日本時間の8日昼前の時点で、トルコ政府の発表では、これまでに国内で5894人が死亡し、3万4000人以上がけがをしていて、倒壊した建物は5700棟を超えるということです。
また、シリアでは保健省の発表によりますと北西部を中心にこれまでに1250人が死亡したほか、反政府勢力の支配地域で救助活動を行う団体は、少なくとも1220人が死亡したとしています。
これらの発表によりますと、一連の地震による死者はトルコとシリアの両国であわせて8300人以上にのぼっています。
トルコのイスタンブールの市長は日本時間の8日朝、自身のSNSで、救助隊がシリア国境に近いハタイ県で崩壊した建物のがれきの下にいたシリア人の少年を発見し、救出したと投稿しました。
日本時間の9日午前で、生存率が急激に下がると言われる地震の発生から72時間を迎えるのを前に現地では懸命な救助活動が続いています。 一方、相次ぐ地震による被害で陸路による被災地へのアクセスが限られるほか、救助隊が移動に使う車両も不足していて、救助活動の難航も懸念されます。
若松さんは、現地時間の6日早朝、ベッドで寝ている時に地震の揺れを感じて起き、揺れがおさまるのを待ってから外に避難したということです。若松さんは、「建物が倒壊するおそれもあると思い、外に避難しました。ふだんは地震が少ない地域なので周りにはパニックになっている人もいました」と当時の状況を振り返りました。 若松さんによりますと、メルシンでは、大学や自宅の周辺など確認できる範囲では建物が倒壊するなどの被害は見られませんが、震源地に近い地域から避難してきている人もいるため、大学が避難所として開放されているほか、大学病院では地震でけがをした人の治療なども行っているということです。 また、若松さんは、「大学には震源地に近い地域が出身だという学生や教員もいて親類が亡くなったという話や、家が倒壊し親類全員でメルシンに避難してきたという話を聞いている。震源地に近い地域は山あいで寒いが、建物が壊れて外で避難している人もいると聞いていて、防寒具などの支援が必要だ」と話していました。
そして、亡くなった人たちや、いまも厳しい寒さの中で避難を続ける被災者、それに、現地で捜索活動や支援にあたる人たちのために祈りをささげました。 トルコ出身の女子学生は「早く救助活動が行われることを祈っています。遠く離れているのでできることは限られますが、寄付や必要な物資を送るなどできることはすべてしたいです」と話していました。 またシリア北部の出身で、家族を亡くした男子学生は「状況はとてもひどく、いまもがれきの下に閉じ込められているとみられる友人とは連絡がつかず、ただ無事を祈るばかりです。トルコ政府やシリア北部で活動するNGOはベストを尽くしていますがまだまだ支援が必要で、シリア政府にはトルコとの国境を解放してほしいです」と話していました。
掲載された図では震源が2本の線上に集中的に分布していることがわかります。 また1900年以降、今月6日までの間にこの付近で観測されたマグニチュード4以上の地震は224回だということで、地震が急増していることがうかがえます。 地元メディアは、地震が繰り返し発生していることで被害の拡大や救助活動の妨げにつながるとの懸念を伝えています。
このうち13階建ての高層マンションが倒壊した現場では、がれきから物音がするたびに捜索にあたっている人たちが重機のエンジンを止めて、中に人がいないかを慎重に確認していました。 周囲には、捜索活動を見守る人たち50人ほどが集まり、静けさの中で、家族や友人の無事を祈っていました。 17歳の親類の安否がわからないとして、母親などとともに早朝から現場を訪れている27歳の男性は「携帯電話の電源が切れていて連絡がつかない。奇跡を期待するほかない」と話していました。 その上で「彼らはがれきの中で丸1日以上取り残されている。救助する人がもっと必要だ」と話し、国際社会にさらなる協力を呼びかけました。 また、17歳のおいががれきに取り残されているとみられる56歳の女性は「トルコは地震が多い国なのに、なぜこんなにもろい建物を建てたのか。過去の地震から何も学んでいない」と怒りをあらわにしました。
このうち、東京に本部があり災害時の医療支援などにあたるNPO法人の「TMAT」は先遣隊として医師と看護師など3人をトルコの被災地に派遣することを決めました。 昨夜は羽田空港に現地に派遣される3人が集まり、旅程の最終確認を行ったあと、トルコに向かいました。 3人はおよそ10日間の日程で、被災地の状況や医療のニーズなどを調査するということです。 派遣される医師の坂元孝光さんは「各国から多くの医師が集まる状況のなか何ができるのか把握したい。多くの人に笑顔が戻るよう活動したい」と話していました。 看護師の西村浩一さんは「現地で安全を担保しつつ、医療の提供につながるよう活動したい」と話していました。 このほかに7日夜は政府の国際緊急援助隊の第2陣として55人が羽田空港からトルコに向けて出発していて現地で救助活動にあたることになっています。
このうちトルコ赤新月社の地元の支部では、複数の建物が倒壊したアダナ市北部を中心に、およそ100人態勢で無料で食事を提供しているということです。 7日午後には温かい豆のスープやパンなどが配られ、人々が長い列を作っていました。 この地区では、相次ぐ地震で建物がさらに倒壊する恐れがあるとして帰宅できない人が多く、赤新月社では、この地区だけで1日あたり2万人に食料を提供する計画だということです。 食料を受けとった男性は「自宅は安全が確認できず、帰ることができないし、これから何が起きるか、どうすべきかもわからないなかでこうした支援に感謝したい」と話していました。
その後、ウクライナの非常事態庁は、救助活動の専門家や医師など87人をトルコに派遣したと発表しました。
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多くの団体が寄付や募金への協力を呼びかけ
松野官房長官「シリア国民への人道支援も検討」
トルコの大学の日本人教授「防寒具などの支援必要」
ニューヨークの学生 被災地に向け祈り
マグニチュード4以上を271回観測
トルコ南部アダナでは捜索活動続く
医療支援や救助活動を行うチームは7日夜に出発
支援団体が食事を提供
ウクライナも救助隊派遣へ