活動かつどうの背景はいけいには、病気びょうきと気きづくのが遅おくれ、子宮しきゅうなどを摘出てきしゅつする手術しゅじゅつを受うける人ひとが後ごを絶たたないことがあります。

骨盤こつばんを支ささえる筋肉きんにくがゆるみ、子宮しきゅうや膀胱ぼうこう（ぼうこう）などが体からだの外そとに出でてきてしまうのです。

患者かんじゃがどのくらいいるのか、はっきりしたことはわかっていませんが、海外かいがいでは出産しゅっさんを経験けいけんした女性じょせいのおよそ半数はんすうがなるという報告ほうこくがあります。

国内こくないでは、岐阜ぎふ大学だいがくが健康けんこう診断しんだんの結果けっかを分析ぶんせきしたところ、60代だいと70代だいの2割わりから3割わりが「骨盤こつばん臓器ぞうき脱だっ」だったというデータがあります。

患者かんじゃは60歳さい以上いじょうが多おおいものの、20代だいや30代だいなど若わかい世代せだいでも起おこりうる病気びょうきです。

この病気びょうきの難むずかしいところは、病気びょうきの初期しょき段階だんかいでは違和感いわかんがある程度あるていどで、自覚じかく症状しょうじょうがほとんどないことです。

そのため、病気びょうきが進行しんこうし、痛いたみや頻しき尿にょうなどの症状しょうじょうが出でるまで気きづきにくいのです。

「骨盤こつばん底そこ筋すじ体操たいそう」というもので、肛門こうもんや膣ちつをきゅっと絞しめたりゆるめたりを繰り返くりかえします。

この体操たいそうは、特とくに軽症けいしょう患者かんじゃの治療ちりょうに取り入とりいれられているそうです。

婦人ふじん科かや泌尿器ひにょうき科かなど、専門せんもんの医療いりょう機関きかんを受診じゅしんしてこうした治療ちりょうを早はやめに受うければ、病気びょうきの進行しんこうを抑おさえられる可能かのう性せいがあります。

しかし、病気びょうきと気きづかず、10年ねん以上いじょう受診じゅしんしないまま、悪化あっかしていく症状しょうじょうに苦くるしむ人ひとは少すくなくありません。

「病気びょうき自体じたいが知しられていないために、なかなか受診じゅしんできなくて長年ながねん悩なやんでいらっしゃる人ひとが多おおいと思おもいます。受診じゅしんしたときにはすでに病気びょうきが進行しんこうし、非常ひじょうに重症じゅうしょうになってしまっていて、そうなるともう手術しゅじゅつを避さけられなくなってしまうのです」

その5年ねんほど前まえ、健康けんこう診断しんだんを受うけた際さいに、医師いしから「子宮しきゅうが下さがってきている」と指摘してきされました。

ただ、症状しょうじょうが進行しんこうするまで、専門せんもんの医療いりょう機関きかんにはかからなかったといいます。

女性じょせい

「最初さいしょは、『子宮しきゅうが下さがってますよ』と言いわれたんです。でも、全まったく自覚じかく症状しょうじょうはないし、そうなんだ、という感かんじであまり深刻しんこくに捉とらえることはありませんでした。出でてきた子宮しきゅうを見みたときは本当ほんとうにびっくりしました。自分じぶんの臓器ぞうきって見みたことないですよね？その子宮しきゅうがだんだん乾燥かんそうしてカサカサになってしまって困こまったなって。痛いたくはないんですけど、違和いわ感かんっていうんですかね。今いまから思おもうと、そのときに病気びょうきと気きがついて、いろんな対策たいさくをしていれば良よかったのかもしれません」

しかし、病気びょうきはすでに進行しんこうしていて、趣味しゅみの自転車じてんしゃに乗のるたびに、体からだの外そとに出でた子宮しきゅうがすれて出血しゅっけつし、痛いたみを感かんじるようになりました。

そして、診断しんだんから7年ねん後ご。

ついに歩あるくのにも支障ししょうをきたすようになり、子宮しきゅうを摘出てきしゅつする手術しゅじゅつを受うけざるをえませんでした。

「思い返おもいかえすと、本当ほんとうにあんなんよう我慢がまんしてたなと感かんじます。病気びょうきに対にたいする知識ちしきが全まったくなかったものですから。症状しょうじょうが進すすんで、だんだん苦くるしい状態じょうたいになっていくなんて…。もっと早はやくこの病気びょうきについて知しっていられたら良よかったのにと思おもいます」

グループでは、病気びょうきの知識ちしきや予防よぼう法ほうなどをまとめた動画どうがやパンフレットを制作せいさくしたり、啓発けいはつのためのイベントを開催かいさいしたりすることにしています。

その場ばで病気びょうきの知識ちしきや予防よぼう法ほうを伝つたえると、体操たいそうをやってみたいとか、病気びょうきのことを友人ゆうじんにも伝つたえたいという声こえが聞きかれました。

「私わたしたちの活動かつどうやメッセージが伝つたわって、婦人ふじん科かや泌尿器ひにょうき科かを受診じゅしんする行動こうどうにつながればいいなと思おもっています。今いままでなかなか広ひろく世間せけんで話題わだいになったりすることはなかったと思おもうんですけれど、これを機会きかいにみなさんが身近みぢかな問題もんだいとしてとらえていただけるようになったらうれしいです」