会見の中で宮里選手は、引退を決めた時期について「去年の夏ごろに今シーズンいっぱいで引退することを決めた」と話しました。
引退の理由については、「4~5年前にモチベーションの維持が難しくなったことが一番の決め手だ」と話しました。
宮里選手は2010年に日本選手として初めての世界ランキング1位になり、2012年にもアメリカツアーで2勝を挙げましたが、メジャー大会では優勝することが出来ず、「2012年の後半から調子がいいのに、メジャー大会で勝てなければどうすればいいのかと立ち止まり、モチベーションというか、次に何を目標にしたらいいかわからないとコーチと話した。手探りで4年くらいは頑張ってきたが、気持ちが戻ってこないことにはゴルフに向き合えない」と説明しました。
競技生活を振り返っては、「本当に思った以上の結果を残せて、これ以上ないゴルフ人生だった。どれだけ幸せな14年間だったか、今それをかみしめている」と話していました。
宮里選手は今シーズンの残りについては、アメリカツアーを中心に臨む考えを示したうえで、国内ツアーについては「来週出場する兵庫県での大会が一区切りになる」と話し、それ以降の日本での出場については決まっていないと説明しました。
また、引退後については「年内はすべての残りの試合に力を注いで何ができるか考えていきたい」と話すにとどまりました。
記者会見はおよそ45分間にわたり、最後に宮里選手は涙を目に浮かべながら「本当にたくさんの方々にサポートしていただき、とても嬉しかったし、幸せだ。引き際の寂しさは一切なく、最後まで感謝の気持ちでプレーできて幸せな選手生活だった。残りのシーズンも頑張るのでもう少しよろしくお願いします」感謝の言葉を述べました。
宮里選手 笑顔と涙で
宮里藍選手の引退会見には、テレビカメラ40台、スチールカメラ60台、報道陣およそ300人が集まりました。
宮里選手は黒いワンピースに白の上着で入場し、はきはきとした口調で引退を決断した理由を語りました。宮里選手は、報道陣からの質問にも一つ一つ、相手のほうを向いて笑顔で応じていました。
会見の中で宮里選手は、父親でコーチの優さんから「プロゴルファーである前に普通の人間でありなさい」と指導されてきたと話していて、会見でも父親の教えどおりに丁寧に質問に答えていました。
宮里選手は、最後のあいさつで「ありがとうございました」と述べたあと、初めて目に涙を浮かべ、「本当にたくさんの方にサポートしていただきとてもうれしかったし、幸せでした」と話しました。
会見場をあとにする際も、報道陣に何度も頭を下げていて、会場からは温かい拍手が送られていました。
ライバルから 後輩から
宮里藍選手と同じ31歳で、アメリカツアーをともに10年間回っていた横峯さくら選手は、日本時間の29日未明にミシガン州での大会を終えてブログを更新し、「藍ちゃんから引退の話を聞いたのは去年の年末です。最初に聞いたときにはすごくびっくりし、時間がたつにつれて寂しさがこみ上げてきました」とつづりました。
そして、「アメリカツアーというタフな環境で10年以上も戦い続けてきた、強さと優しさを持つ藍ちゃんを心から尊敬しています。藍ちゃんと同じ時にゴルフができたことは私にとってとても大切な宝物です。今シーズン残りの試合もお互い頑張ろうね」とコメントしました。
野村敏京選手は「びっくりしました。悲しいですね。自分がアマチュアの時に宮里さんが優勝したのを見て宮里さんを目指して頑張ってきました。引退はさびしいです」と話していました。
上原彩子選手は「引退を聞いたときはびっくりしました。私のほうが年は上ですが、面倒を見てもらって、アメリカツアーに来たときもものすごくよくしてもらっていました。ゴルフですごく成功している選手ですし、人間的にも本当にすばらしい選手で、若い世代がどんどん出てきているのも藍ちゃんのおかげだと思います。そういう意味では彼女の引退はショックで残念だと受け止めています」と話しました。
そのうえで、上原選手は宮里選手へのメッセージとして「本当にすばらしい選手なので第2のステージでも絶対成功できると思うので頑張ってほしいなと思っています」と話していました。
畑岡奈紗選手は「私がゴルフをはじめてからプロになりたい、アメリカに来たいと思ったきっかけでもあったので、すごく尊敬していますし、感謝しています」と話しました。
そのうえで、「まずはお疲れさまでしたって言いたいのと、これからもゴルフに携わって下さればと思っています」とメッセージを送りました。
アメリカツアーで宮里藍選手とともにプレーしたステーシー・ルイス選手は「引退は残念です。宮里選手はすばらしいアスリートでありすばらしい友人です。彼女がアメリカに挑戦する若い日本選手への道を開いたと思う」と話しました。そして「あなたがゴルフにもたらしてくれたことに感謝しています。そしてすばらしい友人であることにありがとうといいたい」と話していました。