地下7階、地上47階建てで、高さは230メートルと渋谷駅の周辺では最も高いビルになります。
地下2階から地上14階は商業施設となり、飲食店やアパレルなど200店舗あまりが入るほか、体験型のデジタルコンテンツやラジオの公開収録が体験できる「NHKプラスクロスSHIBUYA」も入ります。
17階から45階はオフィスとなり、「サイバーエージェント」や「ミクシィ」といったIT企業を中心に9社が入居します。
45階から屋上にかけては「SHIBUYA SKY」と名付けられた展望施設が作られ、外国人観光客に人気が高いスクランブル交差点や都心一円を見渡すことができます。
一方、首都直下地震に備えた取り組みとして多くのフロアに備蓄倉庫が設けられ、およそ2000人の帰宅困難者が3日間過ごせる食料や飲料水などが備蓄されるということです。
運営会社の高秀憲明社長は「渋谷は若者の街というイメージもあるが、オフィスで働く方や、買い物や観光で訪れる方など、さまざまな人が訪れる多様性のある街だ。ビルの開業でこの多様性がさらに輝く街に発展してほしい」と話していました。
「渋谷スクランブルスクエア」は8年後の2027年度にJR渋谷駅の真上と隣接地に中央棟と西棟が完成する予定で、渋谷は大きく姿を変えていきます。
“100年に1度の再開発”
渋谷では今、100年に1度と言われる再開発が進められていて、渋谷駅の周辺は大きく姿を変えつつあります。
駅の周辺では7年前に開業した「渋谷ヒカリエ」をはじめ、東急グループが9つの再開発計画を進めています。
(図:東京急行電鉄 東急不動産HPより)
このうち、東急東横線渋谷駅の跡地には去年9月、地上35階建ての「渋谷ストリーム」が開業しました。IT大手「グーグル」のほか、ホテルや商業施設が入居しています。
ことし12月には「東急プラザ渋谷」が健康や美容などをテーマにした地上18階建ての複合ビル「渋谷フクラス」としてリニューアルオープンします。
さらに2023年度には、駅の南側の桜丘町にオフィスや商業施設が入る地上39階建てのビルなどが完成するほか、8年後の2027年度には「渋谷スクランブルスクエア」の中央棟や西棟がJR渋谷駅の真上と隣接地に完成する予定です。
若者の街・渋谷を象徴する商業施設として親しまれてきた「渋谷パルコ」も来月下旬に地上19階の高層ビルとしてリニューアルオープンするほか、「旧ドン・キホーテ渋谷店」の跡地を含むエリアには高さ120メートルの高層ビルが2022年に完成する予定です。
再開発に伴って、鉄道のアクセスも変わります。
東急東横線は6年前に渋谷駅が地下に移され、東京メトロ・副都心線との直通運転が始まりました。
さらに、他の路線と離れていたJR埼京線のホームを山手線と隣り合わせにするほか、東京メトロ・銀座線のホームを副都心線の真上に移すなどの移設工事も進んでいて、駅の利便性も大きく向上する見込みです。
若者の街からビジネス街へ
渋谷は多くの若者が集まり、流行の発信地となる一方、かつてはITベンチャー企業の集積地としても知られていました。
一時、アメリカのグーグルやアマゾンの日本法人、それに堀江貴文さんが率いたライブドアの前身となる会社も渋谷にオフィスを構えました。しかし、大規模なビルが少なくオフィスが不足していたことから、会社の規模が大きくなると六本木などに移転する企業が相次ぎました。
それが近年、大規模な再開発によってオフィスの供給量が増加し、IT企業などが再び、渋谷にオフィスを構え始めています。
去年9月に開業した「渋谷ストリーム」にはグーグルの日本法人が、来月開業する「渋谷スクランブルスクエア」には、サイバーエージェントやミクシィといったIT企業が入ります。
賃貸ビル仲介会社の「三鬼商事」によりますと、9月の渋谷区のオフィスの賃料は1坪あたり2万4607円で、千代田区や港区などを上回って都内で最も高くなっています。
その理由について再開発を手がける東急は、流行に敏感な消費者が多く、最新のトレンドを感じやすいことや、働く場所と遊び場が近いことで新しいアイデアが生まれやすいからではないかと分析しています。
渋谷は若者文化を象徴する街から、ビジネス拠点としても活気のある街へ生まれ変わろうとしています。