今大会、日本代表は「ONE TEAM(=ワンチーム)」の合言葉のもと、さまざまな国の出身者が一体となって戦いました。
韓国出身のグ選手もその1人です。ポジションはプロップ。7月の宮崎合宿中に右手の甲を骨折し、夏のテストマッチ3試合には出場できませんでしたが、これまでの実績が認められ、日本代表として初めてのワールドカップの舞台に立ちました。
今大会の日本代表の躍進の原動力となった「スクラム」。
チームで最も重い122キロの、グ選手はスクラムで最前列を担いました。練習では、ことばも文化も異なる選手たちが足の角度などを1センチ単位までこだわって、理想の形を追求してきました。
「誰ひとり手を抜く人はいなかった。外国人もみんな一緒に手抜かず、ずっと最後まで頑張れたと思う。ずっと一緒にやっていたので、もうほんと家族ですね」とグ選手。
完璧なスクラムが組めるまで、妥協しない日本選手の姿が、チームをまとめたと振り返ります。
築きあげてきた一体感が結果となって表れたのが、1次リーグ第2戦のアイルランド戦でした。
スクラムのさなかでも、グ選手には隣の堀江選手の「グ君、今隣にいるから一歩ずつ、一歩ずつ」という声が聞こえていたと言います。
日本選手と外国出身選手がひとつになったスクラムで、強豪アイルランドに勝利した日本代表。グ選手は「あの瞬間は、ほんと飛び上がるくらいうれしかった。ワンチームになって、その国のために戦わないと本当に勝てないと思うので、みんながすごく頑張ってくれたおかげだと思う」と今大会のベストシーンにあげました。
チームへの思いがあふれたのが、1次リーグの最終戦、日本代表の初のベスト8がかかったスコットランド戦でした。
この試合、グ選手は脇腹を負傷し、交代を余儀なくされます。
「もうこれでワールドカップは出られないのかなっていう思いがあった」と涙をこらえることができませんでした。
こうしたグ選手の姿にインターネット上では、
「日本のためすごく頑張ってくれ ありがとう」
「韓国人として日本代表としてプレーするグ・ジウォン(具智元)選手を応援します!」
「国籍なんかじゃない。たたえるべきは彼の心意気と男気なんだよ」
といったメッセージがあふれました。
「日本代表を選んでくれてありがとうございます、という声が本当に多かったので、いや、こちらこそという感じで思っている」と話すグ選手。
「自分のことでもし両国に応援してくれて、お互い好きな人が増えればすごいうれしいと思います」と、仲間とともに、ひたむきに勝利を目指し続けた大会を振り返りました。