私はどちらかと言えば根が楽天的だが、昔は営業の強烈なノルマに苦しんだこともある。そういう日々の中から「1」いつしか身につけたことのひとつが「幸せ感のハードルを低くする」だった。
たとえば、あと一歩のところで契約が結べなかった日、会社に戻ってしょげかえる代わりに「あの社長と一時間も話せるところまできた」と自分の成果を見つけて評価する。そうやって一日を締しめくくれば、明日への活力も湧いてきた。
仕事そのものも、「仕事は趣味や遊びとはちがう。仕事はお金をもらうのだから、楽しくないことがあっても当たり前」と思ってやってきた。「2」そこを基準にすれば、少々のことは当然のこととして受け入れられるし、何かいいことがあったときは「お金をもらいながらこんな気持ちを味わえるなんて」と幸せ感も倍増する。
どうせ人生の一定の時間を仕事に費やすのなら、その時間が楽しいと思えるほうがいいに決まっている。それに楽しいと思ってすることは、何かとスムーズに運び成果もあがるものだ。こうして好循環が生まれてくる。
人は楽しいから笑顔になるのだが、「まず笑顔をつくると、それによって楽しい気持が湧いてくる」という研究結果があるという。これにならえば、充実感を得られる仕事を手にするには、楽しめる仕事を探すのも大事だが、小さなことでも楽しめるようになることも意外にあなどれないポイントだ。
(高城幸司『上司につける薬!-マネジメント入門』による)
強烈ノルマ:厳しい条件で課される仕事
ハードル:ここでは、基準
しょげかえる:ひどくがっかりする
あなどれない:軽視できない