アルメニア側がわの人権じんけん監視かんし団だんは、これまでに27人にんが死亡しぼうしたとしていて、緊張きんちょうが高たかまっています。

アゼルバイジャン国防省こくぼうしょうは19日にち、隣国りんごくアルメニアとの係争けいそう地ちナゴルノカラバフに対にたいし「わが国わがくにの領土りょうどからのアルメニア軍ぐんの撤退てったいや武装ぶそう解除かいじょを行おこない、軍事ぐんじインフラを無力むりょく化かするためだ」として対たいテロ作戦さくせんを開始かいししたと発表はっぴょうし、攻撃こうげきによって軍事ぐんじ施設しせつを破壊はかいしたとする映像えいぞうも公開こうかいしました。

アゼルバイジャン側がわは、ナゴルノカラバフで地雷じらいが爆発ばくはつして市民しみんが死亡しぼうしたなどとしていてアルメニア側がわのテロによるものだと主張しゅちょうしています。

アルメニア側がわの人権じんけん監視かんし団だんはアゼルバイジャン軍ぐんの軍事ぐんじ作戦さくせんでこれまでに市民しみん2人にんを含ふくむ27人にんが死亡しぼうしたほか、200人にんを超こすけが人けがにんが出でているとしています。

停戦ていせんを仲介ちゅうかいしてきたロシアは懸念けねんを表明ひょうめいしていて、大統領だいとうりょう府ふのペスコフ報道ほうどう官かんは19日にち「重要じゅうようなことは両国りょうこくが交渉こうしょうのテーブルにつくように説得せっとくすることだ」と述のべ、即時そくじ停戦ていせんを求もとめました。

一方いっぽう、アルメニアは、パシニャン首相しゅしょうがテレビ演説えんぜつで「アゼルバイジャンが地上ちじょう侵攻しんこうを開始かいしした」と非難ひなんしました。

パシニャン首相しゅしょうは、後うしろ盾たてとなっているロシアの平和へいわ維持いじ部隊ぶたいの役割やくわりに期待きたいを示しめす一方いっぽうで、ロシアメディアによりますと、アメリカのブリンケン国務こくむ長官ちょうかんとも電話でんわ会談かいだんを行おこない、緊張きんちょうの緩和かんわを訴うったえたということです。

ナゴルノカラバフでは、2020年ねんの武力ぶりょく衝突しょうとつで双方そうほうあわせて5600人にんを超こす死者ししゃが出でて事実じじつ上じょう、アルメニアが敗北はいぼくしロシアの仲介ちゅうかいで停戦ていせんしていましたが、ロシアがウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを続つづける中なか、ロシアの影響えいきょう力りょくが弱よわまっているという指摘してきも出でていました。

アゼルバイジャン国防省こくぼうしょう “アルメニア側がわの60以上いじょうの陣地じんちを掌握しょうあく”

アゼルバイジャン国防省こくぼうしょうの報道ほうどう官かんは19日にち「テロ作戦さくせんは成功せいこうしながら継続けいぞくされている」と述のべたうえで、これまでの軍事ぐんじ作戦さくせんでアルメニア側がわの60以上いじょうの陣地じんちを掌握しょうあくし、20以上いじょうの軍用ぐんよう車両しゃりょうを破壊はかいしたなどと主張しゅちょうしました。

また国防こくぼう省しょうは声明せいめいで、アルメニア軍ぐんに降伏ごうぶくを呼よびかけているとする一方いっぽう「われわれは派遣はけんされているロシアの平和へいわ維持いじ部隊ぶたいと連絡れんらくをとっている」としていてナゴルノカラバフに駐留ちゅうりゅうするロシア軍ぐんの部隊ぶたいとは戦闘せんとう状態じょうたいに入はいっていないことを示しめしたとみられます。

一方いっぽうロシア国防省こくぼうしょうは19日にち「われわれはアゼルバイジャン側がわの多おおくの停戦ていせん違反いはんを記録きろくしている」として、アゼルバイジャンを非難ひなんした上うえで即時そくじ停戦ていせんを呼よびかけました。

またロシアのメディアによりますと、現地げんちのロシア軍ぐんの平和へいわ維持いじ部隊ぶたいの活動かつどうでナゴルノカラバフからこれまでに市民しみん1800人にん以上いじょうを避難ひなんさせたとしています。

アルメニア首都しゅとでは抗議こうぎ活動かつどう

ロイター通信ろいた-つうしんやロシアのメディアによりますと、アゼルバイジャンが、隣国りんごくアルメニアとの係争けいそう地ちナゴルノカラバフで対たいテロ作戦さくせんを開始かいししたと発表はっぴょうしたことに対にたいし、アルメニアの首都しゅとエレバンでは、大勢たいせいの市民しみんが、政府せいふ庁舎ちょうしゃやアルメニアの後うしろ盾たてとなっているロシアの大使館たいしかんを囲かこむなど、抗議こうぎ活動かつどうを行おこなったということです。

ロイター通信ろいた-つうしんによりますと、参加さんか者しゃたちは戦闘せんとうの停止ていしを求もとめてデモを行おこない、「ナゴルノカラバフへの侵略しんりゃくには本当ほんとうに衝撃しょうげきを受うけている」とか「国連こくれんがアゼルバイジャンに圧力あつりょくをかけるべきだ。ロシアの平和へいわ維持いじ部隊ぶたいが何なにもしないのは目めに見みえている」などと訴うったえていました。

一部いちぶのデモの参加さんか者しゃは、警察けいさつの部隊ぶたいと衝突しょうとつとなり、ロシアのメディアが保健ほけん省しょうの話はなしとして伝つたえたところによりますと、これまでに警察官けいさつかん16人にんを含ふくむ34人にんがけがをしたということです。

ナゴルノカラバフとは

ナゴルノカラバフは、アルメニアとアゼルバイジャンが互たがいに帰属きぞくを主張しゅちょうする係争けいそう地ちで、これまでも激はげしい武力ぶりょく衝突しょうとつがたびたび起おきていました。

アルメニアとアゼルバイジャンはともに旧きゅうソビエトを構成こうせいしていた隣国りんごくで、1991年ねん以降いこう、ナゴルノカラバフを巡めぐって本格ほんかく的てきな戦闘せんとうに発展はってんしたあと、1994年ねんにいったん停戦ていせんに合意ごういしました。

その後そのごも緊張きんちょうした状態じょうたいが続つづくなか2016年ねんの武力ぶりょく衝突しょうとつに続つづいて2020年ねんには双方そうほうあわせて5600人にんを超こす死者ししゃが出でる事態じたいに発展はってんし、去年きょねん9月つきに起おきた衝突しょうとつでも双方そうほうで多おおくの死傷ししょう者しゃが出でて、互たがいに相手あいてが攻撃こうげきしたと非難ひなんしあっていました。

ナゴルノカラバフをめぐってはアルメニアの後うしろ盾たてとなっているロシアが仲介ちゅうかい役やくをアピールしてきたほか、トルコが、宗教しゅうきょう的てきにも言語げんご的てきにも近ちかいアゼルバイジャンを支持しじしてきましたが、ロシアはウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを続つづける中なか、その影響えいきょう力りょくが弱よわまっているという指摘してきが出でていました。

トルコ “軍事ぐんじ作戦さくせんを全面ぜんめん的てきに支持しじ”

アゼルバイジャン国防省こくぼうしょうが隣国りんごくアルメニアとの係争けいそう地ち、ナゴルノカラバフに対にたいして対たいテロ作戦さくせんを開始かいししたと発表はっぴょうしたことについて、トルコのエルドアン大統領だいとうりょうは19日にち、国連こくれん総会そうかいでの演説えんぜつで「ナゴルノカラバフはアゼルバイジャンの領土りょうどであり、それ以外いがいの主張しゅちょうは受け入うけいれられない」と述のべて、同盟どうめい関係かんけいにあるアゼルバイジャンの軍事ぐんじ作戦さくせんを全面ぜんめん的てきに支持しじする考かんがえを表明ひょうめいしました。

EU“敵対てきたい行為こういやめ対話たいわを”

EU＝ヨーロッパ連合れんごうの外相がいしょうにあたるボレル上級じょうきゅう代表だいひょうは19日にち、声明せいめいを発表はっぴょうし「軍事ぐんじ的てきな緊張きんちょうの高たかまりを非難ひなんする。敵対てきたい行為こういをすぐにやめ、アゼルバイジャンには軍事ぐんじ的てき活動かつどうを停止ていしするよう求もとめる」として両者りょうしゃに対話たいわの場ばに戻もどるよう呼よびかけました。

フランス“国連こくれん安保理あんぽりの緊急きんきゅう会合かいごうを”

アゼルバイジャンと隣国りんごくアルメニアとの係争けいそう地ちナゴルノカラバフをめぐって、アゼルバイジャンが「対たいテロ行動こうどうを開始かいしした」と発表はっぴょうしたことを受うけて、フランス外務省がいむしょうは19日にち声明せいめいを出だし、国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの緊急きんきゅう会合かいごうを開催かいさいすべきだと要請ようせいしました。

声明せいめいでは「アゼルバイジャンが重火器じゅうかきの使用しようを伴ともなう軍事ぐんじ作戦さくせんを開始かいししたことを最もっとも強つよいことばで非難ひなんする。いかなる口実こうじつがあっても、このような一方いっぽう的てきな行動こうどうは正当せいとう化かできない」としています。

その上うえで「アゼルバイジャンは、直ただちに攻撃こうげきを中止ちゅうしし、国際こくさい法ほうを尊重そんちょうする立場たちばに戻もどるべきだ。フランスは欧米おうべい各国かっこくと連携れんけいして、この容認ようにんしがたい攻撃こうげきへの強力きょうりょくな対応たいおうを行おこなう」としたうえで、国連こくれん安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいの緊急きんきゅう会合かいごうの開催かいさいを要請ようせいしています。

アメリカ “武力ぶりょく行使こうしは容認ようにんできない”

アメリカのブリンケン国務こくむ長官ちょうかんは19日にち声明せいめいを発表はっぴょうし、アゼルバイジャンの軍事ぐんじ行動こうどうに深ふかい懸念けねんを表明ひょうめいしました。

声明せいめいでは、「軍事ぐんじ行動こうどうはナゴルノカラバフの悲惨ひさんな人権じんけん状況じょうきょうをさらに悪化あっかさせ、和平わへいの見通みとおしを損そこなうものだ。紛争ふんそう解決かいけつのための武力ぶりょく行使こうしは容認ようにんできない」としてアゼルバイジャンに対にたいし直ただちに軍事ぐんじ行動こうどうを停止ていしするよう求もとめるとともに、双方そうほうに対話たいわを呼よびかけました。