中小ちゅうしょう企業きぎょうからは、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで経済けいざいの先行さきゆきが不透明ふとうめいだとして新あらたな求人きゅうじんを出だせないという声こえが聞きかれる一方いっぽうで、新あらたな事業じぎょうに乗り出のりだして活路かつろを見みいだそうとする動うごきもみられます。

静岡しずおかの中小ちゅうしょう企業きぎょう「売り上うりあげ確保かくほの見通みとおしないと雇用こよう増ふやせない」

静岡しずおか県けん磐田いわた市しにある自動車じどうしゃ部品ぶひんメーカーは、従業じゅうぎょう員いんは46人にんで平均へいきん年齢ねんれいは44歳さいと年々ねんねん、高たかくなっていて、事業じぎょうを続つづけるうえで若わかい人材じんざいの採用さいようが大おおきな課題かだいとなっています。

このため地元じもとのハローワークに設計せっけいや配送はいそうなど、4つの職種しょくしゅの求人きゅうじんを出だして高校生こうこうせいなどの採用さいようを続つづけてきました。しかし、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで状況じょうきょうは大おおきく変かわり、取り引とりひきのある複数ふくすうの大手おおて自動車じどうしゃメーカーで、生産せいさん計画けいかくを縮小しゅくしょうしたり大幅おおはばに延期えんきしたりする動うごきが出でてきました。

この部品ぶひんメーカーでも、ことし2月つきころから海外かいがいからの材料ざいりょうの調達ちょうたつが難むずかしくなったり大手おおてメーカーからの受注じゅちゅうがキャンセルになったりするなどの影響えいきょうが出でてきて、ことし8月つきの売り上うりあげは前年ぜんねん比ひのおよそ半分はんぶんにまで減へりました。

この10年間ねんかん、年間ねんかん10億おく円えん以上いじょうの売り上うりあげを維持いじしてきましたが、今期こんきは30％ほど落ち込おちこむとみています。

このため従業じゅうぎょう員いんの雇用こようを維持いじすることを最さい優先ゆうせんにすべきだと判断はんだんし、ハローワークに出だす求人きゅうじんは従業じゅうぎょう員いんが定年ていねん退職たいしょくでやめてしまう1つの職種しょくしゅだけにしています。

先月せんげつから大手おおてメーカーの生産せいさん量りょうが回復かいふくしてきたため、この会社かいしゃでも受注じゅちゅうが増ふえ仕事しごと量りょうが戻もどりつつあります。しかし、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうがさらに長期ちょうき化かすれば、今後こんご、受注じゅちゅう量りょうや売り上うりあげがどうなるのか見通みとおすことが難むずかしいとして人件じんけん費ひの増加ぞうかにつながる新あらたな雇用こようはちゅうちょせざるをえないということです。

部品ぶひんメーカー「オーミ」の大平おおひら晃あきら裕ひろし社長しゃちょうは、「高齢こうれいの職人しょくにんが多おおいので、会社かいしゃの将来しょうらいを考かんがえると、こういう厳きびしい時ときにこそ求人きゅうじんを積極せっきょく的てきに出だして若わかい人材じんざいを採用さいようすることも有効ゆうこうだとも思おもいます。しかし雇用こようを増ふやすためには売り上うりあげをきちんと確保かくほできる見通みとおしがなければ厳きびしいのが現状げんじょうです」と話はなしていました。

新しん事業じぎょうに「活路かつろ」見みいだそうとする企業きぎょうも

厳きびしい雇用こよう情勢じょうせいが続つづくなか、工場こうじょうの従業じゅうぎょう員いんの勤務きんむ時間じかんを半分はんぶん近ちかくに短縮たんしゅくするなどして雇用こようを維持いじしながら、新あらたな事業じぎょうに活路かつろを見みいだそうしている中小ちゅうしょう企業きぎょうが東京とうきょう・墨田すみだ区くにあります。

墨田すみだ区くで昭和しょうわ25年ねんから財布さいふなどの革かわ小物こものを製造せいぞうしている会社かいしゃは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいの影響えいきょうで小売こうり店てんなどでの販売はんばいが低迷ていめいし、売り上うりあげは今いまも、去年きょねんの同おなじ時期じきの6割わり程度ていどにとどまっています。このため会社かいしゃでは墨田すみだ区くの本社ほんしゃ工場こうじょうの稼働かどう時間じかんを従来じゅうらいの1日にち7時間じかん半はんから4時間じかんに短縮たんしゅくして「時短じたん操業そうぎょう」を続つづけています。

工場こうじょう以外いがいも含ふくめ全体ぜんたいでおよそ40人にんいる従業じゅうぎょう員いんについては休業きゅうぎょう日びを設もうけたり、勤務きんむ時間じかんを短縮たんしゅくしたりしたうえで雇用こよう調整ちょうせい助成じょせい金きんを活用かつようして雇用こようと給与きゅうよの水準すいじゅんを維持いじしています。

需要じゅようの回復かいふくが見通みとおせない中なか、なんとか自力じりきで売り上うりあげを伸のばしたいと、会社かいしゃは、新あらたな事業じぎょうに乗り出のりだしました。

ネットを通をつうじて直接ちょくせつ、注文ちゅうもんを受うけ、写真しゃしんやイラストをプリントしたオリジナルの革製品かわせいひんを製造せいぞう、販売はんばいするのです。

まずはスマートフォンのケースから始はじめ来月らいげつからは名刺めいし入いれやキーケースなどの製品せいひんにも拡大かくだいする計画けいかくです。

パート従業じゅうぎょう員いんの50代だいの女性じょせいは「ほかの場所ばしょで働はたらく知人ちじんでも雇用こようを切きられた人ひともいる中なか、働はたらき続つづけることができてありがたい。新しん商品しょうひんの開発かいはつも始はじまってモチベーションも上あがっています」と話はなしていました。

「駒こま屋や」の西村にしむら剛史たけし取締役とりしまりやくは「雇用こよう調整ちょうせい助成じょせい金きんを続つづけていただいてなんとか雇用こようを守まもりながら経済けいざいの回復かいふくを待まちたいと思おもっていますが、助成じょせい金きんに頼たよらなくてもうまく仕事しごとが回まわる仕組しくみ作づくりをこのタイミングで強力きょうりょくに推進すいしんしていきたい」と話はなしていました。

外食がいしょく産業さんぎょうでアルバイトなど応募おうぼ者しゃ増加ぞうか

この数すう年ねん、人手ひとで不足ふそくが続つづいていた外食がいしょく産業さんぎょうでもアルバイトなどの応募おうぼが増ふえています。

このうち、ファミリーレストラン最大さいだい手しゅの「すかいらーすかいら-くホールディングス」では、以前いぜんはアルバイトやパートを募集ぼしゅうしても、予定よていの人員じんいんを採用さいようできないケースもありましたが、このところ応募おうぼ者しゃは増加ぞうか傾向けいこうで、グループ全体ぜんたいのことし8月つきの応募おうぼ者しゃは、去年きょねんの同おなじ時期じきより2割わり程度ていど増ふえたということです。

川崎かわさき市しの店舗てんぽでは、9月つきの応募おうぼ者しゃが去年きょねんに比くらべて6割わり程度ていど増ふえました。この店舗てんぽでは、最近さいきん強化きょうかしている宅配たくはい事業じぎょうの人員じんいんとして、ことし3月つき以降いこう、新あらたに10人にんのアルバイトを採用さいようしたということです。

ただグループ全体ぜんたいで見みると、採用さいようを増ふやすかどうかは地域ちいきや店舗てんぽの事情じじょうによって異ことなるということです。

すかいらーすかいら-くホールディングス人じん財ざい採用さいようグループの後藤ごとう憲一けんいちディレクターは「地域ちいきによって異ことなるものの、これまで採用さいようが難むずかしかった店舗てんぽも少すこしずつ改善かいぜんしている。ただ、少子しょうし高齢こうれい化かの問題もんだいもあり、いずれ、再ふたたび採用さいようは難むずかしくなると思おもうので、長期ちょうき的てきな視野しやに立たった人材じんざい確保かくほに取り組とりくみたい」と話はなしています。

「輸出ゆしゅつ伸のびず業績ぎょうせきに影響えいきょう」求人きゅうじん減へらす愛知あいちの金きん型がたメーカー

愛知あいち県けん江南こうなん市しの自動車じどうしゃ部品ぶひんの金きん型がたメーカー、「KTX」は、大学だいがくの新卒しんそつ者しゃを毎年まいとし5人にんから10人にんほど採用さいようしてきましたが、ことしの春はるは2人にんに抑おさえました。

例年れいねん、1月つき以降いこうに追加ついかの求人きゅうじんを出だしていましたが、中国ちゅうごくで新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんが拡大かくだいし始はじめたことを受うけて、求人きゅうじんを取とりやめたためです。

春はる以降いこう、海外かいがいへの輸出ゆしゅつが減少げんしょうし業務ぎょうむ量りょうが減へっているため、会社かいしゃでは代かわりに水害すいがい対策たいさくとして水みずが浸入しんにゅうするのを防ふせぐ「止とめ水すい板いた」の生産せいさん量りょうを増ふやしていますが、まだ大おおきな収益しゅうえき源げんには育そだっていません。

この会社かいしゃでは、先行さきゆきが不透明ふとうめいな状況じょうきょうは今後こんごも続つづくとして来年らいねん春はるの採用さいよう人数にんずうも2人にんほどに抑おさえる予定よていだということです。

野田のだ太一たいち社長しゃちょうは「輸出ゆしゅつが伸のびず、業績ぎょうせきにも影響えいきょうが出でている。少すこし前まえまでは働き手はたらきてが取り合とりあいで、今いまはせっかく若わかい働き手はたらきてがたくさんいるのに採用さいようできる状況じょうきょうではなく、残念ざんねんだ」と話はなしていました。