投稿した医師は自らのブログに「医師でありながら人としての倫理観が欠如した投稿をしてしまった」と記して投稿を削除し、陳謝しています。
投稿したのは東京を中心に全国展開する美容外科医院の医師で、アメリカ・グアムの大学で行われたという医師の解剖研修で撮影された写真をSNSとブログに投稿していました。
写真の一部にはモザイクがかけられ、献体が並んでいると見られる写真には、「頭部がたくさん並んでるよ」という文字が、笑顔の絵文字と一緒に載せられていました。
また、献体の前とみられる場でピースサインをしている医師の写真もありました。
こうした投稿はすぐにネット上で拡散し、「倫理観が欠如している」などと批判が相次ぎました。
なかには、医師の対応を批判する、1.8万リポストを超えたコメントもありました。(25日午後4時時点)
こうした事態を受けて医師は投稿を削除し、今月23日の自身のブログで「ご遺体から学べる貴重な機会があることを多くの医師に知ってもらいたかった。医師でありながら人としての倫理観が欠如した投稿をしてしまったことについて心からお詫び申し上げます」と謝罪しています。
「不謹慎すぎる」「愕然とした」...
この投稿についてSNSでは批判が相次いでいます。
「ご遺体に感謝と申し訳なさで躊躇し涙するんじゃないのか?命を救う医師にはそうあって欲しい」
「医者たちの倫理や、献体への尊厳ある対応を信じていたのに…」
「酷すぎる」
「不謹慎すぎる」
「解剖実験での献体への尊厳を欠いた医者たちの投稿には愕然とした」
研修の主催者「倫理上問題があり、遺憾に思う」
今回の研修は、アメリカの大学の医学部がグアムを会場に行いました。
研修会の事務局によりますと、日本の美容外科医などおよそ20人が参加し、医師らが献体に実際にメスを入れ、技術の向上をはかったということです。
解剖実習に使われる献体は、日本ではホルマリンなどで防腐処理した遺体が使われるということですが、この研修では死後、時間があまり経過していない遺体が使われるため、日本からの参加者が多いということです。
また、解剖現場での写真撮影は医師の間で共有し、スキルアップをはかる目的で、許可されていたということです。
今回の医師によるSNSの投稿について、研修会を主催した恒川喜平事務局長は「医師のレベルアップのため撮影や医師の間での共有を許可してきたが、ご献体を前にピースをする行為や、その現場をSNSに投稿する行為は、倫理上問題があり、遺憾に思う」と話しています。
日本の献体協会「遺族に不安与えかねず」
日本の「献体」は大学の医学部・歯学部での解剖学の教育や研究に役立ててもらうために、本人の意志で、無償で提供されています。
献体の普及や研究を行っている日本篤志献体協会によりますと、献体の登録者数は毎年、およそ7000人から9000人で、本人が家族の承認を得た上で、各大学に申し込みをするということです。
一方、解剖がいつ、どのように行われるかなどの情報は、遺族にも公開されていないということです。
解剖現場の写真が投稿されたことについて、日本篤志献体協会の坂井建雄 理事長は「遺族にも知らされない解剖現場の様子が公開されることは絶対にあってはならない。『医学のために役立ててもらいたい』という遺族の思いを踏みにじる行為で献体登録をしている人に不安を与えかねず、あってはならないことだ」と話してます。