米べい民主党みんしゅとう 副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ カマラ・ハリス上院じょういん議員ぎいんとは？

11月つきのアメリカ大統領だいとうりょう選挙せんきょで政権せいけん奪還だっかんを目指めざす野党やとう・民主党みんしゅとうのバイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうは11日にち、副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに西部せいぶカリフォルニア州しゅう選出せんしゅつで黒人こくじんのカマラ・ハリス上院じょういん議員ぎいんを選えらんだと発表はっぴょうしました。

ハリス氏しは55歳さい。

父親ちちおやはジャマイカ出身しゅっしん、母親ははおやはインド出身しゅっしんで移民いみんの2世せいとして生うまれ育そだちました。

バイデン氏しは声明せいめいで、ハリス氏しを選えらんだ理由りゆうについて、「新型しんがたコロナウイルスによる人々ひとびとの痛いたみを理解りかいし、国くにを1つにまとめることができる」と指摘してきするとともに、ハリス氏しが人種じんしゅ間かんの格差かくさの問題もんだいに取り組とりくんできた実績じっせきなどを高たかく評価ひょうかしたとしています。

副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに指名しめいされたことを受うけてハリス氏しはツイッターに「バイデン氏しはアメリカ国民こくみんを団結だんけつさせることができる。彼かれを私わたしたちの最高さいこう司令しれい官かんにするために全力ぜんりょくを尽つくす」と投稿とうこうしました。

一方いっぽう、トランプ大統領だいとうりょうは11日にちの記者きしゃ会見かいけんで、ハリス氏しが民主党みんしゅとうの大統領だいとうりょう候補こうほ者しゃ選えらびに名乗なのりを上あげたものの、支持しじ率りつが伸び悩のびなやみ、早期そうきに撤退てったいしたことに触ふれ、「彼女かのじょが選えらばれたことに驚おどろいた。予備よび選挙せんきょで彼女かのじょよりもはるかに良よい結果けっかを出だしていた人ひとはたくさんいた」と述のべました。

その上うえで、「最もっとも意地悪いじわるで、ひどく、無礼ぶれいな上院じょういん議員ぎいんだ」とハリス氏しを酷評こくひょうし、対決たいけつ姿勢しせいをあらわにしました。

バイデン氏しとハリス氏しは12日にちにバイデン氏しの地元じもと、東部とうぶデラウェア州しゅうでそろって演説えんぜつに臨のぞんだあと、今月こんげつ17日にちから開ひらかれる民主みんしゅ党とうの全国ぜんこく党とう大会たいかいで正せい副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに正式せいしきに指名しめいされる予定よていで、11月つきの本ほん選挙せんきょでトランプ大統領だいとうりょうとペンス副ふく大統領だいとうりょうに挑いどむことになります。

トランプ大統領だいとうりょう「にせものカマラ」

トランプ大統領だいとうりょうはさっそくツイッターにバイデン氏しとハリス氏しを批判ひはんする映像えいぞうを投稿とうこうしました。

この中なかでは、「民主党みんしゅとうの予備よび選せんで有権者ゆうけんしゃはハリス氏しを見限みかぎった。しかし、バイデンは違ちがった。頭あたまが良よくないからだ。『のろまなジョー』と『にせものカマラ』は完全かんぜんなペアだ。アメリカにふさわしくない」として2人にんを激はげしく攻撃こうげきしています。

また、トランプ陣営じんえいも声明せいめいを発表はっぴょうし、「バイデン氏しは穏健おんけん派はではない。増税ぞうぜいした上うえで、警察けいさつの予算よさんをカットし、国境こっきょうを開ひらくことを約束やくそくして過激かげきな暴徒ぼうとに国くにを委ゆだねようとしている。投票とうひょうでアメリカ人じんはバイデン・ハリスよりもアメリカ第だい1とするトランプ大統領だいとうりょうとペンス副ふく大統領だいとうりょうをはっきりと選えらぶだろう」として早速さっそく、非難ひなんの度合どあいを強つよめています。

カマラ・ハリス氏しとは

カマラ・ハリス氏しは西部せいぶカリフォルニア州しゅう選出せんしゅつの55歳さいの上院じょういん議員ぎいんです。

父親ちちおやはジャマイカ出身しゅっしん、母親ははおやはインド出身しゅっしんで移民いみんの2世せいとして生うまれ育そだちました。

カリフォルニア大学だいがくのロースクールを卒業そつぎょう後ご、検察官けんさつかんとなり、2011年ねんからの6年間ねんかんは女性じょせいとして初はじめて、カリフォルニア州しゅうの司法しほう長官ちょうかんを務つとめました。

ハリス氏しはみずからを「革新かくしん的てきな検察官けんさつかん」と呼よび、薬物やくぶつ犯罪はんざいで逮捕たいほされた若者わかものを収監しゅうかんせず職業しょくぎょう訓練くんれんなどで更生こうせいさせる施策しさくに取り組とりくんだほか、警察官けいさつかんにボディカメラの着用ちゃくようを義務ぎむづける警察けいさつ改革かいかくなどを進すすめてきました。

2016年ねんにカリフォルニア州しゅうの上院じょういん議員ぎいんに選出せんしゅつされ、現在げんざいは1期き目めながら民主党みんしゅとう若手わかて議員ぎいんとして評価ひょうかされています。

トランプ政権せいけんの強硬きょうこうな移民いみん政策せいさくを批判ひはんし、政権せいけんが廃止はいしを求もとめている不法ふほう移民いみんの子こどもに対にたいする救済きゅうさい制度せいどを維持いじするべきだと訴うったえています。

大統領だいとうりょう選挙せんきょでは去年きょねん1月つきに民主党みんしゅとうの予備よび選挙せんきょに立候補りっこうほし、討論とうろん会かいでバイデン氏しの人種じんしゅ問題もんだいを巡めぐる過去かこの発言はつげんや政策せいさくを厳きびしく批判ひはんして一時いちじ、支持しじ率りつを上あげました。

ハリス氏しは検察官けんさつかんや司法しほう長官ちょうかんとしての経歴けいれきを評価ひょうかされる一方いっぽう、抜本ばっぽん的てきな警察けいさつ改革かいかくは実現じつげんできていないという批判ひはんもあり、その後そのごの予備よび選挙せんきょでは伸び悩のびなやんで撤退てったいを決きめ、バイデン氏し支持しじを打ち出うちだしていました。

多様たよう性せいを尊重そんちょうする強つよいメッセージ

バイデン前ぜん副ふく大統領だいとうりょうは副ふく大統領だいとうりょう候補こうほにハリス上院じょういん議員ぎいんを選えらんだ理由りゆうについて、支持しじ者しゃにあてた電子でんしメールで「トランプ大統領だいとうりょうとペンス副ふく大統領だいとうりょうと戦たたかい、来年らいねんから国くにを率ひきいていく上うえで最適さいてきの人物じんぶつだからだ」と説明せつめいしました。

トランプ大統領だいとうりょうの人種じんしゅ問題もんだいをめぐる対応たいおうを厳きびしく批判ひはんし、本来ほんらいのアメリカのあり方ありかたを取り戻とりもどすと主張しゅちょうしているバイデン氏しにとって、黒人こくじんでありアジア系けいのルーツも持もつ女性じょせいを選えらぶということは、多様たよう性せいを尊重そんちょうするという強つよいメッセージになります。

また、民主党みんしゅとう内ないの候補こうほ者しゃ選えらびの序盤じょばんでつまずいたバイデン氏しが巻き返まきかえしを果はたすきっかけとなった、黒人こくじん有権者ゆうけんしゃのあいだの高たかい支持しじを確実かくじつなものにしたいというねらいもあったと見みられます。

州しゅう司法しほう長官ちょうかんの実務じつむ経験けいけんも

最後さいごまで名前なまえが挙あがっていた複数ふくすうの黒人こくじん女性じょせい候補こうほの中なかからハリス氏しを選えらんだ背景はいけいには、上院じょういん議員ぎいんやカリフォルニア州しゅうの司法しほう長官ちょうかんとしての実務じつむ経験けいけんへの評価ひょうかがあります。

バイデン氏しは選定せんていにあたって自身じしんとの相性あいしょうの良よさと実務じつむ能力のうりょくの高たかさが必要ひつようだと強調きょうちょうしてきましたが、支持しじ者しゃにあてた電子でんしメールでも、ハリス氏しの上院じょういん議員ぎいんなどとしての実績じっせきを挙あげていて、ハリス氏しであれば実務じつむ能力のうりょくは申し分もうしぶんないと判断はんだんしたと見みられます。

また、バイデン氏しは、ハリス氏しと同おなじ時期じきに別べつの州しゅうの司法しほう長官ちょうかんを務つとめていた亡なくなった長男ちょうなんのボー・バイデン氏しが生前せいぜん、ハリス氏しを高たかく評価ひょうかしていたことも選考せんこうを行おこなう上うえで大おおきかったと明あかしています。

バイデン氏しの課題かだいは、支持しじ者しゃや選挙せんきょ運動うんどうの熱意ねついが欠かけることだと指摘してきされ、バイデン氏しよりも20歳さい以上いじょう若わかく、知名ちめい度どもあるハリス氏しがバイデン氏しの弱点じゃくてんを補おぎない、陣営じんえいに勢いきおいをもたらすことへの期待きたいもありそうです。

一方いっぽうで、政治せいじ的てきな立たち位置いちが、バイデン氏しと同おなじく「中道ちゅうどう寄より」とされるハリス氏しを選えらんだことで、バイデン氏しと候補こうほ者しゃ指名しめいを激はげしく争あらそった、左派さはのサンダース上院じょういん議員ぎいんやウォーレン上院じょういん議員ぎいんを支持しじする有権者ゆうけんしゃを取り込とりこめるかが、課題かだいとして残のこることになりそうです。

「次世代じせだいリーダー」の可能かのう性せいも

今回こんかいの副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ者しゃ選えらびはバイデン氏しが当選とうせんすれば初はじめての女性じょせい副ふく大統領だいとうりょうになることに加くわえ、民主党みんしゅとうの次世代じせだいのリーダーになる可能かのう性せいもあるとして注目ちゅうもくされていました。

その理由りゆうの一ひとつがバイデン氏しの年齢ねんれいです。

バイデン氏しは現在げんざい77歳さい、大統領だいとうりょうに当選とうせんした場合ばあい、就任しゅうにん時じには78歳さいと、アメリカ史上しじょう、最もっとも高齢こうれいの大統領だいとうりょうとなります。

バイデン氏しには健康けんこう問題もんだいへの不安ふあんを指摘してきする声こえもあり、次つぎの大統領だいとうりょう選挙せんきょのころには81歳さいとなるため、大統領だいとうりょうになっても1期き4年ねんで次つぎの世代せだいに引き継ひきつぐのではないかという見方みかたがあります。

バイデン氏し自身じしん、ことし3月つき、民主党みんしゅとうの若手わかての有力ゆうりょく議員ぎいんらを前まえにみずからを次世代じせだいのリーダーとの「懸け橋かけはしだ」と表現ひょうげんしています。

また副ふく大統領だいとうりょうは大統領だいとうりょうが職務しょくむを遂行すいこうできなくなった場合ばあい、その任にんを引き継ひきつぐ継承けいしょう順位じゅんいの1位いとなる上うえ、女性じょせいとしては史上しじょう初はじめてとなるため、ハリス氏しは次つぎの大統領だいとうりょう選挙せんきょで女性じょせい初はつの大統領だいとうりょうの誕生たんじょうに向むけた道みちを開ひらく有力ゆうりょく候補こうほになる可能かのう性せいがあります。

それだけに今回こんかいの副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ選えらびは今後こんごのアメリカ政治せいじを占うらなう選択せんたくとしても注目ちゅうもくされていました。

「理想りそう的てきなパートナーを選えらんだ」オバマ氏し

バイデン氏しとともに8年間ねんかん、政権せいけんを率ひきいたオバマ前ぜん大統領だいとうりょうが11日にち、自身じしんのツイッターに声明せいめいを投稿とうこうしました。

このなかでオバマ氏しは、副ふく大統領だいとうりょう候補こうほ選えらびについて、「大統領だいとうりょうが下くだす最初さいしょの重要じゅうような決断けつだんだ」と指摘してきしたうえで、「バイデン氏しはこの決断けつだんをしっかりと下くだした。アメリカがいま直面ちょくめんし、今後こんごも続つづく難題なんだいに取り組とりくむのを助たすけてくれる理想りそう的てきなパートナーを選えらんだ」と歓迎かんげいしました。

オバマ氏しは、長年ながねん知しっているというハリス氏しについては、「彼女かのじょは仕事しごとをする準備じゅんびが十分じゅうぶんにできている。私わたしたちの国くにの憲法けんぽうを守まもり、公平こうへいに扱あつかわれるべき人々ひとびとのために闘たたかってきた」と期待きたいを示しめしました。

また、ハリス氏しが移民いみんの2世せいとして生うまれ育そだったことを念頭ねんとうに、「彼女かのじょの人生じんせいに私わたしやほかの多おおくの人ひとたちが自身じしんを重ね合かさねあわせて見みることができる。どこの出身しゅっしんでも、どのような外見がいけんでも、何なにを崇拝すうはいし、誰だれを愛あいしていようとも、ここにはあなたの居場所いばしょがあるということだ」と述のべ、「これはアメリカ人じんの土台どだいとなる考え方かんがえかたであり、過去かこの困難こんなんな時代じだいから私わたしたちを導みちびいてくれた」と訴うったえました。

そして「きょうは私わたしたちの国くににとってよき日ひとなった。勝利しょうりに向むけて進すすもう」と団結だんけつを呼よびかけました。

バイデン氏しとの相性あいしょうは？

バイデン氏しは、気きが合あうという意味いみの「シンパティコ＝ｓｉｍｐａｔｉｃｏ」という言葉ことばを頻繁ひんぱんに使つかい、副ふく大統領だいとうりょう候補こうほには自分じぶんと相性あいしょうの良よい人物じんぶつを選えらぶと話はなしていました。

アメリカの主要しゅようメディアはハリス氏しとの相性あいしょうについては詳くわしく伝つたえていませんが、2人にんが、バイデン氏しの亡なくなった息子むすこを通をつうじて関係かんけいを築きずいたと報ほうじています。

アメリカの新聞しんぶん「ワシントンポスト」や、政治せいじ専門せんもんサイト「ポリティコ」などは、バイデン氏しとハリス氏しの関係かんけいについてバイデン氏しの長男ちょうなんで2015年ねんに46歳さいの若わかさで脳腫瘍のうしゅようで亡なくなったボー・バイデン氏しを通をつうじて関係かんけいが築きずかれたと伝つたえています。

長男ちょうなんは生前せいぜん、デラウェア州しゅうの司法しほう長官ちょうかんを務つとめていましたが、当時とうじ、カリフォルニア州しゅうで司法しほう長官ちょうかんだったハリス氏しのことや、ハリス氏しの仕事しごとぶりを高たかく評価ひょうかしていたということで、それをきっかけにバイデン氏しとハリス氏しの間までも良好りょうこうな関係かんけいが築きずかれたとしています。

ただ、2人にんの関係かんけいをめぐっては、去年きょねん6月つきに行おこなわれたテレビ討論とうろん会かいで、ハリス氏しが人種じんしゅ問題もんだいをめぐってバイデン氏しを激はげしく追及ついきゅうしたことで、バイデン氏しの陣営じんえいとの間まにしこりを残のこし、両者りょうしゃは必かならずしも良好りょうこうな関係かんけいではないという見方みかたも広ひろがっていました。

アメリカの新聞しんぶんニューヨーク・タイムズも、「2人にんが緊張きんちょうした関係かんけいにあるかもしれないと多おおくの政治せいじ評論ひょうろん家かが受け止うけとめていた」とした上うえで、バイデン氏しの陣営じんえいは、2人にんの相性あいしょうに疑問ぎもんが生しょうじないよう、亡なくなった長男ちょうなんを通をつうじて築きずいた両者りょうしゃの関係かんけいを強調きょうちょうしていると伝つたえています。

「政治せいじ家かが多様たよう性せいを反映はんえいするのは大事だいじ」

カマラ・ハリス上院じょういん議員ぎいんが、およそ20年ねん前まえ、サンフランシスコ市しの司法しほう関係かんけいの部署ぶしょで働はたらいていた時ときの上司じょうし、ルイス・レニーさんが11日にち、ＮＨＫえぬえいちけいのインタビューに応おうじ、「ハリス上院じょういん議員ぎいんが副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに選えらばれたのは、とてもすばらしいことです。きょうは本当ほんとうにうれしいです」と喜よろこびを語かたりました。

当時とうじ、ハリス氏しは、レニーさんのもとで虐待ぎゃくたいを受うけた子こどものケアや育そだての親おやになる人ひととの面会めんかいなどを担当たんとうしていました。

その時ときのハリス氏しについて、レニーさんは、「当時とうじ、私わたしが感かんじたのは、彼女かのじょは知的ちてきであるだけでなく、とても人ひとの面倒めんどうを見みることが好すきだということです。担当たんとうになった初はじめての日ひには、『子こどもたちみんなにぬいぐるみを配くばりましょう』なんて、私わたしの部屋へやに入はいってきて言いっていました」と振り返ふりかえりました。

また、女性じょせいで黒人こくじんのハリス氏しが副ふく大統領だいとうりょう候補こうほに選えらばれたことについては、「アメリカは世界中せかいじゅうから人ひとが集あつまってできた国くになので、この国くにの政治せいじ家かがアメリカの多様たよう性せいを反映はんえいするのは大事だいじなことです。そういう点てんで、ハリス氏しという人物じんぶつが、今いま、ホワイトハウスに求もとめられているのだと思おもいます」と話はなしていました。

さらに、レニーさんは、ハリス氏しがカリフォルニア州しゅうの司法しほう長官ちょうかんなどを経験けいけんしていることについて、「カリフォルニア州しゅうは大おおきな州しゅうでいろいろな考かんがえの人ひとがいます。彼女かのじょはそういう人ひとたちとうまくやってきました。こうした彼女かのじょの能力のうりょくは副ふく大統領だいとうりょうになるにあたってプラスになるでしょう」と話はなしていました。