ただ、大企業の非製造業は逆に2期ぶりの悪化となり、小売りなど個人消費に関わる業種で判断が大きく悪化しました。
日銀の短観は国内9000社余りの企業を対象に3か月ごとに行われ、景気の現状について「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数で景気を判断します。
今回の調査は12日までのおよそ1か月間行われ、大企業の製造業の景気判断の指数はプラス14ポイントとなり、前回の調査を1ポイント上回りました。
指数の改善は2期ぶりです。
▽「自動車」が生産の回復に伴って判断が改善したほか、
▽「生産用機械」も企業の設備投資が堅調だったことで改善しました。
一方、大企業の非製造業はプラス33ポイントで前回を1ポイント下回り、2期ぶりに悪化しました。
特に
▽「小売り」は前回を15ポイント
▽「宿泊・飲食サービス」は前回を12ポイントそれぞれ下回り、
消費に関わる業種で景気判断が大きく悪化しました。
人手不足や人件費の上昇によって負担感が高まっていることが背景にあるとみられます。
さらに、3か月後の先行きの見方を示す指数は
▽大企業の製造業がプラス13ポイント
▽大企業の非製造業がプラス28ポイントと、
いずれも現状判断の水準を下回り、慎重な見方が示されています。
林官房長官「好調さを賃金上昇や国内投資拡大に」
林官房長官は閣議のあとの記者会見で「企業部門が総じて好調であることが改めて確認された。こうした好調さを働く人たちの賃金の上昇や国内投資の拡大につなげていくことが重要だ。政府としては経済対策で賃上げに向けて価格転嫁や省力化、デジタル化への投資促進などに取り組み日本経済や地方経済の成長力を強化していきたい」と述べました。