輪島市宅田町で生花店を営む東しず子さん(76)は、元日の地震で店が被災し翌月には営業を再開させましたが、ことし9月の豪雨でも被害を受けました。
相次ぐ災害で厳しい経営を迫られていますが、地元に残る人たちにきれいな花を見て少しでも元気になってもらいたいと年の瀬の30日も営業を続けています。
開店時間の午前9時ごろから地元の人たちが相次いで訪れ、地震で亡くなった家族に供えるための菊の花や正月飾りに使われるナンテンなどが入った花束を買い求めていました。
仮設住宅に住む70代の男性は「地震で壊れた墓に供えようと花を買いに来ました。せめて花を手向けるだけでもして、少しでも明るい気分になれたらいいなと思います」と話していました。
東さんは「地震と豪雨で大変な1年でしたが、『お店を開いてくれてよかった』と、お客さんに言われるとやってよかったなと思います。来年はいい年になってほしいです」と話していました。
正月用食材買い求める人たちでにぎわう 京都 錦市場
年の瀬を迎え、「京の台所」として知られる京都市の錦市場は正月用の食材を買い求める人たちでにぎわっています。
京都市中京区にある錦市場ではおよそ400メートルの通りの両側に、鮮魚店や漬物店などおよそ130の店が軒を連ね、江戸時代から続く「京の台所」として知られています。
年の瀬を迎え、店先には「黒豆」や「かずのこ」など正月用の食材が取りそろっています。このうち焼き魚を扱う店では訪れた人たちが次々に店先に並べられたたいの姿焼きを買い求め、従業員が「良いお年を」と声をかけて商品を手渡していました。
また餅屋では年末年始に集まる人の数を確認しながら、正月用の丸餅を買い求める人もみられました。
京都市内から訪れていた60代の女性は「刺身やなまふを買いに来ました。ことしは孫の成長を見ることができて楽しい1年だったし、来年も健康で楽しく過ごせたらと思います」と話していました。錦市場は大みそかの31日も多くの店が夕方ごろまで営業するということです。
“魚のアメ横” にぎわう 新潟 長岡
長岡市寺泊の「魚の市場通り」は、10軒余りの鮮魚店が並び「魚のアメ横」と親しまれていて、年末年始は大勢の買い物客でにぎわいます。
30日も朝から鮮魚店にはカニをはじめ、新鮮な魚介類などを買いに来た客が列を作り、次々と買い求めていました。
また、魚介類などを店先で焼いた「浜焼き」や、カニなどを煮込んだ地元の名物「番屋汁」などを味わい、冷えた体を温めていました。
大阪で暮らす子どもと一緒に訪れたという60代の男性は「とてもにぎわっていて年の瀬を感じるし、経済が回っていると感じる。1年の仕事を終えてほっと一息です」と話していました。
カニを10杯以上買った60代の夫婦は「正月といえばカニということで買いに来ました。親戚のみんなと食べてまた1年健康に過ごせれば何よりです」と話していました。
寺泊地区では、ことし1月の能登半島地震で津波警報が発令されるなか、土地勘のない観光客らが、どこに避難していいかわからず、混乱が生じたことを受け、長岡市は逃げる方向が一目でわかるよう、避難場所に誘導する看板の更新などを行うことにしています。
竹灯籠に明かりともす 千葉 我孫子
竹林の整備で出た竹でつくられた500本の灯籠に明かりをともす催しが、千葉県我孫子市で開かれています。
我孫子市岡発戸にある寺院「滝前不動」では、毎年、年末年始のこの時期に竹灯籠の点灯が行われています。
竹は、近くにある手賀沼の周辺で、竹林の整備に取り組むNPO法人が間伐で切り出したもので、ことしは500本の灯籠を制作しました。
灯籠の側面には竜や富士山、来年の干支(えと)の「へび」などの縁起物が小さな穴で描かれ、中のLED電球の光で浮かび上がるようになっています。
会場には、地元の子どもたちがつくった灯籠も並べられ、竹筒に巻かれた「かぐや姫」の塗り絵が幻想的に照らされていました。
市内に住む9歳の男の子は「かぐや姫の塗り絵の灯籠が綺きれいだと思いました」と話していました。
催しを企画したNPO法人の米澤外喜夫さんは「手賀沼の周辺には荒れた竹林が多くあるので、整備することですばらしい竹林になることや、竹を利用して芸術的なものができるということを広めていきたい」と話していました。
滝前不動の竹灯籠は、来月13日まで毎日、午後4時半から10時の間点灯されています。
年越しそばのそば打ち会 埼玉 行田
31日の大みそかに、年越しそばとして自分で打ったそばを食べてもらおうと、埼玉県行田市でそば打ち会が開かれました。
行田市でそば店を営むNPO法人が開いたそば打ち会には9人が参加しました。
参加した人たちは担当者から手順の説明を受けながら一斉にそば打ちに取りかかり、およそ1キロのそば粉にお湯や水を少しずつ加えて手のひらでこねて生地を作っていきました。
そして、棒を使って生地を薄く伸ばして折り畳み、専用の包丁で太さがそろうよう丁寧に切りそろえおよそ1時間かけてお手製のそばを完成させました。
完成したそばは、1人当たり10人前で、それぞれが自宅に持ち帰って年越しそばとして食べるということです。
参加した50代の男性は「そばのできはばっちりなので、家族で食べるのが楽しみです。このそばを食べて来年も細く長く元気に頑張りたい」と話していました。