腰の
辺りには、
小さな手の
感覚。
女の子が
そっと腰を
押しながら、
バスの
入り口まで
案内してくれたのです。
山崎さんと同じバスを待っていた和歌山大学教育学部付属小学校に通う児童でした。
その日から、山崎さんと女の子の交流が始まりました。
停留所でバスを待つ間や車内では学校の出来事について教えてくれました。
女の子との時間を過ごすうちに、あんなに嫌だった通勤時間は幸せな一日の始まりになっていました。
しかし月日は流れ、女の子は小学校を卒業。
「また一人で通勤か」
そう思っていると、声が聞こえます。
「バスが来ました」
山崎さんと女の子の登校を見ていた、下級生の女の子でした。
見よう見まねでサポートしてくれたのです。
子どもたちがみずから始めた「小さい手のリレー」は山崎さんが去年、脳梗塞で倒れるまで10年以上にわたって続きました。
「またいっしょに行けるのを待ってます」
2
人の
姉からバトンを
引き継いだ、4
年生の
西前友雅(ゆい)
さん。
1年生のころから毎朝、停留所で会う山崎さんとの会話を楽しみながらサポートを続けてきました。
山崎さんの
入院でサポートはできなくなりましたが、
西前さんは「
もう一度、
一緒の
バスに
乗りたい」と
願い
続けていました。
西前友雅さん「ママが言ってたけど山崎さんがみんなと一緒に行きたいって言ってくれてたから。だから、頑張ってほしい。山崎さんに会いたいなぁ」
ことし山崎さんに送った年賀状には、励ましのメッセージを添えました。
「またいっしょに行けるのを待ってます。がんばってね!!」
「子どもたちと一緒にバスに乗りたい」
その思いに
応えるように
山崎さんは
毎日、
病院でリハビリに
励んでいました。
最初は1人で立つこともできませんでした。
支えてもらいながら、わずかな距離を歩くのが精いっぱい。
白じょうを持つ右手にも力が入りません。
何度もくじけ
そうになりした。
それでも気持ちを奮い立たせました。
山崎浩敬さん
「子どもたちと一緒にバスに乗りたいっていうのがあるから、リハビリ頑張ってる」
その思いを胸に休むことなくリハビリを続けた山崎さん。
やがて少しずつ、手や足に力が入るようになってきました。
倒れてから2
か月余りたった
去年12
月。
山崎さんは少し足をひきずりながらも、手に白じょうを持って1人で歩けるまで回復しました。
寂しくても笑顔で
そうして退院した
山崎さん。
ことし2月。娘に誘導してもらいながら、バス停までの道の途中にある西前さんの家を訪ねました。
「おはよう友雅ちゃん」
山崎さんはいすに腰をかけ、あいさつしました。
そして、大切な話を伝えました。
山崎浩敬さん
「もうほんとはね、頑張ってね4月からバスに乗ろうと思ったんやけどね。お医者さんもねあのバスのステップがやっぱり高いのが、なかなか足あがらんからもうちょっと4月に復活は無理やねって言うから。残念ながらバスに乗るのを諦めた」
西前友雅さん
「また一緒に行けたらいいなと思ってた」
山崎浩敬さん
「でもたまにバス停へ顔見に行くわ。歩くリハビリかねて」
山崎さんがあえて明るくふるまうと、西前さんは少しほほえんでほっとした表情を見せました。
“みんなの小さい手に”ありがとう
山崎さんは
西前さんに
導かれて、
近くの
公園へ。
これまでサポートしてくれた3人の子どもたちが集まっていました。
山崎さんは子どもたちにこれまでの感謝を伝えました。
山崎浩敬さん
「今までサポートしてくれてありがとうございます。本当に楽しい通勤時間でした」
子どもたちも山崎さんに回復のお祝いとこれまでの感謝を伝えました。
「こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました」
そして、
切り絵で
バスを
描いた
手作りの
封筒を
手渡しました。
中には子どもたちが頑張って作った点字のメッセージカード。
「やまさき
さんにであえてよかったです。からだにきをつけてください。
またあえるのをたのしみにしています」
そして、
一人一人が
心を
込めてメッセージを
読み上げました。
西前友雅さん
「4年間ありがとうございました。また一緒にお散歩行こうね」
山崎浩敬さん
「うれしいな。涙出てくるわ」
寂しさとうれしさ。
そして子どもたちとのたくさんの思い出がよみがえります。
山崎浩敬さん
「僕の人生、もっともっとつらい人生やったと僕は思うんやけど、あの子たちと知り合ったおかげで、目が見えなくなった、残りの人生が思い出がたくさんできたと思います」
たくさんの子どもたちがつないできた「小さい手のリレー」
1人の女の子のさりげない優しさは途切れることなく続き、山崎さんの支えになっていました。
そのリレーはゴールを迎え一緒にバス通勤することはなくなりましたが、子どもたちとの思い出は、これからも山崎さんを支え続けます。
歯科矯正「実質無料」が“治療中断で健康被害” 150人余が提訴
実質無料で歯科矯正ができるとしてモニターの契約をしたのに高額の費用を払わされた上、治療を中断され歯並びが悪くなるなどの健康被害を負ったと主張して全国各地の女性など150人余りが歯科医院などにあわせて2億6000万円余りの賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こしました。
Source: NHK
Jun 6, 2023 11:06
亡き母の思い胸にW杯へ ラグビー日本代表 李承信と家族の物語
ラグビー日本代表の李承信選手は、小学6年生のときに母をがんで亡くした。ラグビーをしているとき、いつもそばで見守ってくれる母だった。「『ワールドカップに出てほしい』って、ずっと言われていました。だから、お母さんのためにも出たい思いが強いですね」9月に開幕するワールドカップフランス大会。大舞台を目指す日本代表の若き司令塔と、その家族の物語です。(スポーツニュース部 記者 小林達記)
Source: NHK
Jun 5, 2023 08:06
ウクライナ軍 反転攻勢へ「形成作戦」進めているとの見方も
ウクライナ東部でロシア軍によるミサイル攻撃があり、2歳の女の子が死亡、子どもを含む20人余りがけがをし、ゼレンスキー大統領はロシアを強く非難しました。一方、ロシアでは、ウクライナとの国境近くで燃料施設などへの攻撃が相次いでいるとみられ、ウクライナ軍が反転攻勢に向けて「形成作戦」と呼ばれる準備段階の作戦を進めているという見方も出ています。
Source: NHK
Jun 4, 2023 11:06
【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(4日の動き)
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
Source: NHK
Jun 4, 2023 00:06
シンガポールでアジア安全保障会議 米中閣僚が短く言葉交わす
アジアや欧米の防衛担当の閣僚らが地域の安全保障の課題について議論する「アジア安全保障会議」がシンガポールで始まり、対立を深めるアメリカと中国の閣僚が短く言葉を交わしました。ただ重要なやりとりはなく、今後、具体的な対話につながるかどうかに関心が集まっています。
Source: NHK
Jun 3, 2023 00:06
「食事や睡眠もままならない…」“付き添い入院”過酷さ改善を
生まれてすぐ、病気で入院が続いた娘。病院のみなさんは本当に一生懸命してくださっているし、つらいのはこの子だから、親の自分が弱音を吐くわけにはいかないーーそう思いながらも、プライバシーも十分になく食事や睡眠もままならない日々に、“戦場”に行くような過酷さを感じていたと親は言います。「付き添い入院」の実態とは?環境の改善へ向けた動きは?当事者と医療現場、支援団体の動きをまとめました。
Source: NHK
Jun 1, 2023 08:06
【随時更新】北朝鮮から“ミサイル発射” 沖縄県の様子は?
政府は午前6時半にJアラート=全国瞬時警報システムで沖縄県を対象に情報を発信し、「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中や地下に避難してください」と伝えていましたが、午前7時4分新たに情報を発信し、「先ほどのミサイルはわが国には飛来しないものとみられます。避難の呼びかけを解除します」と伝えました。一時、避難の対象になった沖縄県の動きについて随時更新でお伝えします。
Source: NHK
May 31, 2023 00:05
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