JLPT N3 – Reading Exercise 11

#103

先日、友人を訪ねて岐阜に行きました。待ち合わせの時間まで少し時間があったので古い和傘の店があったので入ってみると、「いらっしゃいませ」と元気な声で店の主人が迎えてくれました。

和傘作りは江戸時代から続く技術で、明治時代まではどこの町にも必ず1人や2人職人(注)がいたそうです。しかし、日本に西洋文化が入ってくると、今私たちが日頃使っているような、作るのも簡単で値段も安い洋傘がいっきに全国に広まりました。

今年の79歳になる主人の加藤さんはいま、各県に1人か2人いるかいないかという和傘職人(注)の1人です。和傘づくりをやめようと思ったことがあります。そんなある日、たまたま店の前を通りかかった外国のお客さんが「和傘は日本人の性格をとてもよくあらわしているね」と言ったのを聞いて、(1)「ああ、やめちゃだめだ」と、考え直したそうです。

加藤さんは、「まだまだ元気だから、あと10年は大丈夫。」と笑顔を見せてくれましたが、わたしはとてもさびしい気持ちになりました。

(注)職人:身につけた技術によって物を作り出したりする職業の人。

Vocabulary (21)
Try It Out!
1
どうして明治時代以降、洋傘は全国に広まりましたか。
1. 和傘より質がよいし、もっと丈夫だし
2. 和傘より値段が安いし、作り方も簡単だし
3. 和傘より材料が高級だし、作り方も簡単だし
4. 和傘よりデザインがいいし、美しく見えるし
2
(1) 「ああ、やめちゃだめだ」と、考え直したとあるが、その理由は何か。
1. 日本では和傘職人は1人か2人しか残らないから
2. 和傘の好きな外国人がどんどん増えてきたから
3. 和傘作りの必要な技術はあまり高くないから
4. 和傘作りの伝統を守り続けたいと思うから
3
本文と合っているものはどれか。
1. 和傘作りの伝統を守るのは大切だが、難しいことだ。
2. 和傘作りの職人はたくさんいるが、一人前のは少ない。
3. 職人の加藤さんが和傘作りを続けるのは幸い。
4. 職人の加藤さんは和傘作りの伝統を守るのに自信がある。