“1グラムで地球ちきゅう破壊はかい” 超ちょう高こうエネルギーの「宇宙うちゅう線せん」捉とらえる

砂漠さばくに設置せっちした507台だいの装置そうちが宇宙うちゅう線せん捉とらえる

大阪おおさか公立大こうりつだい学がくの藤井ふじい俊博としひろ 准じゅん教授きょうじゅら、日本にっぽんやアメリカ、ロシアなど8か国かこくが参加さんかする国際こくさい研究けんきゅうグループは、宇宙うちゅうから地球ちきゅうに降り注ふりそそぐ小ちいさな粒子りゅうし「宇宙うちゅう線せん」を観測かんそくするため、2008年ねんからアメリカ ユタ州しゅうの砂漠さばく地帯ちたいに設置せっちした507台だいの検出けんしゅつ装置そうちのデータを定期ていき的てきに解析かいせきしてきました。

その結果けっか、2021年ねん5月つき、「244エクサ電子でんしボルト」という観測かんそく史上しじょう2番目ばんめに高たかいエネルギーの宇宙うちゅう線せんを捉とらえたということです。

グループは宇宙うちゅうの謎なぞの解明かいめいにつなげる期待きたいを込こめ、この宇宙うちゅう線せんを日本書紀にほんしょきなどに登場とうじょうする神様かみさまの名前なまえにちなんで「アマテラス粒子りゅうし」と名付なづけました。

藤井ふじい准じゅん教授きょうじゅは「地道じみちな観測かんそくを続つづけることでようやく捉とらえることができた。今後こんごも観測かんそくを続つづけ、この宇宙うちゅう線せんの起源きげんを明あきらかにしたい」と話はなしていました。

発生はっせい源げんは未知みちの天体てんたい？

「宇宙うちゅう線せん」は宇宙うちゅうから降り注ふりそそぐ陽子ようしなどの小ちいさな粒子りゅうしで、発生はっせい源げんとなった天体てんたいでどんな現象げんしょうが起おきたのかを知しる手てがかりとなります。

今回こんかい捉とらえた宇宙うちゅう線せんの「244エクサ電子でんしボルト」というエネルギーは、粒子りゅうし1つで40ワットの電球でんきゅうをおよそ1秒間びょうかん点灯てんとうできる大おおきさで、計算けいさん上じょうは、わずか1グラムで地球ちきゅうが破壊はかいされるほど巨大きょだいなものだということです。

1991年ねんに観測かんそくされ、「驚おどろくべき粒子りゅうし」という意味いみで「オーマイゴッド粒子りゅうし」と名付なづけられた宇宙うちゅう線せんの「320エクサ電子でんしボルト」に次つぐものでした。

こうした極きわめて高たかいエネルギーの宇宙うちゅう線せんの発生はっせい源げんでは、

▼巨大きょだいな星ほしが爆発ばくはつしたり

▼ブラックホールからガスが吹き出ふきだしたりするなど

大だい規模きぼな天体てんたい現象げんしょうが起おきた可能かのう性せいがあり、今後こんご、研究けんきゅうが進すすめば、未知みちの天体てんたいの発見はっけんにつながる可能かのう性せいがあると期待きたいされています。

宇宙うちゅうから降り注ふりそそぐ粒子りゅうしなどの観測かんそくによって宇宙うちゅうの成り立なりたちを探さぐる研究けんきゅうは、世界せかい各国かっこくで進すすめられていて、国内こくないでは岐阜ぎふ県けんに「KAGRA（カグラ）」と「スーパーカミオカンデ」という大型おおがたの実験じっけん施設しせつがあります。

▼「KAGRA」は、星ほしどうしが衝突しょうとつしたり、ブラックホールが合体がったいしたりしたときに生しょうじる「重力じゅうりょく波は」と呼よばれる時空じくうのゆがみを、

▼「スーパーカミオカンデ」は、巨大きょだいな星ほしが寿命じゅみょうを終おえるときに放出ほうしゅつされる「ニュートリノ」という粒子りゅうしを、それぞれ観測かんそくしています。

大阪おおさか公立大こうりつだい学がくなどの国際こくさい研究けんきゅうグループは、こうした他ほかの施設しせつの観測かんそく結果けっかを組み合くみあわせて解析かいせきすることで、今回こんかい捉とらえた宇宙うちゅう線せんの発生はっせい源げんの解明かいめいを進すすめたいとしています。

地道じみちなデータ解析かいせき 「ようやく捉とらえた」

研究けんきゅう成果せいかを公表こうひょうした国際こくさい研究けんきゅうグループ「テレスコープアレイ実験じっけん」は、日本にっぽんやアメリカ、ロシアなど8か国かこくから140人にんほどの研究けんきゅう者しゃが参加さんかしています。

グループでは、アメリカ ユタ州しゅうの砂漠さばく地帯ちたいの、滋賀しが県けんのびわ湖びわことほぼ同おなじ広ひろさの700平方キロメートルへいほうきろめ-とるの範囲はんいに、507台だいの検出けんしゅつ装置そうちを設置せっちし、15年ねん前まえから宇宙うちゅう線せんの観測かんそくを続つづけています。

大阪おおさか公立大こうりつだい学がくの藤井ふじい准じゅん教授きょうじゅは、6年ねん前まえから500台だい余あまりの装置そうちが観測かんそくする膨大ぼうだいなデータを解析かいせきし、共同きょうどう研究けんきゅう者しゃに配布はいふしています。

3か月かげつに1度ど、藤井ふじい准じゅん教授きょうじゅみずから装置そうちのデータが保存ほぞんされたコンピューターにアクセスして解析かいせきを行おこなっていますが、検出けんしゅつ装置そうちに不ふ具合ぐあいが生しょうじてうまく観測かんそくできなかったデータを取り除とりのぞく作業さぎょうに時間じかんがかかり、1回分かいぶんの解析かいせきに1週間しゅうかん近ちかく費ついやすこともあるということです。

藤井ふじい准じゅん教授きょうじゅは「データを解析かいせきする作業さぎょうは地道じみちなもので、過度かどに期待きたいを抱いだくこともなく、これが自分じぶんの仕事しごとだと思おもって続つづけてきた。モニターのエネルギーの数値すうちが『244』を示しめしているのを見みたときは大変たいへん驚おどろき、何なにかの間違まちがいではないかと何なん度ども確認かくにんしたが、正ただしい結果けっかだとわかると、歴史れきし的てきな瞬間しゅんかんに立ち会たちあえた喜よろこびを感かんじた。発生はっせい源げんで何なにが起おきていたのかという、新あらたな謎なぞを突き止つきとめたくなり、非常ひじょうにわくわくした」と振り返ふりかえりました。

そして、「今回こんかいのように高たかいエネルギーの宇宙うちゅう線せんが地上ちじょうに届とどくことはまれなので、今後こんごも地道じみちに観測かんそくと解析かいせきを継続けいぞくする必要ひつようがある。ようやく捉とらえた宇宙うちゅう線せんなので、今後こんごの宇宙うちゅう天文てんもん学がくの道みちしるべになってほしい」と話はなしていました。