JLPT N2 – Reading Exercise 49

#182



公立の図書館では、利用者へのサービス向上のために、人気の高い本を複数冊置くことが増えている。本が複数冊あれば、同時に多くの利用者に貸し出せて、予約待ちの期間も短くできる。

このような図書館の姿勢に対して、予算は限られているのだから買える本の種類が少なくなってしまうのではないかと心配する声もある。しかし、借りたい本がなかなか借りられない図書館では利用者は満足しないだろう。公立の図書館は、多くの人々に読書のきっかけを与え、本を読む楽しさや喜びを感じてもらうようにする役割を持っている。図書館に同じ本を複数冊置くことは、その役割を果たすための一つの方法だといえる。



最近公立の図書館では、人気の高い本を複数購入しているそうだ。有名な作家の小説などが対象らしい。流行の本を早く読みたいという利用者の希望に応えようとする図書館の気持ちは理解できる。しかし、どうしても早く読みたければ自分で買えばいいのだから、図書館がそのために多くの予算を使う必要はない。

税金で運営されている公立図書館の存在意義は、学問的に価値のある本やに手に入りにくい本など、さまざまな種類の本を一冊でも多くそろえていることだ。書店にない本でも図書館に行けば読めるというのが本来の姿だろう。同じ本を多く買うことによってその役割が果たせなくなったら、利用者に対するサービスの低下につながるといえる。

Vocabulary (51)
Try It Out!
1
公立図書館が人気のある本を複数冊置くことについて、AとBはどのように述べているか。
1. AもBも、利用者の希望を重視しすぎていると述べている。
2. AもBも、利用者へのサービス向上につながると述べている。
3. Aは予算が足りなくなると述べ、Bは図書館の存在意義が失われると述べている。
4. Aは利用者の満足度が高くなると述べ、Bは予算の使い方として適切でないと述べている。
2
公立図書館の役割について、AとBはどのように述べているか。
1. AもBも、利用者の教養を高めることだと述べている。
2. AもBも、読書が好きな人を増やすことだと述べている。
3. Aは利用者に読書に親しんでもらうことだと述べ、Bは貸し出す本の多様性を確保することだと述べている。
4. Aは利用者が読書を楽しめる環境を作ることだと述べ、Bは書店よりも新しい本をそろえることだと述べている。