翻訳: Keisuke Yamashita 校正: Hiroko Kawano
翻訳: Keisuke Yamashita 校正: Hiroko Kawano
(英語)私の名前は山下春幸と申します
私は和食の料理長をしています
本日 ここに登壇できることを 光栄に思っています
ありがとうございます(英語)
(拍手)
みなさま 山下でございます
今日はこのステージに立つことを 本当に光栄に思っています
私は 料理人です この格好をみたら
今日は何かお料理の実演でもしようかと思ったのですが
それだとTEDxの意味が無い
実は私 シェフと呼ばれているんですが
和食の料理人なんですね
本当だったら 和食の料理人は 「板長」とか言われるんですが
そして 海外に出て
お料理をする機会をたくさん頂いて
外国に出て
自分は一体なんなんだろう
どういう風に物事を考えて料理を作っていくんだろう
日本人って一体何なの?
そういう壁に数々ぶち当たったんですね
そして 食材
アブダビ 気温40度
日本の食材 持っていけません
現地のマーケットで 材料を揃えたりします
そういう中から 料理をゼロから作り上げていく
そのプロセス 一体どうなっているんだろう
自分自身で 自問自答しました
そのお話が 今日できればと思っております
私の人生を変えたのは 2010年 シンガポール ワールドグルメサミット
世界のトップシェフ達が シンガポールに集結しました
その国の最も優れた技術を持つシェフ達が
シンガポールに召喚されます
実はこうやって 立っておりながら こうやって お話をしているのですが
実は私 すごく緊張しますし
実はシャイなんです
嘘だと思ってるでしょ?(笑)
じゃ どなたか ここに出てきます?
ちょっと どうですか?
まさに これが日本人なんです
日本の方はそうですけど
アメリカの遊園地とかに行って
「どうぞ出てきてください」なんて言うと
下を向くのは日本人ですね
海外に行くと 遊園地とかで
「どうぞ 出てきてください」と言うと
「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」なんて言って 取り合いになってしまいますね
それが アメリカとか海外です
コミュニケーション力が全く違うんですね
私も こういう世界大会に行った時に
まぁ 礼儀正しい 礼儀正しい
頭をペコペコ ペコペコ 下げている 動画を見ると
もう これはもう 根本的に そういう感覚になっているんでしょうね
そして こういう中で 自分たちのコミュニケーション力の低さ
逆にいい言葉で言うと 奥ゆかしいのかな...
なんて思っているんですが
全然 そういう風な空気は無く 最初は かなり苦戦しました
その中で 物を組み上げて行く
ゼロから物を作り上げていく
和食という世界を作っておるが 実は新和食という世界を
まぁ 今は何か パイオニアとも言われているんですけど
本当もう 何となく そうなってしまったというのが
正直なところです
そして それが 今 世界では注目されています
和食が 無形文化遺産になりました
あれは 和食がなった訳ではないんですよね
日本の文化 習慣
なぜ雛祭りに 蛤のうしお汁を食べるのか
なぜちらし寿司を作るのか
そういう文化が 日本の食には生きているんです
それをしっかり学びながら かつ
気温40度のところで 現地で料理を作っていく
これは もの凄く過酷な考え方なんですね
それをちょっと今日はお話ししたいと思います
日本人特有のクリエイティブシンキング
こういう物の考え方をしていきます
皆さん これ 真ん中の色は何色ですか
声出して言わなくても いいですよ
日本人ですから(笑)
はい
向かって左は?向かって右は?
真ん中 「アカ」ですよね
はい 英語で言うと 「レッド」 です
でもこれは なぜ「アカ」なのか
なぜ「アカ」なのかって 考えたことはありますか
これは学校で または親御さんが
いろんな方々から「アカ」だから 「アカ」と教わっているから
僕らは「アカ」だと 思っているわけなんですね
これ じゃあ 黒は? 黒だと教わっているから黒なんです
ところが物を発想していく クリエイティブな世界に
一歩足を踏み入れると
まさに無法地帯になるわけです
「アカ」を 「アカ」と 言っていいんだろうか?
物事を正面から 見るだけでいいんだろうか?
それの反対側は 横側は?
円柱のものを上から見たら 丸にしか見えません
その考え方を持ってしていかないと
料理の世界 ビジネスの世界
物事を生み出す世界では 通用しないですね
そういうことを常に考えています
これを見て「アカ」は 「アカ」
でも こう言わないと駄目だという教育を
僕らは受けてきたんです
だけど大人になって 果たして社会に出た時に
音楽をやる人 いろんなことをやる人
自分たちの才能を発揮する人
「これが黄色でもいいじゃない」 「 ブルーでもいいじゃない」
その理由が必要なんです
下に下手くそな人参の絵があります
それじゃ人参のお話をしてみましょう
実は私が 禅のお寺で
お料理をやる機会がありました
そこは 飯法(はんぼう)という言い方をします
これは 最も神聖な場所であって
まさに食というのは そういう神聖な領域で作られている
整然とした空気の中で お料理をしていました
僕は外部から来ていますから 僧侶ではないんですけど
そしてある時 こう人参を切って 炊き物をしようとした時に
僧侶の方がいらっしゃって
「山下さん 君は何をしているんですか」 って言うから
「いやぁ あの 煮物を作ろうと思って 人参切ってます」
ごみ箱の中を見られて おっしゃいました
「山下さん あなたは人参をつくれますか」
「作れます 作れます 人参は簡単に作れます
境内の裏にいけば 種をまいて お水をやって 日が当たれば
2週間ほどで人参 作れますよね」
「いえいえ 私が言っていることは そうじゃないんです
人参そのものを造れますか」
衝撃を受けましたね
人参そのものを造る
人参そのものその個体を
生み出すことができるんですか って
じゃ 大根は?
まさにこれは 神のみぞできる領域なんですね
私たちは種をまけばできる[けど]
種 根本を造ることはできない
じゃ 和尚さんは 何を言いたかったか?
「この皮 この葉っぱ お料理を無駄にしてはいけませんよ」と
「そういう心を宿しなさい」
まさに精神修行なんです
これが禅の教えなんですね
それで 私の料理の感覚が 一変して変わりました
そして いろんなものを 海外にいって
自分が日本人であることを どんどんどんどん学んで行ったときに
「あっ これだ」と思ったのが 道徳大義
まさに武士道の道徳大義です
君に忠 親に孝
自らを節する事厳しく
下位の者に 仁慈を以って
公正を尊び 敵には憐れみをかけ
私欲を忌み
富貴よりも名誉を以て 貴しとなす
昔の日本の武士は これを心に持ってやっていました
今は 時代が違います
ですが すごく当てはまると思うんですね
君に忠
殿様はいません
だけど 今 社会の中に会社っていうところが あるじゃないですか
そこの中で 遅刻をしない
社会人として適正な格好で行く
会社のために尽くす
最近 よくなんかこう ばっくれたりしちゃう人もいるわけですよ
親に孝
「親孝行してる?」って聞くと
「はい 旅行 行きました」
いや そういうことじゃなくて
精神的に親に 安心を与えられているのか
じゃあ 親と同じような年代の人に 感謝を持っているのか
目上の方に尊敬をしているのか
自らを厳しく節して 律すること
書いてます
これができれば ダイエットは簡単にできますけどね
どうしても自分たちがやりたいこと
自分に厳しくっていうのは すごく難しいです
私も 強い人間ではございません
すごく弱い人間です
ついつい思うんですが いつも自分に言って聞かせるのは
水は低い方へ流れる 低い方へ流れない水になりたい
下位の者に 仁慈を以って
下の者に ―下の者にというのはおかしいですが―
仲間であったりとか
僕は 学校で料理を教えたりもしています
いろんな料理で いろんな仲間が集うことになります
人には 人間には 上下はないですが
やはり温かみを以て 出せるかどうか
残念ながらこの日本 どうでしょう
出る杭は打たれる
いつか出る杭は引っ張ってくれる国に なりたいなと思っています
公正を尊ぶ
正しいことが正しい と 大きな声で言えなければいけません
敵には憐れみをかけ
戦国時代 戦争時代
数々の名将の話は 武勇伝として残っていますが
実は 本心は
みなさん 戦争をもっとも 嫌がっていたらしいです
戦うことは駄目だと
一番止めたい人が 戦いの先陣を切ってたらしいですね
私欲を忌み
この忌み 忌みという言い方は 嫌いというんじゃなくて
「神に対して劣悪なことというぐらい
自分の精神を押さえなさい」 と言うことなんですね
そして 富貴よりも名誉を以て 貴しとなす
富貴ってお金 今で言うと お金に近い
お金よりも名誉を以て
それを最も高くしなさい
これをもって
弱い自分が 海外に行って 料理を作る
「心眼」 誠の目で物事を見る
今 何が世の中に必要なのか
今 このシーンで 何が大事なのか
これを持って海外に行ったときに
あーいやいや 恥ずかしがり屋の日本人じゃないよ
日本人ってこういう文化があるからこそ
こういう精神があるからこそ
日が昇れば 無意識に手を合わせることもあり
宗教は持ってませんよ
なぜかお正月になると 新しい服を着たくなると思いますよね
そういう文化があるんです
これを再認識しないと 私たち日本人は
世界のトップステージに立ったときに
少数民族となってしまう
日本人は もう少数民族ですからね 今
ところが 私たちは どうやって これから世界で残っていくのか
どういう風に物事を考えていくのか
デザインの世界 政治の世界
社会の世界 僕ら料理の世界
いろんな世界の中で 自分たちが持つべき文化を
もう一度見つめ直して
抱え上げていかないと 駄目じゃないですか
そのために 多くのことは 学べないんですよ 僕自身も
ついつい現場に行くと
料理を作ることに忙しいですし
時間も全然足りません
その中で いつもこの中の言葉を どこかで思い出します
最近の子は どうしてもいろんなスマホとかで
どんどんコミュニケーション力が 下がってくる
でも今 ちょっと踏み出せば
すごい明るい世界も広がる
落ち込んでる子がいるんです
「シェフ こうこうこうで落ち込んでる」
いやいや君 元気じゃないの
手も足も全部あるじゃないの
物事が起こっている どこで起こっていますか
ここの中なんです
ここの中 どうすることができます どうもできません
自分でしか直せません
その時に 自分がどう生きたいか
どう物事を考えたいか
どう物事を見たいか って考えると
視点がふっと変わるんですね
ピアノです
これがまさに 東洋と西洋の文化の違いかも分かりません
西洋の方はピアノを習った時に
ステージの上でピアノを弾こうとします
日本の方 アジアは どうするか 知っていますか?
アジアは 楽器を習った時に
その家の中の 平安を保つために
楽器を奏でる
家の中の客人が来た時に
楽器を奏でる
決して表で披露するものではないんですね
これくらい日本人と海外の方の考え方は 違うんです
ですが 先ほど 私の中で本当話したでしょ?
実は矛盾があるんですね
世間に出なければいけない
でも日本人である
行くのか下がるのか 行くのか下がるのか
そういうことを 日々 葛藤します
はい 消えちゃったかな?
すいません 最後のスライドが出てくるんですが
実は私 料理人ですから
多くの食べ物に毎日囲まれています
今回 神戸でTEDxをやることになって
思ったのが震災です
僕は今 ベースは東京ですから
実は この間の東北の震災も 東京で受けました
相当な揺れでした
でも実は 怪我をしたわけでも 何でもないんですが
その時に私たちは 何をしなければいけないのか
白い服を着て 食べ物に囲まれているからこそ
何をしなければいけないのか
それをよくよく考えました
そして その東北の支援の前からなんですが
神戸で被災した時に
どこかのボランティアの方が うなぎを お箸で
市役所に避難した私に手渡してくれました
冷えたうなぎです
それを食べた時に 涙がでるくらい嬉しくて
「元気出してくださいね」と ボランティアの方がくれました
その時に
あっ 日本人って こういう時に こういう心があるんだ
こんな震災の時に
こんなにピシッと整列した 神戸の民族がいるんだ
まさに 「武士道」が どっかにあるわけですよね
だから私は 世界に向かう時に
これだけは やって行こうと思ったことが
ボランティア チャリティの活動なんです
東北の時も仲間は多く
「東北に行って応援したい」って言ったけど
「いやいや 待て!待て!待て!待て! 今行くな」 と
「君らは水も飲むし ガソリンも使う 今は行くな」
何ができるか?
僕らは 水を皆さんから 支援していただいて送りました
まさにそれも 「シェフ なぜ行かないのですか?
いやいや 本当に物事の大事なことは何か
自分に何が本当に大切なのか を考えると
今何をしなければいけないかが 分かるんです
先日もフィリピンの台風の支援を 東京から行いました
この後 3月11日も
東京でチャリティーコンサートがあります
私たちは 日本人だからこそ
震災を受けたからこそ
僕らのシェフコートには 全員
「KOBE」の文字が入っています
この精神を忘れずに
日本人という民族に誇りを持って
世界にこの考え方 そして この精神力
これを以てすれば
たとえ 人前に出て 手を挙げられなくても
多くの方が入れない領域というものを
私たちは持っているんですね
それを僕は 料理を通じて感じた訳です
なので今日 私のお話の中で ほんの一部でもいいです
みなさんのお仕事、学校 通常のライフスタイル
あー 山下っていう料理人が
ステージの上で料理の話もせず 全然違う話をしていた
それで結構でございます
何かみなさんが感じていただくことが あると思うのですね 今
ボランティアをしてると 「あなただからできるんだろう」と
そんなことないです
ちょっと気持ちを変えるだけ
ちょっと視点を変えるだけ
物事の見方が大いに変わってきます
僕はそれで 料理の世界で
自分を表現するという方法を得た訳です
それに 武士道の精神
日本人のスピリットが入ってきて
初めて海外に出た時に 「日本人であるぞ」と
胸を張って 凛とした姿で
料理を作ることができます
まぁ こんなお話ですが
今日から 今ここから 出会えた時に
みなさんの何かの思考が 少しでも変われば
私が 本日ここに立たせていただいた意味が あったと思います
素晴らしい機会をいただきました
今日はありがとうございました
(拍手)
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