JLPT N2 – Reading Exercise 51

#184

長い間水の中にいると手足の指にたくさん「しわ」ができる。このしわを見たことがない人はいないだろう。私はこれまで、このしわは単に皮膚が水分を吸収し膨らんでできたもので、何の役割もないと思っていた。ところが、「1」そうではないという記事を読んだ。滑り止めの役割を果たしているというのだ。

この記事は、ある論文の実験結果をもとに書かれていた。「2」実験は次のように行われた。ひとつの容器に小さなガラス玉を入れ、それを指でつかんで別の容器に移し替えるのにかかる時間を計る。ガラス玉が入っている容器には、水入りのものと水なしのものが準備された。また、手はしわがある状態とない状態で、それぞれのかかる時間が計測された。しわは、ぬるま湯に手を浸すことで発生させた。結果は次のようなものである。

まず水の有無について見てみると、水入りの容器から移し替えるより、水なしの容器から移し替えるほうが速い。次に水入り、水なしの各条件において、しわの有無の違いによる結果を見てみると、水なしの場合、しわがあってもなくても大した差はない。しかし、水入りの場合、しわがあるほうが速い。以上の結果から、実験者は、しわは水中などぬれた環境で物をつかみやすくするためにできるようになった可能性があると述べているそうだ。

しかし、どうなのだろうか。滑り止めのためであれば、水に入れたらすぐにしわができないとおかしいのではないだろうか。しわの役割を知るためには、新たな実験を待たなければならない。

Vocabulary (26)
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1
「1」そうではないとあるが、どういうことか。
1. 「しわ」は長い間水の中にいるとできるわけではない。
2. 「しわ」はすべての人にできるというわけではない。
3. 「しわ」には滑り止めの役割があるわけではない。
4. 「しわ」に役割がないわけではない。
2
「2」実験で最も時間がかかったのはどの場合か。
1. 容器に水があり、「しわ」がある場合
2. 容器に水があり、「しわ」がない場合
3. 容器に水がなく、「しわ」がある場合
4. 容器に水がなく、「しわ」がない場合
3
筆者は記事を読んでどのように考えているか。
1. 「しわ」ができるまでに時間がかかるので、滑り止めだと決めるにはまだ早い。
2. 「しわ」ができるまでに時間がかかるが、滑り止めである可能性が高いだろう。
3. 「しわ」があっても滑るので、滑り止めだと決めるにはまだ早い。
4. 「しわ」があると滑りにくいので、滑り止めである可能性が高いだろう。