政治改革を議論する参議院の特別委員会で24日に可決された3つの関連法案は、午後の参議院本会議に緊急上程されました。
討論で自民党の永井学氏は「党から議員に支出される渡しきりで使途が公開されない政策活動費は廃止する。徹底的な公開により、おかしなカネの使い方がないか国民にチェックしてもらうことで政治改革を進める法案になっている」と述べました。
立憲民主党の小西洋之氏は「自民党が野党7党案を丸のみし、政策活動費の全面廃止に至ったことは誠に画期的だ。しかし、大きく取り残された抜本改革が企業・団体献金の廃止であり、献金の廃止こそが政治改革の本丸中の本丸だ」と述べました。
このあと採決が行われ、立憲民主党など野党7党が提出した政策活動費を廃止する法律は、全会一致で可決・成立しました。
また、公明党と国民民主党が提出した政治資金をチェックする第三者機関を国会に設置する法律と、自民党が提出した外国人によるパーティー券の購入禁止や、収支報告書をデータベース化して検索しやすくする制度などを規定した法律は、共産党とれいわ新選組を除く各党などの賛成多数で可決・成立しました。
この結果、石破総理大臣が目指した年内の政治資金規正法の再改正などが実現しました。
「政策活動費」とは
「政策活動費」は政党から政治家個人に渡される政治資金です。
政党側の政治資金収支報告書には支出として記載されますが、政治家側には使いみちを公開する義務はなく、『ブラックボックスになっている』とも指摘されてきました。
このため、2024年6月に成立した改正政治資金規正法では、項目ごとの使いみちに加えて、支出した年月を公開することが義務づけられました。
また、1年ごとの支出の上限金額を定め、領収書などを10年後に公開するほか、使いみちなどを監査する独立性のある第三者機関を設置することになりました。
一方で、1年ごとの支出の具体的な上限金額や、領収書の公開範囲、それに第三者機関の制度設計は「検討事項」とされ、事実上先送りされました。
参院特別委で法案可決
参議院の特別委員会では、24日に政治改革関連法案の審議を終え、正午すぎに3つの法案の採決が行われました。
その結果、政策活動費を廃止する法案は全会一致で、政治資金をチェックする第三者機関を国会に設置する法案と、外国人によるパーティー券の購入禁止や収支報告書をデータベース化して検索しやすくする制度などを規定した法案は、自民・公明両党のほか立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決されました。
一方、立憲民主党などが禁止するよう求めた企業・団体献金の扱いは結論が出ず、来年3月末までの決着を目指して引き続き与野党で議論が行われます。
参院特別委 午前の質疑では
政治改革を議論する参議院の特別委員会では24日午前に質疑が行われ、立憲民主党は、今回の法改正によって収支報告書への不記載の問題を未然に防止できるのか、認識を尋ねました。
▽自民党の法案提出者の小泉進次郎氏は「データベースの整備で、政治資金の透明性を格段に向上させられるし、第三者機関による監視結果が公表されれば、不記載の発生を抑制する効果がある。自民党に順法精神の欠如があったことは否めず、委員会で議論されたことを党全体で共有する場を年明けに設けたい」と述べました。
▽立憲民主党の法案提出者の本庄知史氏は「野党7党が提出した法案で政策活動費を完全に廃止することは大きな前進だ。一方で、政治倫理審査会の話を聞くと『秘書に任せていた』とか『知らなかった』ということが、まかり通っている状況であり、『裏金』問題の本質をふさぐにはまだまだ課題が残っている」と述べました。
企業・団体献金の扱いは結論出ず
一方、立憲民主党などが禁止するよう求めた企業・団体献金の扱いは結論が出ず、来年3月末までの決着を目指して、引き続き与野党で議論が行われます。
臨時国会は24日に閉会します。