「日本にっぽん版ばんDBS」は、学校がっこうや保育ほいく所しょ、それに学習がくしゅう塾じゅくなど、子こどもに関かかわる施設しせつで、性せい犯罪はんざいの被害ひがいが後ごを絶たたないのを受うけて、政府せいふが導入どうにゅうを目指めざしています。

法案ほうあんでは、子こどもに接せっする仕事しごとに就つく人ひとに性せい犯罪はんざい歴れきがないか、事業じぎょう者しゃがこども家庭かてい庁ちょうを通をつうじて法務省ほうむしょうに照会しょうかいできるようにするとしています。

学校がっこうや保育ほいく所しょなどには照会しょうかいを義務ぎむづけ、学習がくしゅう塾じゅくやスポーツクラブなどといった施設しせつについては、制度せいどに沿そって照会しょうかい手続てつづきをとっているか利用りよう者しゃにわかるよう認定にんてい制度せいどを設もうけます。

そして、性せい犯罪はんざい歴れきを照会しょうかいできる期間きかんは、禁錮きんこ刑けい以上いじょうの場合ばあいは刑けいの終了しゅうりょう後ご20年ねん、罰金ばっきん刑けいは10年ねんとするなどとしています。

また、照会しょうかいの対象たいしょうとなる性せい犯罪はんざい歴れきは、刑法けいほう犯罪はんざいにとどまらず、痴漢ちかんや盗とう撮となどの条例じょうれい違反いはんも加くわえ、対象たいしょう者しゃについては、新あらたに採用さいようする人ひとだけでなく、すでに雇やとっている人ひとも含ふくめるとしています。

政府せいふは、雇やとっている人ひとに犯罪はんざい歴れきがあれば、事業じぎょう者しゃが配置はいち転換てんかんをすることや、どうしても安全あんぜん確保かくほが難むずかしい場合ばあいは解雇かいこすることも許容きょようされるとの考かんがえを示しめしていて、制度せいどの運用うんように際にさいしては、事業じぎょう者しゃ向むけにガイドラインを策定さくていする方針ほうしんです。政府せいふは、法案ほうあんを今いまの国会こっかいに提出ていしゅつし、成立せいりつを図はかる考かんがえです。

子こどもの性せい被害ひがい 後ごを絶たたず

子こどもが身近みぢかな大人おとなから性せい被害ひがいにあう事例じれいは後ごを絶たちません。

教育きょういくの現場げんばでは、中学ちゅうがく受験じゅけん塾じゅくの大手おおて「四谷よつや大塚おおつか」で、25歳さいの元もと講師こうしが去年きょねん3月つきから8月つきにかけて都内とないの校舎こうしゃで教え子おしえごの女子じょし児童じどう合あわせて12人にんの下着したぎを繰り返くりかえし盗とう撮うつしたとして、逮捕たいほ、起訴きそされています。

去年きょねん9月つきには、練馬ねりま区くの区立くりつ中学校ちゅうがっこうの元もと校長こうちょうが勤務きんむ先さきの中学校ちゅうがっこうの校長こうちょう室しつで女子じょし生徒せいとのわいせつな動画どうがなどを所持しょじしていたとして逮捕たいほ・起訴きそされたほか、東京とうきょう都内とないの中高なかだか一貫いっかん校こうの元もと教諭きょうゆが、男子だんし生徒せいとにわいせつな行為こういをした上うえ、その様子ようすを撮影さつえいしたとして逮捕たいほ・起訴きそされました。

さらに、小ちいさな子こどもを預あずかる施設しせつでも、3人にんの園児えんじに対にたいしてわいせつな行為こういをしたなどとして3回かい逮捕たいほ・起訴きそされた都内とないの27歳さいの元もと保育ほいく士しが、勤務きんむ先さきだった墨田すみだ区くの認可にんか保育ほいく所しょでも園児えんじの女の子おんなのこにわいせつな行為こういをしたなどとして4回かい目めの逮捕たいほをされました。

林はやし官房かんぼう長官ちょうかん「子こどもを性せい暴力ぼうりょくから守まもるために必要ひつよう」

林はやし官房かんぼう長官ちょうかんは閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで「子こどもに対にたいする性せい暴力ぼうりょくは、被害ひがい者しゃの心身しんしんに生涯しょうがいにわたって　回復かいふくしがたい重大じゅうだいな影響えいきょうを与あたえるものであり、あってはならない。この制度せいどは子こどもを性せい暴力ぼうりょくから守まもり、安全あんぜんを確保かくほするために必要ひつようなもので、憲法けんぽう上じょうの職業しょくぎょう選択せんたくの自由じゆうとの関係かんけいにおいても許容きょようされるものだ」と述のべました。

その上うえで「政府せいふとしてはこの制度せいどの創設そうせつを含ふくめ、子こどもの性せい被害ひがいを防止ぼうしするための取り組とりくみを総合そうごう的てきに進すすめていく」と述のべました。

加藤かとうこども相しょう「社会しゃかい全体ぜんたいで意識いしき高たかめる」

加藤かとうこども政策せいさく担当たんとう大臣だいじんは閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで「社会しゃかい全体ぜんたいで子こどもたちを性せい暴力ぼうりょくから守まもる意識いしきを高たかめていくとの観点かんてんからも大変たいへん重要じゅうような法案ほうあんだ。子こどもの性せい被害ひがい防止ぼうしのための総合そうごう的てきな取り組とりくみの推進すいしんも図はかりつつ、法案ほうあんの成立せいりつに向むけて最大限さいだいげん努力どりょくをしていく」と述のべました。

全国ぜんこく学習がくしゅう塾じゅく協会きょうかい会長かいちょう「多おおくの事業じぎょう者しゃが歓迎かんげいしている」

閣議かくぎ決定けっていされた「日本にっぽん版ばんDBS」の法案ほうあんでは「認定にんてい制度せいど」を設もうけて、民間みんかんなどの事業じぎょう者しゃも一定いっていの条件じょうけんをクリアした場合ばあいは前科ぜんかの有無うむを確認かくにんする対象たいしょうとなるとされ、認定にんていを受うけた事業じぎょう者しゃは国くにが公表こうひょうする方針ほうしんです。

これについて、およそ400の塾じゅくが加盟かめいする全国ぜんこく学習がくしゅう塾じゅく協会きょうかいの安藤あんどう大作だいさく会長かいちょうは「採用さいよう時じに、人間にんげん性せいを見抜みぬくのは限界げんかいがあり、DBS制度せいどに民間みんかん事業じぎょう者しゃも参加さんかできることは大変たいへんありがたい。新あらたに生しょうじる負担ふたんもあるが、子こどもの安心あんしん、安全あんぜんを守まもるためには必要ひつような取り組とりくみで多おおくの事業じぎょう者しゃが歓迎かんげいしている」としています。

一方いっぽう、制度せいどに参加さんかする事業じぎょう者しゃには、情報じょうほうを適正てきせいに管理かんりする義務ぎむが課かされるほか、漏ろうえいした場合ばあいの罰則ばっそくが設もうけられるとされ、今後こんご、政府せいふがガイドラインを示しめすとしています。

これについて「情報じょうほう管理かんりに求もとめられる内容ないようによっては、コストとの兼ね合かねあいで個人こじんや中小ちゅうしょうの事業じぎょう者しゃが参加さんかできない可能かのう性せいもあり、そうなると子こどもたちの教育きょういく環境かんきょうに偏かたよりが生うまれてしまう。安全あんぜん性せいを担保たんぽしながらより多おおくの事業じぎょう者しゃが制度せいどの対象たいしょうになるよう、ガイドラインを策定さくていする際さいには、現場げんばの声こえを反映はんえいしてほしい」と求もとめていました。

そして「子こどもにとっては大手おおてでも個人こじん経営けいえいでも塾じゅくは塾じゅくなので、業界ぎょうかい全体ぜんたいとして子こどもを性せい犯罪はんざいから守まもるという風潮ふうちょうを作つくれるよう、DBSに参加さんかできない事業じぎょう者しゃに対にたいしても協会きょうかいとして独自どくじに安全あんぜん対策たいさくを講こうじていきたい」と話はなしていました。