この冬の
電力需給は、
供給の
余力を
示す「
予備率」が
全国すべての
地域で、
安定供給に
最低限必要な3%を
確保できる見通しです。
ただ強い寒波で気温が低下した場合などに電力需要が想定を超えて増加するおそれがあるほか、ウクライナ侵攻の影響でLNG=液化天然ガスの安定調達に懸念があるなど厳しい状況が続いています。
このため政府は冬の時期としては7年ぶりに節電要請を行うことにしたもので、12月1日から全国の家庭や企業を対象に数値目標は設けず無理のない範囲での節電に協力を求めることにしています。
期間は来年3月末までで、家庭に対しては、重ね着をするなどして無理のない範囲で暖房器具の設定温度を下げることや、不要な照明を消すことなどを求めています。
また企業に対しては、店舗や執務室の照明を可能なかぎり減らすことや、パソコンやプリンターなどを長時間使用しない場合は、電源を切ることなどを求めています。
さらに政府は、電力の小売り事業者が行う節電プログラムに参加する家庭や企業に買い物などで利用できるポイントを上乗せする支援策も行っています。
電気の使用量を前の年よりも3%以上減らした家庭に対しては、月1000円相当のポイントを付与することにしていて、こうした措置で節電の実効性を高めていきたいとしています。
家庭や企業で取り組める節電メニューとは
冬の
時期としては7
年ぶりと
なる節電要請にあわせて、
経済産業省では
家庭や
企業で
取り組める
節電メニューをまとめています。
それによりますと、
北海道と
沖縄以外の
地域の
場合、
冬の1
日の
家庭での
電気の
使用割合は、
暖房が32.7%、
冷蔵庫が14.9%、
給湯器が12.6%、
照明器具が9.2%
などとなっています。
そのうえで
暖房については、
重ね着などをしてエアコンの
設定温度を22
度から20
度に
下げると2.7%、
窓に
厚手の
カーテンを
かけると0.8%、
それに
目詰まりしたエアコンの
フィルターを
掃除すると0.8%の
節電効果が
あるとしています。
また冷蔵庫については、冷やしすぎを避け、扉を開ける時間を短くしたり、食品を詰め込みすぎないようにしたりすることで1.5%の節電効果があるとしています。
さらに不要な照明をすべて消すことで4.5%の節電効果があるということです。
一方、
企業の
電気の
使用割合は、
空調が33.5%、
照明が29.8%、
パソコンが8.6%
などとなっています。
そのうえで、
オフィスや
店舗の
照明を
半分程度減らすと7.7%、エアコンの
設定温度を22
度から20
度に
下げると3.4%の
節電効果が
あるということです。
さらに、従業員が長時間席を離れる場合は、パソコンの電源を切ったり、消費電力の少ないスタンバイモードにしたりすると3.6%の節電効果があるとしています。
節電について楽しく学ぶ “クッキング教室” も
全国的に
節電が
求められる
中、
料理を通じて節電について
楽しく
学んでもらおうというクッキング
教室が
北海道の
寿都町で
開かれました。
この教室は、電力需給が厳しくなると予想される冬を前に各家庭で節電に取り組んでもらおうと、北海道経済産業局と寿都町が27日に開きました。
講師にはお笑いトリオ「ロバート」のメンバーで、料理家としても活動している馬場裕之さんが招かれ、町内に住む12組の親子が参加しました。
参加者たちは地元産のシラスやホタテ、イクラなどの食材を使った料理3品に挑戦しながら、IH調理器に比べて電子レンジを使ったほうが節電の効果があることや、スープにとろみをつけたいときは米粉を使えば調理時間を短縮できることなどを学んでいました。
調理が終わるとさっそく試食が行われ、参加した9歳の女の子は「包丁を使うのが楽しかったです。キノコのマリネがおいしくできました」と話していました。
講師を
務めた
馬場さんは「
寿都町の
方々が
優しくて、
気温は
寒いですが
心は
温かくなりました。
冬は
とにかく鍋で
簡単に
温まることがおすすめです」と
話していました。
「予備率」最低限確保の見通しも安定供給に支障のおそれ
政府は、10
年に1
度の
厳しい寒さを
想定した
場合の
この冬の
電力需給は
来年1
月がもっとも
厳しく
なるとしていて、
供給の
余力を
示す「
予備率」は、
東北電力と
東京電力の
管内で4.1%、
中部電力、
北陸電力、
関西電力、
中国電力、
四国電力、
九州電力の
管内で5.6%、
北海道電力の
管内で7.9%
などとする
見通しを
立てています。
来年2月は東北電力と東京電力の管内で4.9%、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力の管内で6.5%、北海道電力の管内で8.1%などとしていて、いずれも安定供給に最低限必要とされる3%の予備率を確保できる見通しです。
ただ、ここ数年、多くの地域で電力需要が当初の想定を上回っているほか、経済産業省では、発電所でトラブルが起きたり、寒波によって気温が大幅に低下したりすれば電力の安定供給に支障が出るおそれがあるとしています。
このため、供給不足への対策が不可欠だとして、休止中の老朽化した火力発電所を再稼働させて、追加的な電源を確保するほか、すでに再稼働している原発を最大限活用するという政府の方針に沿って、テロ対策施設の工事などで運転を一時的に停止している原発の運転再開時期を早めることにしています。
さらに経済産業省では、LNGが不足した場合に備え、電力やガス会社がほかの事業者から融通を受けられるよう、国が仲介する新たな枠組みの整備も進めることにしています。
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Source: NHK
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