「先天せんてん梅毒ばいどく」の子こども 過去かこ最多さいたに 10月つき4日にち時点じてんで32人にん

梅毒ばいどくは主おもに性的せいてきな接触せっしょくで広ひろがる細菌さいきん性せいの感染かんせん症しょうで、治療ちりょうせずに放置ほうちすると深刻しんこくな症状しょうじょうを引き起ひきおこすことがあるほか、感染かんせんした妊婦にんぷから胎児たいじに母子ぼし感染かんせんすると「先天せんてん梅毒ばいどく」といって死産しざんにつながったり、皮膚ひふの異常いじょうや難聴なんちょうといった症状しょうじょうが出でたりするおそれがあります。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょが発表はっぴょうしたことし第だい3四半期しはんきまでのまとめによりますと、先月せんげつ4日にちまでに先天せんてん梅毒ばいどくと診断しんだんされた子こどもの数かずは全国ぜんこくで32人にんでした。

これは現在げんざいの形かたちで統計とうけいを取とり始はじめてから最もっとも多おおかった2019年ねん1年間ねんかんでの23人にんをすでに上回うわまわり、これまでで最もっとも多おおくなっています。

梅毒ばいどくの感染かんせん者しゃ数すうはここ数すう年ねん増加ぞうかが続つづき、ことしも先月せんげつ29日にちの時点じてんで1万まん2434人にんと、これまでで最もっとも多おおかった去年きょねんの同おなじ時期じきを上回うわまわるペースとなっていることから、梅毒ばいどくに詳くわしい日本にっぽん大学だいがく医学部いがくぶの川名かわな敬たかし主任しゅにん教授きょうじゅは、先天せんてん梅毒ばいどくの子こどもの報告ほうこくも今後こんご、さらに増ふえる可能かのう性せいがあると指摘してきしています。

川名かわな主任しゅにん教授きょうじゅは「過去かこに感染かんせんしたものの気付きづかないまま治療ちりょうを受うけずに妊娠にんしんすると、先天せんてん梅毒ばいどくにつながるリスクがより高たかく、そのような人ひとが年々ねんねん増ふえていると思おもわれる。妊婦にんぷ健けん診みで気付きづいて治療ちりょうしても先天せんてん梅毒ばいどくになる可能かのう性せいがあり、妊娠にんしん前まえに治療ちりょうすることが大切たいせつだ。梅毒ばいどくを疑うたがう症状しょうじょうやリスクのある性行為せいこういがあった場合ばあいは、男女だんじょともに検査けんさを受うけてほしい」と話はなしています。

梅毒ばいどくの症状しょうじょうは

日本にっぽん性せい感染かんせん症しょう学会がっかいのガイドラインなどによりますと、梅毒ばいどくは大おおきく3つの段階だんかいを経へて進行しんこうします。

感染かんせんから1か月かげつ程度ていどたった「第だい1期き」には原因げんいんとなる細菌さいきんが入り込はいりこんだ場所ばしょを中心ちゅうしんに、3ミリから3センチほどの腫はれや潰瘍かいようができますが、数すう週間しゅうかんで消きえてしまうことがあります。

痛いたみやかゆみを感かんじることはほとんどないとされています。

感染かんせんから1か月かげつから3か月かげつ程度ていどたった「第だい2期き」には細菌さいきんが血液けつえきによって全身ぜんしんに運はこばれるため、手てや足あしなど全身ぜんしんに赤あかい発疹はっしんが現あらわれることがあります。

発疹はっしんがバラの花はなの形かたちに似にているとして、「バラ疹」と呼よばれています。

このほか、発熱はつねつやけん怠けんたい感かんなど、さまざまな症状しょうじょうが出でることがあります。

この時期じきまでは症状しょうじょうが自然しぜんに消きえることがありますが、梅毒ばいどくが治なおったわけではありません。

また、性的せいてき接触せっしょくでの感染かんせん力りょくが強つよいとされています。

感染かんせんから3年ねん程度ていど以降いこうは「第だい3期き」と呼よばれ全身ぜんしんで炎症えんしょうが起おこり、骨ほねや臓器ぞうきに「ゴム腫しゅ」と呼よばれるゴムのような腫瘍しゅようができることがあるほか、治療ちりょう薬やくが普及ふきゅうしていない時代じだいは、大おおきなできものができたり鼻はなが欠かけたりすることがありました。

さらに進行しんこうすると、脳のうや心臓しんぞう、血管けっかんに症状しょうじょうが現あらわれ、まひが起おきたり、動脈どうみゃくりゅうの症状しょうじょうが出でたりすることがあります。

ただ、現在げんざいの日本にっぽんではこの段階だんかいまで進すすむことはほとんどありません。

また、妊婦にんぷが感染かんせんした場合ばあい、胎児たいじの流産りゅうざんや死産しざんのリスクが高たかまるとされています。

妊婦にんぷから胎児たいじに感染かんせんする「先天せんてん梅毒ばいどく」になることもあり、生うまれて間まもない時期じきに発疹はっしんや、骨ほねに異常いじょうが出でることがあるほか、乳幼児にゅうようじの間まは症状しょうじょうがなくても数すう年ねん後ごに目めの炎症えんしょうや難聴なんちょうなどの症状しょうじょうが出でることがあるということです。