首相しゅしょう 施政しせい方針ほうしん演説えんぜつ “政治せいじの信頼しんらい回復かいふく 被災ひさい地ち再生さいせいに取り組とりくむ”

“被災ひさい地ちの再生さいせいまで国くにが責任せきにんを持もつ”

演説えんぜつの冒頭ぼうとう、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは、能登のと半島はんとう地震じしんの犠牲ぎせい者しゃに哀悼あいとうの意いを示しめしたうえで「政府せいふ・地元じもとが一体いったいとなって被災ひさい者しゃに寄り添よりそい、生活せいかつとなりわいを支ささえていくための息いきの長ながい取り組とりくみを続つづけていく。異例いれいの措置そちでも、ためらわずに実行じっこうしていく」と述のべました。

また、新しん年度ねんど予算よさん案あんの予備よび費ひを1兆ちょう円えんに倍増ばいぞうしたことに触ふれ「予算よさんの制約せいやくにより震災しんさい対応たいおうをちゅうちょすることがあってはならない。切れ目きれめなく『できることはすべてやる』」と述のべました。

そのうえで、自身じしんをトップに能登のと半島はんとう地震じしんの復旧ふっきゅう・復興ふっこう支援しえん本部ほんぶを新あらたに設置せっちし、被災ひさい地ちの再生さいせいまで国くにが責任せきにんを持もって取り組とりくむ決意けついを示しめしました。

“政治せいじの信頼しんらい回復かいふくを目指めざす”

一方いっぽう、自民党じみんとうの派閥はばつの政治せいじ資金しきんパーティーをめぐる問題もんだいについては「国民こくみんから疑念ぎねんの目めが注そそがれる事態じたいを招まねいたことは極きわめて遺憾いかんであり、心こころからおわびする」と陳謝ちんしゃするとともに、各党かくとう各かく会派かいはとの真摯しんし（しんし）な協議きょうぎを経へて、政治せいじ資金しきん規正きせい法ほうの改正かいせいなどの法ほう整備せいびを実施じっししていく考かんがえを示しめしました。

そして「自民党じみんとう内ないの政策せいさく集団しゅうだんが、いわゆる『派閥はばつ』、すなわち『お金おかねと人事じんじのための集団しゅうだん』と見みられても致し方いたしかたない状況じょうきょうにあったことを率直そっちょくに認みとめ、真摯しんしに反省はんせいし、政策せいさく集団しゅうだんが『お金おかね』と『人事じんじ』から完全かんぜんに決別けつべつすることを決きめた」と述のべ、一連いちれんの改革かいかくを通つうじ、政治せいじの信頼しんらい回復かいふくを目指めざしていく考かんがえを示しめしました。

“物価高ぶっかだか上回うわまわる所得しょとくを実現じつげんしていく”

また、これまでの2年ねん4か月かげつの政権せいけん運営うんえいに関にかんし、30年ねんぶりの高たかい水準すいじゅんの賃上ちんあげや株価かぶかの動向どうこうなど、明あかるい兆きざしが随所ずいしょに出でてきているとしたうえで、デフレから完全かんぜんに脱却だっきゃくし、新あらたな成長せいちょう型がた経済けいざいに移行いこうするチャンスをつかみ、ことしを国民こくみんが成果せいかを実感じっかんする年としにするため、総力そうりょくを挙あげて取り組とりくもうと訴うったえました。

そして「経済けいざいの再生さいせい」が引き続ひきつづき、政権せいけんの最大さいだいの使命しめいだと指摘してきしつつ、「本丸ほんまるは物価ぶっか高だかを上回うわまわる所得しょとくの実現じつげんだ。あらゆる手てだてを尽つくし、ことし、物価ぶっか高だかを上回うわまわる所得しょとくを実現じつげんしていく。実現じつげんしなければならない」と述のべました。

具体ぐたい的てきには、医療いりょうや福祉ふくしをはじめ、公共こうきょうサービス分野ぶんやでの「公的こうてき賃上ちんあげ」に取り組とりくむほか、中小ちゅうしょう企業きぎょうや建設けんせつ業ぎょうにも流ながれが広ひろがるよう、労務ろうむ費ひの価格かかく転嫁てんかなどが着実ちゃくじつに行おこなわれる環境かんきょう整備せいびを図はかっていく方針ほうしんを示しめしました。

さらに「春闘しゅんとう」による賃上ちんあげに加くわえ、6月つきからの所得しょとく税ぜいや住民じゅうみん税ぜいの減税げんぜいなどを通つうじ給与きゅうよが上あがるのが当たり前あたりまえだという前向まえむきな意識いしきを社会しゃかい全体ぜんたいに定着ていちゃくさせていくと強調きょうちょうしました。

大阪おおさか・関西かんさい万博ばんぱく

このほか、費用ひようの高騰こうとうなどが課題かだいとなっている大阪おおさか・関西かんさい万博ばんぱくについては「新型しんがたコロナや大だい規模きぼな自然しぜん災害さいがいを乗り越のりこえ、いのちへの向き合むきあい方かたや社会しゃかいのあり方ありかたを問とい直なおす機会きかいとなる。成功せいこうのためオールジャパンで進すすめていく」と述のべ、専門せんもん家かの知見ちけんも活用かつようしながら、費用ひようが適正てきせいか継続けいぞく的てきにモニタリングする考かんがえを示しめしました。

“前例ぜんれいない規模きぼで子こども・子育こそだて政策せいさくの強化きょうか”

また「日本にっぽん社会しゃかいの最大さいだいの戦略せんりゃく課題かだいは『人口じんこう減少げんしょう問題もんだい』だ」と述のべ、前例ぜんれいのない規模きぼで子こども・子育こそだて政策せいさくの強化きょうかを図はかる一方いっぽう、必要ひつような財源ざいげんは徹底てっていした歳出さいしゅつ改革かいかくなどで確保かくほし、国民こくみんに実質じっしつ的てきな負担ふたんを生しょうじさせないようにしていくと重かさねて説明せつめいしました。

羽田はた空港くうこうの衝突しょうとつ事故じこ “抜本ばっぽん的てき対策たいさく 講こうじる”

さらに、羽田はた空港くうこうで日本にっぽん航空こうくうの旅客機りょかくきと海上かいじょう保安庁ほあんちょうの航空こうくう機きが衝突しょうとつした事故じこについて触ふれ「二度にどとこのような事故じこが起おきないよう再発さいはつ防止ぼうし対策たいさくに迅速じんそくに取り組とりくむとともに、原因げんいん究明きゅうめいを踏ふまえ、航空こうくうの安全あんぜん・安心あんしんに向むけた抜本ばっぽん的てきな対策たいさくを講こうじる」と述のべました。

外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう

外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょうでは、ウクライナ情勢じょうせいや中東ちゅうとう情勢じょうせい、それにアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょなど、国際こくさい社会しゃかいは、緊迫きんぱくの度たびを一層いっそう高たかめているとして「日本にっぽんならではのアプローチで世界せかいの安定あんていと繁栄はんえいに向むけ、国際こくさい社会しゃかいをリードする」と述のべました。

日にち米べい関係かんけいについて、ことし4月つき前半ぜんはんの国賓こくひん待遇たいぐうでのアメリカ訪問ほうもんなどを通つうじ、両国りょうこく関係かんけいをさらに拡大かくだい・深化しんかさせるとしたほか、日にち韓かん関係かんけいでは、ユン・ソンニョル（尹いん錫すず悦えつ）大統領だいとうりょうとの信頼しんらい関係かんけいを礎いしずえに、幅広はばひろい連携れんけいを図はかり、日にち米べい韓かん3か国かこくでの戦略せんりゃく的てき連携れんけいや、日にち中ちゅう韓かんの枠組わくぐみも前進ぜんしんさせると強調きょうちょうしました。

日にち中ちゅう関係かんけいについて、主張しゅちょうすべきは主張しゅちょうし、共通きょうつうの課題かだいでは協力きょうりょくする「建設けんせつ的てきかつ安定あんてい的てきな関係かんけい」を双方そうほうの努力どりょくで構築こうちくしていくと述のべました。

そして、ウクライナ情勢じょうせいをめぐっては、ロシアへの制裁せいさいやウクライナへの支援しえんを今後こんごも強力きょうりょくに推し進おしすすめるほか、2月つき、東京とうきょうで「日にち・ウクライナ経済けいざい復興ふっこう推進すいしん会議かいぎ」を開催かいさいすると説明せつめいしました。

さらに、北朝鮮きたちょうせんによる拉致らち問題もんだいについては、すべての被害ひがい者しゃの一いち日にちも早はやい帰国きこくを実現じつげんし、日にち朝ちょう関係かんけいを新あらたなステージに引き上ひきあげるとして、日にち朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんの実現じつげんに向むけて、直轄ちょっかつのハイレベル協議きょうぎを進すすめる考かんがえを重かさねて示しめしました。

憲法けんぽう改正かいせい

そして、憲法けんぽう改正かいせいについて「自民党じみんとう総裁そうさいの任期にんき中ちゅうに改正かいせいを実現じつげんしたいとの思おもいに変かわりはなく、議論ぎろんを前進ぜんしんさせるべく最大限さいだいげん努力どりょくしたい。ことしは条文じょうぶん案あんの具体ぐたい化かを進すすめ、党派とうはを超こえた議論ぎろんを加速かそくしていく」と意欲いよくを示しめしました。

そして、最後さいごに「日本にっぽんを変かえていくチャンスを必かならずつかみ取とる。与野党よやとうそれぞれの立場たちばはあるが、次つぎの世代せだいのために全力ぜんりょくを尽つくそう」と呼よびかけました。

総理そうり大臣だいじんによる通常つうじょう国会こっかいでの施政しせい方針ほうしん演説えんぜつは、通例つうれい、召集しょうしゅう日びに行おこなわれますが、今回こんかいは自民党じみんとうの派閥はばつの政治せいじ資金しきんパーティーをめぐる問題もんだいを受うけて、予算よさん委員いいん会かいの集中しゅうちゅう審議しんぎのあとに行おこなわれる異例いれいの形かたちとなりました。

能登のと半島はんとう地震じしんの復旧ふっきゅう・復興ふっこう支援しえん本部ほんぶ 2月つき1日にちに第だい1回かい開催かいさいの方向ほうこう

村井むらい官房かんぼう副ふく長官ちょうかんは記者きしゃ会見かいけんで、新あらたに設置せっちする能登のと半島はんとう地震じしんの復旧ふっきゅう・復興ふっこう支援しえん本部ほんぶについて、「政府せいふ一体いったいとなって復旧ふっきゅう・復興ふっこうを迅速じんそくかつ強力きょうりょくに進すすめるため、全ぜん閣僚かくりょうをメンバーとする。あす中ちゅうの設置せっちを目指めざして手続てつづきを進すすめており、あさって（2月つき1日にち）第だい1回かいを開催かいさいする方向ほうこうで調整ちょうせいしている」と述のべました。

その上うえで「石川いしかわ県けんをはじめとする被災ひさい自治体じちたいと緊密きんみつに連携れんけいし、復興ふっこうのビジョンを共有きょうゆうした上うえで、ニーズを受け止うけとめながら、政府せいふとしてのさらなる支援しえんの方策ほうさくを議論ぎろんしていく」と述のべました。

公明こうめい 山口やまぐち代表だいひょう「力強ちからづよい決意けついや気迫きはくに満みちた演説えんぜつ」

公明党こうめいとうの山口やまぐち代表だいひょうは記者きしゃ団だんに対にたいし「これまでにない力強ちからづよい決意けついや気迫きはくに満みちた演説えんぜつであり、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんの姿勢しせいにふさわしい論戦ろんせんと結果けっかを出だす国会こっかいにしていきたい。政治せいじ不信ふしんは自民党じみんとうが引き起ひきおこした課題かだいだが、連立れんりつ与党よとうとして言いうべきことは言いいながら国民こくみんの信頼しんらいを回復かいふくできるよう全力ぜんりょくを尽つくしたい」と述のべました。一方いっぽう、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんが憲法けんぽう改正かいせいに意欲いよくを示しめしたことについて「憲法けんぽうの課題かだいは極きわめて重要じゅうようだが、先送さきおくりできない優先ゆうせん課題かだいを差し置さしおいて憲法けんぽうに力ちからを注そそぐという状況じょうきょうではない」と指摘してきしました。

立たつ民みん 泉いずみ代表だいひょう「岸田きしだ政権せいけんが弱体じゃくたい化かしているのを感かんじた」

立憲りっけん民主みんしゅ党とうの泉いずみ代表だいひょうは記者きしゃ団だんに対にたいし「力ちからない演説えんぜつで、岸田きしだ政権せいけんが弱体じゃくたい化かしているのを感かんじた。これだけ裏金うらがねに汚染おせんされた手てで、経済けいざい対策たいさくや復興ふっこう支援しえんができるのか。今いまの岸田きしだ政権せいけんには、推進すいしん力りょくも正当せいとう性せいもない。政権せいけん交代こうたいに向むけて、まずは裏金うらがねの実態じったい解明かいめいを迫せまっていきたい。演説えんぜつでは『派閥はばつがお金おかねと人事じんじのための集団しゅうだんと見みられても致し方いたしかたない』と明確めいかくに位置いちづけていたが、派閥はばつ政治せいじを本当ほんとうに断ち切たちきれるのかも問とうていきたい」と述のべました。

維新いしん 馬場ばば代表だいひょう「核心かくしんを突つくことが抜ぬけていた」

日本にっぽん維新いしんの会かいの馬場ばば代表だいひょうは記者きしゃ会見かいけんで「国民こくみんがワクワクする中身なかみではなかった。政治せいじとカネの問題もんだいの焦点しょうてんが、派閥はばつの解消かいしょうに移行いこうしてしまっている。野党やとうの国会こっかい対策たいさく委員いいん長ちょうが会談かいだんし、自民党じみんとうの議員ぎいんが何なん年ねんにわたってどれくらいのキックバックを受うけたか調しらべるよう要請ようせいしたが、きちんと事実じじつを解明かいめいし、再発さいはつ防止ぼうし策さくを検討けんとうしていくほうが大事だいじだ。核心かくしんを突つくことが演説えんぜつでは抜ぬけていた」と述のべました。

共産きょうさん 田村たむら委員いいん長ちょう「国民こくみんの怒いかりや苦くるしみを全まったく理解りかいしていない」

共産きょうさん党とうの田村たむら委員いいん長ちょうは記者きしゃ団だんに対にたいし「国民こくみんの怒いかりや苦くるしみを全まったく理解りかいしておらず、政策せいさくは空想くうそうでひと事ひとごとだった。こんなに冷つめたい施政しせい方針ほうしん演説えんぜつが甚大じんだいな災害さいがいが起おきた直後ちょくごに行おこなわれたことに怒いかりを禁きんじ得えない。自民党じみんとうの裏金うらがね問題もんだいもひと事ひとごとで、真相しんそう究明きゅうめいもまともな反省はんせいもなく、国民こくみんの怒いかりが収おさまるはずがない。根本こんぽん的てきに自民党じみんとう政治せいじを終おわらせるしかないことが明あきらかになった」と述のべました。

国民こくみん 玉木たまき代表だいひょう「政治せいじ改革かいかくの具体ぐたい的てき解決かいけつ策さく 示しめされていない」

国民こくみん民主みんしゅ党とうの玉木たまき代表だいひょうは記者きしゃ団だんに対にたいし「いま一いち番ばん問題もんだいになっている裏金うらがね問題もんだいに対にたいする政治せいじ改革かいかくの具体ぐたい的てきな解決かいけつ策さくが示しめされていない。実態じったいの解明かいめいが最さい優先ゆうせんであり、誰だれがいくらの不ふ記載きさいをしたのか、リストを出だしてもらわないと何なにも始はじまらない。物価ぶっか高だか対策たいさくについても踏み込ふみこみが弱よわく、もう物価ぶっか高だかが終おわったかのような内容ないようで、『トリガー条項じょうこう』の凍結とうけつ解除かいじょによるガソリン値下ねさげをしっかりやるべきだと強つよく求もとめていきたい」と述のべました。

れいわ 山本やまもと代表だいひょう「いまの政権せいけんを倒たおさなければ未来みらいはない」

れいわ新選しんせん組ぐみの山本やまもと代表だいひょうは「リップサービスは聞きき飽あきた。自然しぜん災害さいがいでも被災ひさい者しゃを救すくわず、30年ねんに及およぶ経済けいざい災害さいがいでも国民こくみんを救すくわない。いまの政権せいけんを倒たおさなければ未来みらいはない」とするコメントを出だしました。