新しん検事けんじ総長そうちょう 畝うね本もと直美なおみ氏しが会見かいけん「適正てきせいな検察けんさつ権けん行使こうしに努つとめたい」

畝うね本ほん氏しは千葉ちば県けん出身しゅっしんの62歳さい。法務省ほうむしょうの保護ほご局長きょくちょうや広島ひろしま高等こうとう検察庁けんさつちょうの検事けんじ長ちょうなどを歴任れきにんし、東京とうきょう高等こうとう検察庁けんさつちょうの検事けんじ長ちょうを経へて9日にち、検事けんじ総長そうちょうに就任しゅうにんしました。

就任しゅうにんの記者きしゃ会見かいけんで畝うね本ほん氏しは「犯罪はんざいの組織そしき化かや匿名とくめい化かが進すすんでおり、真相しんそう解明かいめいや立証りっしょうがますます困難こんなんになっている。組織そしき全体ぜんたいとして捜査そうさ・公判こうはん能力のうりょくの向上こうじょうに取り組とりくんでいきたい」と抱負ほうふを述のべました。

そのうえで「昨今さっこん、検察けんさつに厳きびしい目めが注そそがれている状況じょうきょうを踏ふまえ、検察けんさつが国民こくみんの信頼しんらいという基盤きばんに支ささえられていることを心こころに刻きざみ、公正こうせい誠実せいじつであることを大切たいせつにした適正てきせいな検察けんさつ権けんの行使こうしに努つとめたい」と述のべました。

検事けんじ総長そうちょうに女性じょせいで初はじめて就任しゅうにんしたことについては「男性だんせいであっても女性じょせいであってもこのポストに期待きたいされる役割やくわりは同おなじで、精せいいっぱい努つとめていきたい」と述のべました。

また、退任たいにんした甲斐かい行夫ゆきお 前ぜん検事けんじ総長そうちょうは「今後こんごも検察けんさつは社会しゃかいの変化へんかに対応たいおうし、『検察けんさつの理念りねん』に立ち返たちかえりつつ、国民こくみんのために最大限さいだいげんの努力どりょくを続つづけていくことが求もとめられている。新あらたな検事けんじ総長そうちょうのもと、一丸いちがんとなって進すすんで行いくものと信しんじている」というコメントを出だしました。

畝うね本ほん氏し NHKの取材しゅざいに対にたいし抱負ほうふ語かたる

《プロとしての力量りきりょうを》

畝うね本ほん氏しは力ちからを入いれて取り組とりくみたいこととして人材じんざい育成いくせいを挙あげ、「検察官けんさつかんは刑事けいじ司法しほうのプロフェッショナルだが、世の中よのなかも法律ほうりつも次々つぎつぎと変かわっていく。常つねに様々さまざまな視点してんを持もって事件じけんを処理しょりできるよう、プロとしての力量りきりょうを向上こうじょうさせていきたい」と述のべました。

《誰だれもが働はたらきやすい職場しょくばに》

男女だんじょ雇用こよう機会きかい均等きんとう法ほうが施行しこうされた1986年ねんに司法しほう修習しゅうしゅう生せいとなった畝うね本ほん氏し。同期どうきで検事けんじになった41人にんのうち女性じょせいは4人にんだったということです。法務省ほうむしょうによりますと、去年きょねん3月つきの時点じてんで検事けんじのうち女性じょせいが占しめる割合わりあいは27パーセントあまりで、去年きょねん12月つきに任官にんかんした検事けんじのおよそ4割わりは女性じょせいでした。

畝うね本ほん氏しは「自分じぶんが司法しほう修習しゅうしゅうした時代じだいは女性じょせいが働はたらいていることが前提ぜんていではなかったが、それからどんどん女性じょせいが検事けんじに任官にんかんした。いまの働はたらき盛ざかりの世代せだいにあった仕組しくみにできるよう工夫くふうして進すすめていきたい。子育こそだてや介護かいごの問題もんだいは男性だんせいも女性じょせいも抱かかえている。誰だれもが働はたらきやすい職場しょくば環境かんきょうを作つくっていきたい」と述のべました。

《政治せいじとの距離きょりは》

政治せいじとの距離きょりのあり方ありかたについては「不偏不党ふへんふとうを旨むねとすることに尽つきる。法ほうと証拠しょうこに基もとづいて適正てきせいに判断はんだんすることが重要じゅうようで、これがぶれてはいけない」と強調きょうちょうしました。

《「検察けんさつの理念りねん」浸透しんとうを》

また、検察けんさつの取り調とりしらべをめぐっては、5年ねん前まえの参議院さんぎいん選挙せんきょをめぐる大だい規模きぼ買収ばいしゅう事件じけんでの、東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶの検事けんじによる不ふ適正てきせいな取り調とりしらべが明あきらかになるなど、問題もんだい視しされる事態じたいが相次あいついでいます。

これについては「事案じあんの真相しんそう解明かいめいは大事だいじだが、そのための手段しゅだんが適正てきせい、公正こうせいであることも非常ひじょうに重要じゅうようだ。捜査そうさに気持きもちが入はいっているときに、いかに状況じょうきょうをふかんして見みられるようにするのかを考かんがえなければならない。『検察けんさつの理念りねん』に立ち返たちかえり、われわれの仕事しごとがどうあるべきかを1人にん1人にんに浸透しんとうさせることが大切たいせつだ」と述のべました。