香港の
国家安全維持法に
違反した
疑いで
逮捕され、
保釈された、
民主活動家の
周庭氏らについて、
中国寄りの
論調で
知られる
香港の
新聞は、
周氏らがSNS
上の
グループで
資金を
集めていた
などと
伝えました。
中国政府が
国際社会との
対立を
深める中、
外国とつながりが
あるとみた
人たちの
活動を
取り締まるねらいがあるとみられます。
中国寄りの
論調で
知られる
香港の
新聞「
大公報」は、13
日の
紙面で
香港国家安全維持法に
違反した
疑いで
逮捕された
周庭氏と
男性2
人、それに
指名手配されたイギリス
在住の
活動家が、ことし6
月末に
法律が
施行されたあとも、SNS
上の
グループで
外国に
香港政府への
制裁を
呼びかけるとともに、
資金集めを
続けていた
などと
伝えました。
また、同じく中国寄りの論調で知られる新聞「文ワイ報※」は、周氏らと同じ日に逮捕された香港の新聞「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏らがこのグループに資金を援助していたと伝えています。
一方、周氏は警察からは「どんな形で法律に違反する活動に参加したとされたのか聞かされておらず、政治的な弾圧だ」などと反論しています。
アメリカ政府が香港や中国の政府幹部に制裁を科すなど、中国との対立を深めるなか、中国政府が外国とつながりがあるとみた人たちの活動や、その支援を行う人たちを逮捕することで、こうした活動を厳しく取り締まるとともに、外国政府の制裁の動きをけん制するねらいがあるとみられます。
※「ワイ」は「匠」の中が「準」の「十」がない部分。
中国の治安機関 直接関与の見方も
香港の新聞「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏や民主活動家の周庭氏らが逮捕、保釈されたことについて、中国国営の新華社通信は12日、香港にある、中国の治安機関の出先、「国家安全維持公署」の談話を伝えました。
談話では「警察が黎智英らを逮捕したことを断固支持する。国家の安全を害するいかなる行為も断固取り締まることを揺るぎなく支持する」としています。
香港国家安全維持法に基づいて国家安全維持公署が設置されて以来、こうした談話が発表されるのは初めてです。
香港国家安全維持法では、この法律に違反した事件について、原則として香港の当局が捜査し、香港の裁判所で司法手続きがとられ、裁判は公開で行われるとしています。
しかし、香港の当局では取り扱うことが難しいと判断される重大な事案では、国家安全維持公署が直接、捜査し、中国の裁判所に起訴することもできるとしています。
今回の談話の発表で、香港では国家安全維持公署が、黎氏らの捜査に直接、関与するのではないかという見方も出ています。
北海道大教授ら抗議の署名活動
香港で逮捕され、保釈された民主活動家の周庭氏を支援しようと、周氏がフェローを務める北海道大学の教授らが、中国や香港政府の対応に抗議する署名活動を始めました。
香港の国家安全維持法に違反した疑いなどで逮捕され、日本時間の12日、保釈された民主活動家の周庭氏は、去年10月から北海道大学公共政策大学院で学生にアドバイスを行うフェローという役職を務めています。
北海道大学の教授や弁護士らは12日夜、中国や香港政府の対応に抗議する声明文を発表し、賛同する署名を募っています。
呼びかけ人の1人で北海道大学公共政策大学院の遠藤乾教授は「周さんが行ってきたことは犯罪ではなく、みずからの考えを表明し、外国の友人と連絡を取るといった、ごく普通の権利の行使だ。国家安全維持法という仰々しいものを持ち出して、中国への不利益をあおり、犯罪者扱いすることには憤りを覚える」と話しています。
署名に賛同する人は、これまでにおよそ800人に上っているということで、遠藤教授は「市民たちの強い関心を示し、政府がそれを気にし始めるという状況を作り出すことに意味がある。人権に否定的な影響が近隣の地域に広がる事態は避けなければならず、香港での不当な逮捕に対する日本の市民の怒りを伝えることが大事だ」と述べ、日本から声を上げる必要性を訴えています。