JLPT N1 – Reading Exercise 65

#292

A

子どもたちが社会全般のあらゆる分野に関心を向けようとするとき、まんがはその垣根を低くしてくれる。これは、まんがというメディアの強みだと思う。気軽に手にしたマンガをきっかけに、知的好奇心が刺激されたりすることもあるだろう。正味15分たらずの休み時間、まんがの世界に入り込んでいた子どもたちの横顔を思い出す。まんがならではの魅力があることも確かだ。魅力は堪能してほしいし、強みは学校図書館活性化に利用したい。

まだ人生の入り口ともいえる小学生。彼らを多様なメディアの魅力に出会わせたいという思いと、学校図書館が彼らにとって魅力的な場所であってほしいという思いがある。だから小学校でも(制約は多くても)選書のアンテナはマンガにもはっておいてほしいと、職を離れたいまも思っているのである。

(若葉千佳子『子供の本棚』2007年12月号による)

B

マンガを他の本と区別して考える方向は間違っているといえる。マンガを図書館に置くことによって、子どもは勉強しなくなるという神話から決別すべきである。学校図書館としては、絵本や写真集、童話や物語などの本の読み方を教えるように、マンガやアニメについてもその見方や特性を教えなくてはならないし、そのことを通して適切な学習資料を適切な場面で活用するようになると思われる。

(中略)

学校図書館の担当者は、図書購入に際して、直接学習に役立つ図書だけを購入するのではなく、長い目で見て子どもたちの学習や人格形成に役立つ図書も購入するゆとりを持つことが大切である。

(渡部康夫『現代の図書館』第192号による)

Try It Out!
1
漫画について、AとBはどのように述べているか。
1. AもBも、子どもにとって魅力的なメディアだと述べている。
2. AもBも、子どもの学習の妨げになるという考えは間違いだと述べている。
3. Aは子どもの知識を深めるのに役立つと述べ、Bは学習資料などとして活用できると述べている。
4. Aは子どもの関心を広げるきっかけになると述べ、Bは見方や特性を教えれば子どものためになると述べている。
2
学校図書館に漫画を置くことについて、AとBはどのように述べているか。
1. AもBも、他の本と同じように選択肢に含めたほうがよいと述べている。
2. AもBも、図書館が魅力的な場所になるのでよいと述べている。
3. Aは図書館の活性化につながるのでよいと述べ、Bは直接学習に役立つものならよいと述べている。
4. Aは図書の選択は慎重にならざるをえないと述べ、Bは長期的な視点で検討すべきだと述べている。