（事例じれい１いち）

1歳さいの子こを湯船ゆぶねに入いれて、上うえの子こを呼よびにいった。1分ふんほどで戻もどったが意識いしきがもうろうとして浮ういていた。救急きゅうきゅう搬送はんそう。

（事例じれい２に）

親おやが髪かみを洗あらっていて、気きが付つくと2歳さいの子こが呼吸こきゅうが止とまった状態じょうたいで浮ういていた。入院にゅういん。

いずれも、親おやが一緒いっしょにお風呂ふろに入はいっていたけれど、ちょっと目めを離はなした隙ひまの出来事できごとでした。

「おぼれると、脳のうに空気くうきがいかなくなって低てい酸素さんそ脳症のうしょうになってしまいます。溺水すいは6分間ふんかんで死しに至いたると言いわれていますが、3分間ふんかんでもリスクがあります。今いまは集中しゅうちゅう治療ちりょうのレベルが上あがっているので、今いままで命いのちを落おとしていた子こも救命きゅうめいできるようにはなりました。しかし、必かならずしも完全かんぜんに元気げんきになって家いえに戻もどれるわけではなくて、低てい酸素さんそ脳症のうしょうで寝ねたきりの状態じょうたいになってしまうこともあるんです」

坂本さかもと医師いしによると、アメリカでは1970年代ねんだいからその現象げんしょうが指摘してきされていて、水難すいなん救助きゅうじょ関係かんけい者しゃの間までは常識じょうしきとなっているということです。

坂本さかもと昌彦まさひこ医師いし

「耳みみをそばだてていれば、溺おぼれた場合ばあいに気きづけるはずだというのは思い込おもいこみです。静しずかに溺おぼれることがあるというのは知しっておくべき重要じゅうような点てんです」

バチャバチャさせて「助たすけて～」と叫さけぶのは、漫画まんがや映画えいがの世界せかいのこと。

先入せんにゅう観かんと言いえそうです。

きょうだいの世話せわをしたり自分じぶんの髪かみを洗あらったり。

“目めを離はなさない”というのは難むずかしいですよね。

手ての届とどく範囲はんいにいることで異変いへんにすぐ対応たいおうできます。

2「湯船ゆぶねに子こどもだけで入はいらせない」

親おやが髪かみや顔かおを洗あらう時ときは、子こどもを湯船ゆぶねから出だすと、事故じこのリスクはぐんと減へります。

3「会話かいわを続つづける」

どうしても湯船ゆぶねに先さきに入いれざるをえないときは、会話かいわを続つづけたり、一緒いっしょに歌うたを歌うたったりすると万が一まんがいちおぼれてもすぐに気きづくことができます。

4「残のこし湯ゆに注意ちゅうい」

防災ぼうさいへの備そなえとしてお風呂ふろに湯ゆを残のこす家庭かていもあります。

子こどもは、湯ゆが数すうセンチの高たかさでも顔かおがつかっておぼれてしまいます。

誤あやまって風呂ふろ場じょうに入はいらないようにゲートや鍵かぎを設置せっちしてください。

育児いくじの便利べんりグッズとして使つかわれている側面そくめんもあり、SNS上じょうでは湯船ゆぶねでの写真しゃしんがたくさんアップされています。

日本にっぽん小児しょうに科か学会がっかいでは、親おやが髪かみを洗あらう間まなど子こどもから目めを離はなす場面ばめんでは絶対ぜったいに使用しようしないこと、と注意ちゅうい喚起かんきしています。