そのうえで「介護報酬を上げて経営上の支援をすることに加え、キャリアアップの仕組みを公的に構築し、若い人が働きたいと思える環境を整える必要がある」と話していました。
この調査は厚生労働省が所管する財団法人「介護労働安定センター」が全国の介護事業所や介護職で働く人たちを対象に毎年10月に行っています。
昨年度(令和2年度)の調査で従業員の中に65歳以上の人が何人いるか尋ねたところ、回答したおよそ8700の事業所の従業員合わせて19万6000人余りのうち、65歳以上の人は2万4149人で、全体に占める割合は12.3%でした。
職種別では理学療法士や作業療法士などが最も低く1.9%だったのに対し、ホームヘルパーなどの訪問介護職は最も高く25.6%で、4人に1人が65歳以上であることが分かりました。
訪問介護職が「大いに不足している」「不足している」「やや不足している」と答えた事業所は合わせておよそ80%にのぼりました。
訪問介護職は非正規雇用が多く収入が低いことなどから介護職の中でも特に人手不足が深刻だと指摘されていて、高齢のヘルパーに支えられている実態が浮き彫りとなりました。
「給与低く選択肢になりづらい 介護報酬上げ支援を」
調査結果を分析した1人、東洋大学の高野龍昭准教授は「今後団塊の世代が後期高齢者になって介護ニーズが急増する一方で、生産年齢人口は減少していき、今までと同じ方法で介護職を確保するのは相当難しい状況だ。特に訪問介護は専門性の高さが求められるわりには給与がほかの介護職より低く、若い人にとっては選択肢になりづらい。担い手がいないために自宅で暮らし続けたいという高齢者の希望がかなえられない事態も起きかねない」と指摘しています。
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