森部長によりますと、ケトン性低血糖症は栄養不足によって食事や水分を体が受け付けなくなって何度も吐くなどの症状が特徴で胃腸炎などの感染症にかかった10歳までの乳幼児に比較的よくみられますが、それ以外では特殊な状況でなければ発症することは考えにくいということです。
通常は水分や糖を補給をするほか、口から水分をとることが難しい場合は輸液を点滴することで治療します。
しかし、適切に対処しなければ糖分の不足とおう吐の悪循環に陥り、何度も繰り返すと脳へダメージを与えて意識がなくなったり、知的障害や発達障害などにつながるおそれがあるということです。
森部長は「ケトン性低血糖症で2、3回入院することはあるが40回というのは聞いたことがない。糖は人体の中では脳がいちばん必要としているので、糖の不足が繰り返さると脳へダメージを与えて意識がなくなったり、けいれんが起きたりすることがある。また、エネルギーが枯渇すると命にかかわる可能性もある」と指摘しています。
このため、市は、容疑者と娘の面談をしたほか、近所の住民からも聞き取りを行い、「親子のコミュニケーションはとれ、娘が痩せ細っている様子もなく虐待の兆候はない」と判断しました。 また、娘が通う小学校にも聞き取りを行ったところ、学校からは「母親は『娘には難病があり、検査のため入院を繰り返している』と説明している」と伝えられ、入退院についても問題はないと判断したということです。 一方で、短い期間に虐待を疑わせるメールが2件寄せられていたことから、市は去年11月、娘が軽度の育児放棄を受けているおそれがあるとして、子どもを見守るための「要保護児童」として登録し、小学校に対し、異変があった場合は連絡するよう求めていたということです。 その後、市に小学校からの連絡はなかったということです。 ことし1月22日、娘は、「ケトン性低血糖症」で6日間入院しました。 体調は回復し退院しましたが、わずか5日後の2月1日、発熱やおう吐の症状が出て、再び入院したということです。 入院して4日目の2月5日、病院の看護師は、娘に電話をかけてきた容疑者の発言を、周囲に音声が聞こえる携帯電話のスピーカー機能によって聞いていました。 この時の容疑者の発言は、 「泣くなって、うっとうしいから。警察にいうで」 「泣いている理由は、ユーチューブばっかし見てたから怒られたって言いや」 「食うなよ、寝とけ」 などというもので、これがきっかけで事件が発覚したということです。 翌日、2月6日に病院から通報を受けた児童相談所の大阪府中央子ども家庭センターは、2月9日に娘を一時保護する対応をとりました。 児童相談所から通報を受けた警察が捜査に着手し、警察によりますと、娘は「入院前の2日間は梅の駄菓子を3つしか食べていない」と話したほか、入院前の3日前の最後の食事は、小学校の給食だったと話していたということです。 さらに、警察によりますと、娘は「小学2年生の時から、急にママからピンク色の薬を飲まされる。その薬を飲むと気持ち悪くなってゲーする」「夜、ママが『病院に行こう』と言って、車で病院の駐車場に行った。ママがピンクの薬を持ってきていて、『上を向いて』と言って、また飲まされた」と説明したということです。 容疑者は、ことし4月と6月、いずれも傷害の疑いで逮捕され、起訴されました。 そして7月18日、詐欺の疑いで再逮捕されました。 容疑者の自宅から、薬の服用に使ったとみられる計量スプーンが押収されたということです。 警察によりますと、娘は現在、中央子ども家庭センターで保護されていて、保護されたあとは、1日3食の食事をとって体調もよく、元気に走り回っているということです。
大東市こども家庭室子ども支援グループの高橋和久次長は「当時、学校に連絡をして児童の状況を聞き取るなど、必要な対応はしていたが、具体的な虐待行為が確認できなかった。対応は適切だったと考えている」としています。 一方で、「今回のようなケースは起こってはならない事案で、これまでの対応をしっかり振り返って、今後の対応につなげたい」と話していました。
事件の経緯と市の対応などは
大東市 “対応適切も振り返り今後の対応に”