昔ある所に貧しい爺さんがおり、薪を担いで売りにいったが、その日は一把も売れなかった。
帰り道くたびれ果てた爺さんは竜神さまを祀る祠の前の川で、竜神さま使ってくださいとその薪を流した。すると女が現れ、薪の礼に何でも願いを叶えてくれるはなたれ小僧さまを授けましょうと言う。
あまりに汚い小僧さまだったので爺さんは邪険にしたが、試しに立派な家を出してくれと言うと、あばら屋が御殿になった。これは本当に竜神の子と次々願いを叶えてもらい爺さんはすっかり大金持ちになった。
しかし、小僧さまを連れてきた女との約束の日に三度の「エビナマス」を与えることも面倒になって来た爺さんは、欲しいものはみんな貰ったし、小僧さまにもう竜神さまの所へ帰ってくれと頼む。
小僧さまは頷き去るが、途端に家はボロ屋に、爺さんはもとの貧しい爺さんに戻ってしまった。