新たな合意が守られれば戦闘の休止は少なくとも29日まで延長されることになります。
※イスラエルやパレスチナに関する動きを随時更新でお伝えします。
米ブリンケン国務長官3回目中東訪問へ 人質解放や人道支援協議
アメリカ国務省の高官は27日、NHKなどに対し、ブリンケン国務長官が今週、イスラエル、パレスチナのヨルダン川西岸、それにUAE=アラブ首長国連邦を訪れることを明らかにしました。
ブリンケン長官は、27日からNATO=北大西洋条約機構の外相会合に出席するためベルギーを訪れていて、その後、中東に向かうことになります。
中東訪問中、ブリンケン長官は政府要人などと会談する予定でイスラエルとハマスが戦闘の休止に合意し、人質の解放が進む中、さらなる人質の解放とガザ地区の人道支援に向け、協議を行うことにしています。
また、将来的にはパレスチナ国家を樹立し、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指すべきだとするバイデン政権の立場を強調することにしています。
ブリンケン長官が中東を訪れるのは、10月7日にイスラエルとハマスの軍事衝突が始まってから3回目となります。
バイデン大統領「人質全員解放まで立ち止まらない」
ガザ地区での戦闘の休止を2日間延長するとの合意を受けて、アメリカのバイデン大統領は27日、声明を発表しました。
この中でバイデン大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相や仲介を担っているカタールのタミム首長、エジプトのシシ大統領に謝意を示すとともに、自身も交渉に深く関与してきたとしました。
その上で、「われわれはハマスが拘束している人質が全員解放されるまで立ち止まらない」と強調しました。
また「戦闘休止期間を最大限に活用してガザ地区へ運ばれる人道支援の物資の量を増やし、パレスチナの人びとのために平和と尊厳のある未来を築く努力を続ける」としてガザ地区への人道支援の増加に取り組む考えを示しました。
イスラエル軍 “休止期間後 軍事作戦再開” 強調
イスラエル軍のハガリ報道官は27日、前日にイスラム組織ハマスに解放された84歳の女性が拘束中、必要な薬の投与を受けられなかったため重篤な状態にあるとした上で「解放の際、人質に平和的に手を振るテロリストたちの映像をもってハマスの凶暴さを隠すことはできない」と批判しました。
そして「部隊は現在、ガザ地区の周りを巡回し、休息したり訓練を行ったりして戦争継続に向けた準備を強化している。物資や弾薬の補給、それに装甲車両の準備も進めている。われわれは人質の奪還とハマスの解体という2つの目標を掲げて戦場に戻り、成果を上げる決意だ」述べ、戦闘休止の期間が終わったら軍事作戦を再開する姿勢を改めて強調しました。
ハマス幹部「人質のイスラエル人兵士 解放交渉の用意ある」
戦闘の休止期間を2日間延長することで合意したことについてイスラム組織ハマスの幹部は27日夜、地元メディアなどに対して「人質にしているイスラエル人の兵士について解放交渉をする用意があるがまだ始まってはいない」と述べ、イスラエル側とさらなる交渉の用意があるという姿勢を示しました。
一方で「ハマスの軍事部門はいまもガザ地区の北部にいて状況をコントロールしている」と述べ、戦闘が再開されればイスラエル軍の攻撃に対して反撃の準備ができていると主張しました。
イスラエル軍「ハマス拘束の人質11人が解放」
イスラエル軍は27日、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスに拘束されていた人質のうち、イスラエル人11人が解放され、赤十字に引き渡されたと発表しました。
イスラエルとハマスは今月24日から4日間にわたって戦闘を休止し、ハマスが人質を段階的に解放する一方、イスラエル側も収監しているパレスチナ人を釈放することで合意していました。
これで、ハマスが解放した人質は外国籍も合わせて69人、イスラエル側が釈放したパレスチナ人は117人となりました。
国連事務総長 休止延長を歓迎「人道支援拡大 強く臨む」
ガザ地区での戦闘の休止が2日間延長されるとの合意について国連のグテーレス事務総長は27日「戦争の暗闇の中に、希望と人間性をかいま見ることができた」と述べて、歓迎しました。
そのうえで「苦しんでいるガザ地区の人々への人道支援がさらに拡大されることを強く望んでいる。しかし追加された時間をもってしても人々の大きなニーズを満たすことは不可能だろう」と指摘し、ガザ地区の人道状況を改善するには、より長期にわたる停戦が必要だという認識を改めて示しました。
米ホワイトハウス「戦闘休止延長の発表を歓迎」
アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は27日、記者会見で「戦闘休止を2日間、延長するという発表を歓迎する。私たちは休止がさらに延長されることを望んでおり、それは、ハマスが人質の解放を続けるかどうかにかかっている」と述べて人質全員の解放のためアメリカとして戦闘休止のさらなる延長に向けた交渉に関与し続ける考えを示しました。
カタール外務省 戦闘休止2日間延長で合意と発表
カタール外務省の報道官は27日SNSへの投稿で、ガザ地区での戦闘休止を2日間延長することで合意したと発表しました。
イスラエルと、ガザ地区を実効支配するハマスは今月24日から4日間にわたって戦闘を休止し、ハマスが人質を段階的に解放する一方、イスラエル側も刑務所に収容しているパレスチナ人を釈放することで合意していました。
そして、3日目の26日までに、ハマスがイスラエル人40人と外国籍の18人を解放し、イスラエル側もパレスチナ人117人を釈放していました。
ハマスは戦闘休止の期間中、解放するイスラエル人の人質1人につき、イスラエルの刑務所に収容されているパレスチナ人3人が釈放され、ガザ地区には人道支援物資を積んだトラックが1日200台搬入されることなどを条件としていました。
双方による4日間の戦闘休止は27日が4日目でしたが、新たな合意が守られれば少なくとも29日まで延長されることになります。
ハマス「これまでと同じ条件で停戦延長に合意」
ハマスも27日夜「カタールと、エジプトの同胞との間で人道的な停戦をさらに2日間、これまでと同じ条件で延長することに合意した」とする声明を出しました。