バイデン大統領だいとうりょうは労働ろうどう者しゃや中間ちゅうかん層そうへの支援しえんを強化きょうかしたいとして、育児いくじや教育きょういく支援しえんなどを柱はしらとした大だい規模きぼな歳出さいしゅつ法案ほうあんの成立せいりつを目指めざしてきました。

法案ほうあんには3歳さいと4歳さいの保育園ほいくえんの無償むしょう化かや、子育こそだて世帯せたいへの減税げんぜいに加くわえて、電気でんき自動車じどうしゃや再生さいせい可能かのうエネルギーの普及ふきゅうに向むけた支援しえん策さくなどの気候きこう変動へんどう対策たいさくが盛り込もりこまれ、日本にっぽん円えんにして200兆ちょう円えん規模きぼを投入とうにゅうするとしています。

これらの政策せいさくの実現じつげんを強つよく働はたらきかけてきたのが格差かくさの是正ぜせいや気候きこう変動へんどう対策たいさくなどを求もとめ、積極せっきょく財政ざいせいを主張しゅちょうしている民主党みんしゅとう内ないの急進きゅうしん左派さはグループです。

近年きんねん、若者わかものからの支持しじを背景はいけいに勢力せいりょくを拡大かくだいし、グループの議員ぎいん数すうは党とう所属しょぞく議員ぎいんの3分ぶんの1以上いじょうのおよそ100人にんと存在そんざい感かんを増ましていて、歳出さいしゅつ法案ほうあんの規模きぼや内容ないように大おおきな影響えいきょうを与あたえてきました。

しかし、巨額きょがくの国費こくひを投入とうにゅうする歳出さいしゅつ法案ほうあんに対にたいして、財政ざいせい規律きりつを重視じゅうしする民主党みんしゅとう内ないの中道ちゅうどう寄よりの一部いちぶの議員ぎいんが反発はんぱつします。

民主党みんしゅとうのマンチン上院じょういん議員ぎいんは「借金しゃっきんの拡大かくだいなど国民こくみんへの影響えいきょうを十分じゅうぶんに精査せいさしていない段階だんかいでは法案ほうあんを支持しじできない」として慎重しんちょうな姿勢しせいを示しめし、バイデン大統領だいとうりょうがみずから会談かいだんするなどして理解りかいを求もとめてきました。

しかし、マンチン議員ぎいんは先月せんげつ、歳出さいしゅつ法案ほうあんは財政ざいせい赤字あかじを拡大かくだいさせ、記録きろく的てきな物価ぶっかの上昇じょうしょうを悪化あっかさせるなどとして反対はんたいを表明ひょうめいしました。

議会ぎかい上院じょういんは与野党よやとうの勢力せいりょくがきっ抗きっこうしており、野党やとう 共和党きょうわとうの協力きょうりょくが得えられる見通みとおしも立たっていないことから、マンチン議員ぎいんの反対はんたいによって歳出さいしゅつ法案ほうあんの成立せいりつは不透明ふとうめいになりました。

こうした状況じょうきょうに急進きゅうしん左派さはの議員ぎいんは強つよく反発はんぱつしていますが、マンチン議員ぎいんも法案ほうあんに反対はんたいする姿勢しせいを崩くずさず、調整ちょうせいは行き詰いきづまったままとなっています。

バイデン政権せいけんが身内みうちであるはずの与党よとう内ないの対立たいりつで、主要しゅよう政策せいさくを実現じつげんできていない現状げんじょうに、民主党みんしゅとうの支持しじ基盤きばんからも不満ふまんの声こえが上あがっています。

東部とうぶペンシルベニア州しゅうにある労働ろうどう組合くみあいのジョセフ・ヒューズ部長ぶちょうは「民主党みんしゅとうのより深ふかい問題もんだいは、急進きゅうしん左派さはや中道ちゅうどう派はといった複数ふくすうのグループを抱かかえていることだ。これらの人々ひとびとが一緒いっしょに、政治せいじよりも人ひとを優先ゆうせんさせ課題かだいに取り組とりくむ必要ひつようがある。人々ひとびとは具体ぐたい的てきな成果せいかを実感じっかんできずにいる」と話はなしています。

マンチン議員ぎいんが選出せんしゅつされている南部なんぶウェストバージニア州しゅうは、保守ほしゅ的てきな傾向けいこうが強つよい地域ちいきで、近年きんねんは共和党きょうわとうの勢いきおいが増まし、州しゅう選出せんしゅつの連邦れんぽう議会ぎかいの上下じょうげ両院りょういんの議員ぎいんはマンチン議員ぎいんをのぞき全員ぜんいん、共和党きょうわとう議員ぎいんです。

さらに、石炭せきたん産業さんぎょうが残のこる地域ちいきのため、地元じもとの経済けいざい界かいからは石炭せきたんなどの化石かせき燃料ねんりょうから再生さいせい可能かのうエネルギーへの転換てんかんを推進すいしんする歳出さいしゅつ法案ほうあんによって「地域ちいき経済けいざいに影響えいきょうが出でるのではないか」との懸念けねんの声こえが出でています。

地元じもとに住すむ女性じょせいは「私わたしたちの主おもな雇用こようはかつて石炭せきたんだったが、民主党みんしゅとうはそれをなくそうとしている。マンチン議員ぎいんには州しゅうのために投票とうひょうしてもらいたい。さもなければ落選らくせんするだろう」と話はなしていました。

また、地元じもとの商工しょうこう会議かいぎ所しょの代表だいひょうを務つとめるスティーブ・ロバーツ氏しは法案ほうあんに反対はんたいしたマンチン議員ぎいんを支持しじするとしたうえで「歳出さいしゅつ法案ほうあんはビジネスに対にたいする課税かぜいを引き上ひきあげながら規制きせいやコストも増ふやし、さらなる物価ぶっか上昇じょうしょうにつながるものだ。石炭せきたんや天然てんねんガスの産業さんぎょうが多おおくの雇用こようを抱かかえている事実じじつを尊重そんちょうしなければならない」と述のべました。

またロバーツ氏しは「民主党みんしゅとうは急進きゅうしん左派さはグループの声こえが党内とうないで最もっとも大おおきな声こえとなることを許ゆるしている。急進きゅうしん左派さはは企業きぎょうに対にたいする増税ぞうぜいを支持しじするが債務さいむや赤字あかじについてはあまり心配しんぱいしていない。歳出さいしゅつ法案ほうあんは一部いちぶの人ひとを助たすけ、他たの人ひとに不ふ利益りえきを与あたえるものだ」と述のべて批判ひはんしました。

アメリカでは、変異へんいウイルス、オミクロン株かぶの感染かんせんが先月せんげつ以降いこう急激きゅうげきに広ひろがり、CDC＝疾病しっぺい対策たいさくセンターによりますと、一いち日にちに報告ほうこくされる感染かんせん者しゃの数かずは今月こんげつ18日にち時点じてんの1週間しゅうかん平均へいきんで75万まん人にん以上いじょうと、過去かこ最悪さいあくの水準すいじゅんとなっています。

バイデン政権せいけんは対策たいさくとしてワクチン接種せっしゅを進すすめていますが、接種せっしゅを完了かんりょうした人ひとの割合わりあいは、今月こんげつ19日にち時点じてんで全ぜん人口じんこうの60％余あまりにとどまっています。

また、政権せいけんが接種せっしゅを加速かそくするため、100人にん以上いじょうの従業じゅうぎょう員いんを抱かかえる企業きぎょうに接種せっしゅを義務ぎむ化かした措置そちが連邦れんぽう最高さいこう裁判所さいばんしょによって差し止さしとめられるなどして、思おもうように進すすんでいません。

アメリカの先月せんげつの消費しょうひ者しゃ物価ぶっか指数しすうは前まえの年としの同おなじ月つきと比くらべて7.0％上昇じょうしょうし、およそ39年ねんぶりの記録きろく的てきな水準すいじゅんとなりました。

インフレはバイデン大統領だいとうりょうの支持しじ率りつの低迷ていめいにつながっています。

議会ぎかい上院じょういんでは与野党よやとうの勢力せいりょくがきっ抗きっこうしていることもあり、与党よとう内ないから1人にんでも反対はんたいが出でると法案ほうあんの成立せいりつが難むずかしくなる綱渡つなわたりの状況じょうきょうです。

政権せいけんの看板かんばん政策せいさくの育児いくじ支援しえんや気候きこう変動へんどう対策たいさくを盛り込もりこんだ大型おおがた歳出さいしゅつ法案ほうあんは、与党よとう内ないの一部いちぶ議員ぎいんの反対はんたいを受うけ、成立せいりつのめどが立たたなくなっています。

こうした状況じょうきょうにバイデン大統領だいとうりょうの指導しどう力りょくや政策せいさくの実行じっこう力りょくを疑問ぎもん視しする声こえが上あがり始はじめています。

去年きょねん11月つきにはバイデン大統領だいとうりょうと習近平ちから国家こっか主席しゅせきが、初はじめてオンラインでの会談かいだんを行おこない対話たいわの継続けいぞくで一致いっちしたものの、人権じんけん問題もんだいなどを巡めぐり対立たいりつは続つづいています。

ロシアとの間までも軍事ぐんじ的てきな緊張きんちょうが続つづくウクライナ情勢じょうせいを巡めぐり、話し合はなしあいを続つづけているもののこう着こうちゃく状態じょうたいとなっています。

また、核かく、ミサイル開発かいはつを進すすめる北朝鮮きたちょうせんへの対応たいおうを巡めぐって、バイデン政権せいけんは、対話たいわを通つうじた事態じたいの打開だかいを目指めざしていますが、北朝鮮きたちょうせんは今月こんげつだけで4回かいのミサイル発射はっしゃを行おこなっていて、これまでのところ対話たいわに応おうじる姿勢しせいは見みられていません。

その上うえで、21日にち行おこなわれる岸田きしだ総理そうり大臣だいじんとバイデン大統領だいとうりょうとのオンライン形式けいしきでの会談かいだんについて「安全あんぜん保障ほしょうや経済けいざい、地域ちいき情勢じょうせいなど、共通きょうつうの重要じゅうよう課題かだいについて率直そっちょくな議論ぎろんを行おこない、信頼しんらい関係かんけいを高たかめ、日にち米べい同盟どうめいをさらなる高たかみに押し上おしあげることを期待きたいしている。自由じゆうで開ひらかれたインド太平洋たいへいようの実現じつげんや、核兵器かくへいきのない世界せかいに向むけた取り組とりくみなど、地球ちきゅう規模きぼの課題かだいへの対応たいおうで連携れんけいを深ふかめる機会きかいにしたい」と述のべました。