にち活動かつどうをしているか尋たずねたところ、

▽5日にちが最もっとも多おおく56.1％、

▽4日にちが19.5％、

▽6日にちが6.4％でした。

前回ぜんかいの調査ちょうさでは、

▽6日にちが最もっとも多おおく49.2％、

▽5日にちが19.4％、

▽7日にちが15.1％で、

教員きょういんの働はたらき方かた改革かいかくと関連かんれんした部ぶ活動かつどうの見直みなおしが進すすむ中なか、

活動かつどうの日数にっすうが減へっていることが分わかりました。

部ぶ活動かつどうをめぐっては、2018年ねんにスポーツ庁ちょうが、ガイドラインを策定さくていし、学期がっき中ちゅうは、週しゅうに2日にち以上いじょう休やすむことなどが盛り込もりこまれます。

山縣やまがた教頭きょうとうは、保護ほご者しゃの対応たいおうや一部いちぶのお金おかねの管理かんりも担になっているため、学校がっこうの安全あんぜん対策たいさくについての保護ほご者しゃ向むけの資料しりょうの作成さくせい、銀行ぎんこうに行いっての学校がっこうの預金よきんの引き出ひきだし、郵便ゆうびん物ぶつの発送はっそうなどさまざまな業務ぎょうむに対応たいおうしていました。

急きゅうな事案じあんも、教頭きょうとうが対応たいおうすることが多おおく、校庭こうていに落おちていたサッカーボールの持ち主もちぬしを探さがし歩あるく一幕ひとまくもありました。

また現場げんばの教員きょういんたちに少すこしでも余裕よゆうを持もたせようと、山縣やまがた教頭きょうとうも週しゅうに3時間じかん、授業じゅぎょうを受け持うけもっていて、この日ひは4年生ねんせいに理科りかを教おしえていました。

回収かいしゅうで得えた収益しゅうえきが、学校がっこうの備品びひんの購入こうにゅうなどに充あてられるため参加さんかしたといいます。

学校がっこうに戻もどった後のちも事務じむ作業さぎょうに追おわれ、この日ひ、退勤たいきんしたのは午後ごご8時半じはんでした。

山縣やまがた教頭きょうとうは「外部がいぶとの対応たいおうなど自分じぶんの立場たちばでないとできない業務ぎょうむが多おおいと感かんじます。ほかの先生せんせい方かたもいっぱいいっぱいで、早はやく帰かえってもらいたいため、子こどもに関かかわる仕事しごと以外いがいの余計よけいな業務ぎょうむを振ふるわけにもいきません。自分じぶんの勤務きんむ時間じかんを減へらすのは難むずかしいと思おもいます」と話はなしていました。

教員きょういんの働はたらき方かたに詳くわしい立教りっきょう大学だいがくの中原なかはら淳あつし教授きょうじゅは「民間みんかん企業きぎょうでも、社員しゃいんの勤務きんむ時間じかんを減へらそうとすると中間ちゅうかん管理かんり職しょくにしわ寄しわよせが来くることが多おおい。教頭きょうとうや副ふく校長こうちょうは学校がっこうごとに1人にんしかいないことが多おおいため、サポートする支援しえん員いんを付つけるなどの対策たいさくも必要ひつようだ。教頭きょうとうの疲弊ひへいする姿すがたを見みている教員きょういんたちは昇進しょうしんを避さけるようになり、このままではなり手なりてがいなくなってしまう」と話はなしていました。

また、週しゅうに2日にちは子こどもがパソコンの自動じどう採点さいてんで解とき進すすめられる宿題しゅくだいを出だすことで、最大さいだいで一いち日にち20分ふんかかっていた丸まる付づけの時間じかんを削減さくげんしました。

さらに、研究けんきゅう主任しゅにんとして周まわりの教員きょういんたちの授業じゅぎょうの準備じゅんびにかかる時間じかんを減へらそうと、甲州こうしゅう市し教育きょういく委員いいん会かいが整備せいびした市内しないの教員きょういんたちが作成さくせいした教材きょうざいをウェブで共有きょうゆうできるシステムを活用かつようするよう若手わかてを中心ちゅうしんに促うながしています。

昨年度さくねんどは8か月かげつにわたり、月つき当あたりの残業ざんぎょう時間じかんが70時間じかんを超こえたということです。

取材しゅざいした4月つきの平日へいじつも学校がっこうを出でたのは午後ごご9時じ過すぎで、勤務きんむ時間じかんを減へらすことに難むずかしさを感かんじているということです。

給食きゅうしょくは5分ふんほどで平たいらげ、まだ子こどもたちが食たべ続つづける中なか、宿題しゅくだいの丸まる付づけや連絡れんらく帳ちょうのチェックに追おわれていました。

放課ほうか後ごに同おなじ学年がくねんの担任たんにん教諭きょうゆとの打ち合うちあわせなどを行おこない、午後ごご5時じに仕事しごとを切り上きりあげて3歳さいの長女ちょうじょを迎むかえるため保育ほいく園えんに行いきました。

子こどもが寝付ねついた午後ごご9時じごろ、ようやく明日あしたの授業じゅぎょうの準備じゅんびに取とりかかり、指導しどう書しょを参考さんこうにしながら黒板こくばんに書かく内容ないようを確認かくにんしていました。

その一方いっぽうで、「担任たんにんとしての業務ぎょうむが減へるわけではないので、日にち中ちゅうは学校がっこうでしかできない校こう務つとむに集中しゅうちゅうし、持ち帰もちかえることができるものはすべて家かでやるパターンが当たり前あたりまえになっています。授業じゅぎょうの準備じゅんびが足たりているか、児童じどうのふとした変化へんかに気きづけているかなど、不安ふあんになることもあります」と話はなしていました。

中原なかはら教授きょうじゅは国くにに期待きたいすることとして、給きゅう特とく法ほうの廃止はいしも含ふくめた見直みなおしや教員きょういん定数ていすうの増員ぞういん、業務ぎょうむのIT化かを挙あげていて、「抜本ばっぽん的てきな改善かいぜんを行おこなわないかぎり、長時間ちょうじかん労働ろうどうの問題もんだいは解決かいけつしない」と指摘してきしています。

今後こんごについて、「コロナ禍かで止とめていたイベントの復活ふっかつなど、保護ほご者しゃからの要望ようぼうが増ふえる可能かのう性せいがあるが、教員きょういんはそこで働はたらき方かたの問題もんだいを言い出いいだしにくい。このため、再ふたたび勤務きんむ時間じかんが増ふえる“リバウンド”が起おきることが怖こわい。また、長時間ちょうじかん労働ろうどうの職場しょくばに喜よろこんで入はいる若者わかものは少すくないため、教員きょういん不足ふそくの問題もんだいなどの困難こんなんが生しょうじてきている」と指摘してきしています。

そのうえで、「疲弊ひへいしている先生せんせいが楽たのしく授業じゅぎょうをするのは難むずかしく、最終さいしゅう的てきには子こどもの問題もんだいにつながる。問題もんだいの解決かいけつには国民こくみんの理解りかいも必要ひつようだ」と話はなしていました。