無痛むつう分ぶんべんで出産しゅっさんの女性じょせい死亡しぼう 医師いしを書類しょるい送検そうけんへ

女の子おんなのこの赤あかちゃんは無事ぶじ、産うまれました。

警察けいさつのこれまでの調しらべによりますと、５ご９きゅう歳さいの院長いんちょうが局所きょくしょ麻酔ますいをした際さいに、針はりが深ふかく刺ささりすぎて麻酔ますいが余分よぶんに効きいてしまい、呼吸こきゅうができなくなったと見みられ、長村おさむらさんは途中とちゅうで「息いきがしにくい」と訴うったえていたということです。

また、複数ふくすうの専門医せんもんいに意見いけんを聞きくなど捜査そうさを進すすめた結果けっか、警察けいさつは、呼吸こきゅうができなくなったときに院長いんちょうが強制きょうせい的てきに肺はいに酸素さんそを送おくる人工じんこう呼吸こきゅうを行おこなうなど、十分じゅうぶんな対応たいおうを取とらなかったため死亡しぼうした疑うたがいがあるとして、６ろく日にち、業務ぎょうむ上じょう過失かしつ致死ちしの疑うたがいで書類しょるい送検そうけんする方針ほうしんです。

警察けいさつによりますと、これまでの調しらべに対にたいし、院長いんちょうは「容体ようだいの変化へんかが早はやく、対応たいおうが追おいつかなかった」などと説明せつめいしているということです。

死亡しぼうまでの経緯けいい

死亡しぼうした長村おさむら千惠ちえさんの家族かぞくによりますと、長村おさむらさんは大阪おおさか・枚方ひらかた市しで３さん３さん歳さいの夫おっとと２に歳さいの長女ちょうじょの３さん人にんで暮くらしていました。長女ちょうじょを出産しゅっさんしたあとに腰痛ようつうに悩なやまされた経験けいけんから、友人ゆうじんから負担ふたんが軽かるいと聞きいていた「無痛むつう分ぶんべん」を希望きぼうしたということです。

事故じこのあと、家族かぞくはクリニック側がわから当日とうじつの状況じょうきょうを聞き取ききとって資料しりょうをまとめていました。それによりますと、事故じこ当日とうじつのことし１月いちがつ１いち０ぜろ日にちの午後ごご３さん時じ２に０ぜろ分ふんごろ、院長いんちょうが背中せなかから麻酔ますい薬やくを注入ちゅうにゅうする「硬かた膜まく外がい麻酔ますい」を行おこないました。

そのおよそ１いち０ぜろ分ふん後ごの午後ごご３さん時じ３さん２に分ふんごろ、長村おさむらさんが「ちょっと息いきがしにくい」と訴うったえ、酸素さんそマスクが装着そうちゃくされました。さらに１いち０ぜろ分ふん後ごの午後ごご３さん時じ４よん３さん分ふんごろには「呼吸こきゅう困難こんなん続つづく意識いしきレベル低下ていか」と記載きさいされていますが、強制きょうせい的てきに酸素さんそを肺はいに送おくる人工じんこう呼吸こきゅうは行おこなわれませんでした。その後そのご、午後ごご４よん時じすぎに帝王ていおう切開せっかいで女の子おんなのこが無事ぶじに産うまれましたが、長村おさむらさんは１いち０ぜろ日にち後ごに低てい酸素さんそ脳症のうしょうで死亡しぼうしました。

ＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに対にたいし、長村おさむらさんの６ろく８はち歳さいの父親ちちおやは「明あかるく元気げんきな自慢じまんの娘むすめで、次女じじょを抱いだくこともなく、亡なくなってしまった。残のこされた幼おさない長女ちょうじょはいつも母親ははおやの写真しゃしんを眺ながめている。こんなに悔くやしい事故じこが二度にどと起おきないよう、真実しんじつを明あきらかにしてほしい」と話はなしていました。

無痛むつう分ぶんべん 人気にんきの一方いっぽうでトラブルも

無痛むつう分ぶんべんは、近年きんねん、人気にんきが高たかまっている一方いっぽうで、妊産婦にんさんぷや子こどもが死亡しぼうしたり、重おもい障害しょうがいが残のこったりしたとして、トラブルになるケースも出でてきています。

ことし８月はちがつには、京都きょうと府ふの産婦人科さんふじんか医院いいんで５ご年ねん前まえ、無痛むつう分ぶんべんで出産しゅっさんしようとした４よん０ぜろ歳さいの女性じょせいが麻酔ますいを受うけたあとに一時いちじ、心肺しんぱい停止ていしとなり、生うまれてきた女の子おんなのことともに脳のうに重おもい障害しょうがいが残のこったとして、夫おっとなどが医師いしを業務ぎょうむ上じょう過失かしつ傷害しょうがいの疑うたがいで警察けいさつに刑事けいじ告訴こくそしています。

また、おととし、神戸こうべ市しの産婦人科さんふじんか医院いいんで、当時とうじ３さん３さん歳さいの女性じょせいが麻酔ますいを投与とうよされたあと意識いしき不明ふめいとなる事故じこがあり、ことし５月ごがつに女性じょせいが死亡しぼうし、生うまれてきた子こどももことし８月はちがつに亡なくなりました。夫おっとは厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんなどに対にたいし、事故じこの原因げんいん究明きゅうめいや再発さいはつ防止ぼうしを求もとめる要望ようぼう書しょを提出ていしゅつしています。

こうした状況じょうきょうを受うけて、日本にっぽん産婦人科さんふじんか医い会かいでは、無痛むつう分ぶんべんについて全国ぜんこくの事故じこの件数けんすうを調査ちょうさしているほか、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの研究けんきゅう班はんでも無痛むつう分ぶんべんを安全あんぜんに行おこなうための実施じっし手順てじゅんをまとめ、医師いしに研修けんしゅう態勢たいせいを整ととのえるなどの対策たいさくを進すすめています。