地元ハルキウの市長は「皮肉な報復だ」と述べ、東部でウクライナ軍が領土を奪還していることへの報復だという見方を示しました。
ゼレンスキー大統領はSNSに「ロシアのテロリストたちは重要なインフラを攻撃した。軍事施設を標的とするのでなく人々から光と熱を奪うことを目的としている」と投稿し、ロシア側を非難しました。
フランス大統領府によりますと、電話会談でマクロン大統領は、ロシア軍が占拠していることで原発が危険にさらされているとしたうえで、ロシア軍が原発から重火器などを撤去し、IAEA=国際原子力機関の勧告に従うようプーチン大統領に求めたということです。 これに対してロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は「放射性廃棄物の貯蔵施設などに対するウクライナ側の攻撃が破滅的な結果をもたらすおそれがある」と述べ、原因はウクライナ側の攻撃にあると主張しました。 そして、IAEAが加わった協議について受け入れる姿勢を示しました。 フランス大統領府は、マクロン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領やIAEAのグロッシ事務局長と協議を継続し、原発の安全確保に向けた合意が成立するよう、数日中に再びプーチン大統領と会談する予定だとしていますが、先行きは不透明です。
ウクライナの元国防次官で軍事専門家のイーホル・カバネンコ氏は、NHKのインタビューに応じ、東部ハルキウ州などでのウクライナ軍の反転攻勢について、「大きな成功を収めている」としたうえで、「ウクライナ軍は、幹線道路などロシア側の補給ルートを支配下に置き、ロシア軍が再び部隊を増強するのを防ぐことになる」と評価しました。 その一方で、ロシア側からの領土の奪還については、「領土の解放にはさらなる軍事行動が必要で、ひとつひとつ進めていく戦略になると思う」と述べ、長期化を見据えた戦いが必要だという認識を示しました。 そのうえでカバネンコ氏は「領土を解放していくうえで戦闘がさらに激化することが予想される」として、ウクライナ軍が所有していない、射程が300キロから500キロの兵器があれば、ロシア軍に対する抑止力になるとして、欧米各国からのさらなる兵器の支援が必要だという考えを示しました。
一方で、「砲撃が続くかぎり危険な状況は変わらない」として、改めて原発や周辺での砲撃に懸念を示しました。 IAEAによりますと、復旧したのはザポリージャ原発へ電力を供給する予備の送電線です。 原発では、今月5日、砲撃による火災の影響で外部電源が喪失したのを受け、6基ある原子炉のうち唯一稼働していた6号機が出力を下げた状態で運転を続け冷却などに必要な電力を供給していました。 IAEAは、6号機のこの運用はタービンやポンプなど原発の重要な設備の損傷につながるおそれがあり、持続可能な対策ではなかったと指摘しています。 外部電力の復旧を受け、ウクライナ側は11日早朝に6号機を停止し、30時間ほどかけて核燃料を安定して管理できる冷温停止の状態にしようとしているということです。 原発では、残りの5基はすでに冷温停止しているということです。
また、「ハルキウ州では南や東だけではなく、北に向けても軍を進め始めた。ロシアとの国境まではあと50キロだ」と述べ、ウクライナ軍の反転攻勢が続いていることを強調しています。
仏マクロン大統領 プーチン大統領と電話会談 意見は平行線
ウクライナ軍事専門家「領土奪還にはさらなる兵器支援必要」
IAEA事務局長 電源供給復旧を歓迎
ウクライナ軍司令官「3000平方キロメートル以上の領土解放」