トランプ大統領の側近だったボルトン前補佐官の回顧録は、日本では23日午前0時から電子版の販売が始まりました。
回顧録でボルトン氏は、3回にわたる米朝首脳会談の実態だとする詳しい内容を明らかにしました。
それによりますと、おととし6月の初めての会談では、トランプ大統領が事前に「これは宣伝のためだ」とか、「中身のない合意でも署名する」と述べ、非核化の実現よりみずからのアピールに関心があったと指摘しています。
また2回目の会談では、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長がニョンビョン(寧辺)の核施設の放棄と引き換えに制裁を解除する提案にこだわったのに対し、トランプ大統領は側近たちに「部分的な合意か、合意せずに席を立つか、どちらが大きな記事になるか」と述べたとしています。
また去年6月、パンムンジョム(板門店)で行われた3回目の会談もメディアに注目されることが動機だったとして、ボルトン氏は、「トランプ大統領は個人的な利益と国益が区別できていない」と批判しています。
さらにボルトン氏は、米朝首脳会談は当初、韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領の側近が北朝鮮側に働きかけて動きだしたとして、韓国が南北の統一という目標のために作りあげたと主張しています。
一方、ボルトン氏は回顧録で、在日アメリカ軍の駐留経費について去年、日本側にトランプ大統領が負担分を大幅に増やして年間80億ドルを要求する意向だと説明したと記しました。
ボルトン氏はその後、トランプ大統領から「すべてのアメリカ軍を撤退させると脅すことだ。交渉上、とても有利な立場になる」と言われ、在日アメリカ軍の撤退を交渉のカードに使うよう指示されたとしています。
回顧録を巡っては、ポンペイオ国務長官が18日の声明で「ボルトン氏はいくつものうそを広めている」と批判したほか、韓国政府も反発していて、大きな議論を呼んでいます。