東京都は感染拡大の第2波に備え、モニタリング項目の見直しを進めていて、関係者によりますと、感染状況と医療体制を示す合わせて7つの項目を設ける見通しです。
具体的には、感染拡大の兆しを推し量るために感染経路がわからない人の数と増加率や、消防に寄せられた発熱などの相談件数の項目を設けて、潜在的な感染の広がりや市中での感染を分析します。
また、複数の医療機関に救急患者の受け入れを要請したものの、搬送先が見つからなかったり、時間がかかったりした件数などを設けて、医療体制のひっ迫の度合いを推し量る数値とします。
これらの項目について週1回程度、専門家に分析してもらい、その結果をもとに都が評価して、状況が悪化したと判断した場合は、不要不急の外出自粛の協力など注意喚起を行う考えです。
一方、都はこれまで、新たな感染の確認が1週間の平均で20人以上などとなると、都民に警戒を呼びかける「東京アラート」を出し、1週間の平均で50人以上などとなると、再び休業を要請するという基準を設けていました。
しかし、都は新たなモニタリング項目に、こうした基準となる数値は設けない方針です。
このため、今後、「東京アラート」は出されないことになります。
都は、今夜、新たなモニタリングの項目を公表し、1日以降、試行したうえで、本格的に実施することにしています。
新たなモニタリング項目は
東京都の関係者によりますと、見直しを進めている新たなモニタリング項目は合わせて7つになる見通しです。
これまでもモニタリングを行っていた、都内の「感染状況」と「医療体制」を分析するという、大きな2つの柱は見直し後も継続されますが、モニタリングする中身の一部を変更する方針です。
このうち「感染状況」のモニタリング項目は3つあります。
1.新たな感染者数
2.東京消防庁の電話相談窓口「#7119」に寄せられた発熱などの相談件数
3.新たな感染者のうち、感染経路がわからない人の数と増加比率です。
消防に寄せられた相談件数と、感染経路がわからない人の数と増加比率は、潜在的な感染の広がりや市中での感染を分析するため、今回、新たに設けられました。
一方、「医療体制」のモニタリング項目は
4.検査の陽性率
5.救急医療の「東京ルール」の適用件数
6.入院患者の数
7.重症患者の数の4つです。
このうち、「東京ルール」の適用件数は、複数の医療機関に救急患者の受け入れを要請したものの搬送先が見つからなかったり、搬送先を決めるのに時間がかかったりした件数です。
医療機関の受け入れ態勢のひっ迫の度合いを推し量る数値として今回、新たに盛り込まれました。
都は、医師や感染症の専門家に、これら7項目の数値を前の週や緊急事態宣言が出されていた期間中の最大値と比較しながら分析してもらうということです。
救急搬送時の「東京ルール」とは
東京都は救急患者が病院に受け入れを断られるケースを減らすため、消防の救急隊の代わりに地域の中核病院などが搬送先を探す「東京ルール」と呼ばれる仕組みを運用しています。
具体的には
▽救急隊が5か所以上の医療機関に受け入れを断られたり
▽20分以上搬送先が決まらなかったりした場合、都内の12の地域ごとに指定された中核病院や東京消防庁に常駐するコーディネーターが搬送先を探す仕組みで、11年前から導入されています。
都によりますと、この東京ルールに当てはまるケースは、新型コロナウイルスの感染の確認が急増したことし4月は2365件で、去年の同じ時期のおよそ4倍に増えました。
さらに、先月も1626件と去年の2.5倍でした。今月は19日までのデータで579件と、去年よりも1.6倍でした。
都によりますと、発熱や呼吸困難などで新型コロナウイルスへの感染が疑われる患者の搬送で、医療機関側が個室を確保できず、院内感染を防ぐための対応が難しいなどの理由で、受け入れができないケースが多くあったということです。