映画えいがの助成じょせい金きん取り消とりけしは不当ふとう 最高裁さいこうさい 製作せいさく会社かいしゃの訴うったえ認みとめる判決はんけつ

人気にんき漫画まんがを原作げんさくにした映画えいが「宮本みやもとから君きみへ」の製作せいさく会社かいしゃは、4年ねん前まえ、コカインを使用しようした罪つみで有罪ゆうざいが確定かくていした俳優はいゆうが出演しゅつえんしていることを理由りゆうに、文部もんぶ科学かがく省しょうの外郭がいかく団体だんたい、日本にっぽん芸術げいじゅつ文化ぶんか振興しんこう会かいから助成じょせい金きん1000万まん円えんの交付こうふを取り消とりけされ、不当ふとうだとして裁判さいばんを起おこしました。

1審しんの東京とうきょう地方ちほう裁判所さいばんしょは、取り消とりけし処分しょぶんは違法いほうだとして交付こうふを認みとめましたが、2審しんの東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょは逆ぎゃくに交付こうふを認みとめず、会社かいしゃ側がわが上告じょうこくしていました。

17日にちの判決はんけつで最高さいこう裁判所さいばんしょ第だい2小しょう法廷ほうていの尾島おじま明あきら裁判さいばん長ちょうは「助成じょせい金きんを交付こうふしたからといって『国くにが薬物やくぶつ犯罪はんざいに寛容かんようだ』というメッセージを出だしたと受け取うけとられることは想像そうぞうしがたいし、薬物やくぶつ乱用らんようの防止ぼうしという公益こうえきが害がいされる危険きけんがあるとはいえない。重視じゅうしすべきではない事情じじょうを重視じゅうししたもので、著いちじるしく妥当だとう性せいを欠かいたものだ」として、外郭がいかく団体だんたいの処分しょぶんは違法いほうだと指摘してきしました。

また、「公益こうえきが害がいされることを理由りゆうに助成じょせい金きんの拒否きょひが広ひろく行おこなわれれば、表現ひょうげん行為こういに萎縮いしゅく的てきな影響えいきょうが及およぶ可能かのう性せいがある。芸術げいじゅつ家かの自主じしゅ性せいや創造そうぞう性せいを損そこなうもので、憲法けんぽうが保障ほしょうする表現ひょうげんの自由じゆうに照てらして見過みすごすことはできない」などと述のべ、助成じょせい金きんの交付こうふを求もとめた製作せいさく会社かいしゃの訴うったえを認みとめました。

製作せいさく会社かいしゃ側がわ「映画えいが表現ひょうげんの自由じゆうは守まもられた！」

最高さいこう裁判所さいばんしょの正門せいもんの前まえでは午後ごご4時じまえ、裁判所さいばんしょから出でてきた製作せいさく会社かいしゃ側がわの弁護士べんごしらが「逆転ぎゃくてん勝訴しょうそ」や「映画えいが表現ひょうげんの自由じゆうは守まもられた！」などと書かかれた紙かみを掲かかげました。

弁護べんご団だんの伊藤いとう真しん弁護士べんごしは「画期的かっきてきかつ歴史れきし的てきで、映画えいがの将来しょうらいを左右さゆうする極きわめて重要じゅうような判決はんけつだ」と話はなしていました。